パンケーキを焼いても、心が晴れないなら。
なにが心を救ってくれるんだ。
多分、過去一番に途方に暮れていた。
ふわふわの、パンケーキが焼けたのに。
はちみつをたっぷりかけて2枚半、美味しく平らげたのに。
それでも心が晴れないなんてまいった。
自分のご機嫌を取る方法は、今日はこれ以外に持ち合わせていなかったのに。
いや、ご機嫌にはなったのだけど、そのあとすぐ悲しいことが起きてしまったのだ。
弟がインフルエンザA型に罹り、自分もウイルスを持ってるかもしれないから、明日の夜楽しみにしていた食事の予定がなくなった…という。
もう、どうしていいかわからない。
こんなお日様みたいな、やさしい色のまんまるのパンケーキが焼けたのに。
すぐに曇ってしまう自分の心が情けなくて悲しくて。
ぎゃー、と声を出して暴れてしまいたかったけど、インフルエンザの家族がいるのにそれはまずい。
でもことの発端はインフルエンザであり…無限ループ、どこにも心のやり場がない。
…………。
どうすることもできなくなった結果、ふて寝した。
たぶん疲れてたんだろう、意識はすぐに飛んだ。
それから小一時間、よく眠って多少スッキリしたけれど…やっぱり、悲しい気持ちのままで。
けれどもうすぐ夕飯の時間だ。このままではいけない、と重い気分を引きずってとぼとぼとリビングに顔を出すと。
仕事から帰ったお父さんがいて、「今日はパンケーキ焼いたっていうけど、食べさせてもらえないの」と。
そうだ、いつもお菓子をつくったときには、家族にお裾分けをしているから。
いや、4枚焼いて2枚半食べたから、1枚半は冷凍してあるよ、レンジでチンするだけだから、後であっためてあげるよ…。
ついさっき起きたばかりなのに、なんだか目が覚める思いだった。
そうかぁ。
予報はずれに心を晴らしてくれたのは、カチコチになったパンケーキ。
そしてそれを食べてくれる人だったみたいだ。
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