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都構想「基本のき」番外編 全国政令市からの呼びかけ

「大阪市廃止特別区設置住民投票」が佳境を迎える中、自民党に所属する全国政令指定都市議会議員の皆さんが、連日大阪入りしてくださっています。
政令市は、わが国の人口の約2割、国内総生産の3割近くを占める非常に重要な都市であり、まさしく日本全体の発展をけん引している成長のエンジンです。

全国の政令市の議員さんが大阪に来て口をそろえるのは「なぜ基礎自治体として最高の権限と財源を持った政令市を自ら廃止して、わざわざ(まともな地方公共団体ですらない)最低ランクの特別区になろうとしているのか、意味がわからない」というものです。

政令市廃止などというわけのわからない議論

全国に政令市は20市ありますが、政令市をやめるなどという全くメリットのないことを必死で進めているのは、大阪市だけです。いわゆる「大阪都構想」なるものが本当に良い制度であれば他の政令市でも導入されているはずですが、そんな都市は存在しません。

特別区になりたいという都市は(大阪市以外)ありませんが、政令市になりたいという都市はたくさんあります。

私の住む堺市も2006年に政令指定都市となりました。構想から30年以上の年月がかかったそうです。当時、堺の町には「祝・政令指定都市」というフラッグなどが掲げられました。そうです。政令市移行は「お祝い」するほど素晴らしいことなのです。自分たちで町づくりができたり、政令市だけがもらえる財源があったり、国と直接交渉できたり、都市格が上がったりと、様々なメリットがありました。
当然、堺市が政令市になった時に、「政令市になるための住民投票」なんかはありませんでした。良いことしかないからです。

しかし、今回住民投票が行われるのは、「大阪市民の皆さん、本当に政令市やめていいんですね? 財源なくなりますけどいいんですね? 住民サービス下がるけどいいんですね? 大阪市を無くしていいんですね?」という確認のためです。悪くなることが確実だから、最終確認のために住民投票をやらないといけないわけです。

全力逆走で大阪だけが取り残される

大阪市廃止推進派(賛成派)が政令市廃止の理由として挙げているのは「二重行政の解消」で、ほぼこれしかありません。
確かに政令市が力をつけるにつれ、二重行政のようなものは生じます。しかし、そんなことはずっと議論されていて、解消のためには「道府県」ではなく、「市町村」に権限を移していく方向が取られています。
「ニア・イズ・ベター(住民に近いほうが良い。補完性・近接性の原理)」という考え方で、他の政令市ではこれが大原則です。
全国の政令市が足並みを揃えてニア・イズ・ベターで進んでいて、国もそれに合わせて制度を整えたり、優遇策を考えたりします。

しかし「大阪都構想」は住民に近い政令市を廃止し、遠い道府県に仕事をやらせる考え方ですから、日本全体の方針と真逆の発想です。国からの支援や制度上のメリットを受けられず、大きくメリットを損ないます。
事実、都構想のコスト増によって毎年生じる財源の欠損分を国は面倒を見ないと言っています。
国は「メリットを用意するから、ニア・イズ・ベターでやってね」と言っているのに、自分たちだけで違うやり方をして勝手にコストを増やした分まで面倒見れませんよ、ということです。当たり前の話です。
国の専門家からは「大阪が勝手にいばらの道を進みたいならしょうがない(抄訳)」と言われる始末です。

政令市廃止は議論の必要もないほど「おかしなこと」

一万歩ゆずって、大阪都構想で二重行政の解消ができたとしましょう(ただし別項に書いたとおり解消できませんが)。
しかし、傷だらけになって血を流しながら必死に「いばらの道」を進んで大阪都になったところで、解消の効果額はわずかに39億円~67億円程度しかありません。しかも(松井一郎市長が明言したとおり)現在の大阪市のままでも二重行政の解消はできているのです。

なんども言ってきたとおり、都構想には数千億円のコストがかかります。数十億円程度の二重行政を解消するのに、数千億円をかけて、しかも今までの政令市のメリットは捨てる。市民の財産も大阪府に明け渡す。

損か得か、議論する必要もないほど「完全におかしいこと」なので、全国の政令市の皆さんが、大阪市民に思いとどまるよう呼びかけているのです。

賛成派の主張をよく見て、聞いてください。

大阪市は「なくなりません!」
区役所は「残します!」
公共料金は「変わりません!」
住民サービスは「維持します!」
コストはなるべく「抑えます!」

ほな、大阪市のままでエエがな。という話です。

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