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生産者として考えるプラスチックのこと

パン屋さんにて

 私はパンが好きで、週替わりでお気に入りのパン屋さんを訪れていました。3月に入ったくらいでしたでしょうか。突如変化がありました。

 店内に入ると、いつもと違う雰囲気が・・・。コロナウイルス対策だと思うのですが、通常はトレーにパンがそのまま並んでいるところ、全てのパンがプラフィルムで覆われていました。

 パンに限らず、食品に関しては、安全・衛生面や鮮度保持等に大きく役立っていることは間違いなく、私たちはその恩恵を受けているといえます。

 また、共働き世帯や高齢者世帯の増加、そして単身赴任者であった私も、総菜の容器やレトルト包装など、ライフスタイルの変化に対応した容器包装材としてなくてはならないものになっています。

 私は単身赴任生活を送っていたので、ゴミ出しも全て自分でやらなければいけませんでした。自分が出すゴミについて、しっかりと分別していましたので、容積で見ると圧倒的にプラごみが多かったことからも、いかにプラスチックが多く使われているかを感じていました。

お仕事の関係として

 産業廃棄物業界に身を置く立場でのお話になります。2017年の末から中国が廃プラスチックの輸入を制限、停止したこと、またタイ、マレーシア等のアジア諸国も同様の対応をとったことにより、産業廃棄物の廃プラスチックは国内であふれかえりました。少し落ち着いては来たと感じますが、国内で広範囲に廃棄物が移動しています。

 以前に廃棄物処理はインフラであるとお話ししましたが、廃プラスチックに関しては、その役割が追い付いていない状況といえます。また、違う見方をすれば、国内のインフラが追い付かない規模で廃棄物が発生しているといえます。これまでは、そのインフラの役割を中国やアジア諸国に依存していたことになりますが、今後は国内で対処しなければならない状況です。

プラスチック問題にどう向き合うか

 大手飲食店での使い捨てストローの使用を取りやめるという報道をきっかけに、プラスチックごみについての関心が高まったと感じています。

 プラスチックごみの海洋流入により、海洋生物・環境に影響を及ぼしていること、それにより人体への影響も懸念されていることは事実です。また、産業廃棄物のプラスチックも国内で循環する方法を増やす必要があります。

 その事実に基づき、生産者としてどう対応するのかを考え、今後商品化する容器、パッケージには極力プラスチックは使わないことを決めました。また、使い捨てられない工夫も付け加えていきます。さらに、代替素材の開発検討もし始めています。

とことん抗う

 現在、もったいない資源を余すことなく使ったものづくりを進める中で、まず壁にあたったこととして、食品容器の選択肢の無さがあります。現状OEMでの生産なので仕方がないのですが。

 例えばドレッシングを商品化しようとしたときに、容器を選定します。この容器は規格化されたものを選ぶのが通常で、それゆえに価格も抑えられるのですが、まずこの段階での選択肢が絞られます。ガラスという選択肢があるのですが、蓋はプラスチックにならざるをえなかったりします。なので、似たような商品が多くなってしまうのでしょう。

 ここで、独自の容器を使用したいと考えたときに、充填ラインに収まるかどうかの問題があります。全て手作業なら問題はないのですが、コストがかかってしまいます。それに加え、衛生的にも自動ラインでの充填、打栓(蓋の取付け)の方が安心だということもあります。

 このあたりでふと思ったのですが、今のものづくりの仕組みって、やはり大量生産大量消費が根底にあり、使い捨てに繋がるんだなと。確かに価格を抑えるには規模の経済効果が必要なのはわかるのですが、これに抗うのはなかなか大変だと。もちろんメラメラと燃えてきたことも書き添えておきます・笑

 現時点での結論として、プラスチックを使用するなら責任をもって使用後の回収が可能なこと。現時点ではそれができないため、極力プラスチックは使用しない。今後、回収の仕組みを検討するか、代替素材の開発を進めるかという流れになりそうです。 

 

 

 


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