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都構想「基本のき」その7 大阪市の水道料金はどうなるの?

いよいよ大阪市廃止・特別区設置住民投票がはじまりました。大阪市民さんの関心も一挙に高まってきたのを感じます。11月1日の投票日に向けて全力でがんばって行きたいと思います。

さて、住民生活にとってもっとも身近で大切な「水道料金」については、やはり市民さんの関心が高いようで、街なかでもよく話題にのぼります。
しかし、賛成派・反対派ともに明確な説明ができていないのか、いまいちよくわからないという声が多いのも事実です。

市民さんの最大の関心はズバリ「都構想で水道料金、上がるの?下がるの?」という一点です。

まず最初にこの点についてお答えするなら「細かい金額はわからないけど、メリットはない」という感じになります。順に説明します。

住民投票と水道料金は直接関係がない(触れられていない)

そもそもこの住民投票で水道について書かれているのは、「これまで大阪市が担ってきた水道事業は、特別区ではなく大阪府が所管することになる」ということだけです。
事業の手法や料金等については一切触れられていません。

大阪維新の会の特設サイトにはこうあります。

Q.水道料金などの公共料金は変わりませんか?
A.制度移行に伴う公共料金の変化はありません。(抜粋)

ずいぶん微妙で苦しい書き方ですが、こんな表現になるのは上記の理由によるものです。

大阪市の水道料金はすでに府下でも全国でも一番安い

実は大阪市の水道料金は、府下の市町村の中でも、全国の政令市の中でも、最も安い金額となっています。その理由は、大阪市の水道事業の長~い歴史によって、水源や自前の給配水施設が整備されてきたからです。
しかし(詳細は省きますが)、その水道事業は、橋下徹府知事・大阪市長時代に、広域水道企業団への統合や、民営化の圧力にさらされ続けました。

安くて優れた大阪市の水道事業を大阪市が管理することはなんとか維持されて来ましたが、なんと今度は都構想によって大阪市のほうがなくなる可能性が出てきたのです。

先に述べたように、水道事業が企業団に統合されるのか民営化されるのか、それは現時点では「未定」です。だから料金がどうなるかは、誰にもはっきりしたことが言えないのです。

市民の代表が決めていた水道のことは、府全体の代表が決めることになる

しかし「広域=府」が水道を担うことは決定済みですので、今後、旧大阪市の水道事業をどうやって運営していくのか、料金はどうするのかは、すべて府と府議会で決められることになります。

これまで大阪市の水道については、大阪市民“だけ”の代表である市長と議会が議論してきました。
しかし大阪市廃止後は、“府域全体”の代表である知事と府議会が決めることになります。知事と府議会が、特別区(旧大阪市民)のことをどれだけ考えてくれるかは不透明です。

先ほど述べたとおり、大阪市の水道料金は府内で最も安くなっていますから、それが一元化されて府全体として平準化されれば、当然今より料金は上がる可能性が高くなります。

しかも、旧大阪市内と市外の府議会議員の割合は3:7という構成で、多数決では絶対に勝てません。
一部事務組合(※このマガジンのその5を参照)である広域水道企業団ともなれば、旧市民の声はさらに届かなくなるのは確実です。

水道事業に関して、都構想のメリットはない

こういった状況を総合的に考えると、いわゆる都構想は、水道事業に関して大阪市民にほぼメリットはありません。


他の項と繰り返しになりますが、「メリットのないことに」「1000億円のコストをかけて」「元に戻せない致命的なリスクを抱えながら」大阪市を廃止してみることに、どんな意味を見出せるのでしょうか。

本投稿を読んで、少しでもおかしいと感じていただけたら、必ず投票に行き「反対」を投じてください。
棄権や白票では「反対」したことになりません!

水道料金


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