見出し画像

音楽短篇集 「Someone Who Knows Love」 制作のはじまり

「この作品を作ることで、僕は僕自身をもっと好きになろうと思う。

自分自身を肯定して、そして愛することで未来は拓けていくような、そんな気が今はしているから。」

           ☆

僕はこれまでたったひとり、沢山のデモテープを作り続けてきた。

いつか陽のあたる場所で、贅沢を言うなら誰かに気に入ってもらえたらいいなと思いながら。

「いつかは完全な形でレコーディングしよう」
そして、そんなに沢山とは言わないから世の中の人達に聴いてもらいたい。
そんな風に思いながら。

そのいつかが、たぶん「今」であるということを僕は少し前から感じていた。

今年の2月の中頃に上京してきてから、多くの出会いもあった。
そうして出会った人達は、みな僕の背中を優しく押してくれる存在だった。

僕はレコーディングを決意した。
勤めていた会社に事情を話し、僕は会社を辞めた。

その会社は上京してきてすぐに僕を雇ってくれて、これまで勤めた何処よりも僕のことを認めてくれた。

それが本当に嬉しかったし、居心地も良かった。
このご時世の中にあって、だ。

だからこそ、僕はそういうふうに「毎日が幸せであること」と「自分の本当にやりたいこと」がちゃんと重なっているかを考えていた。

答えはノーだった。

僕はあとの事なんてなーんにも考えずに、しばらくの間音楽制作に専念することにした。

心のままに。

           ☆

もちろんそこには大きなリスクが伴うということも承知していた。

今回のレコーディングはかなりの費用もかかる。
そして僕はいったん仕事も辞めて、この制作に専念しているということ。

いったん仕事を辞めたのは時間的に、というよりは体調面での理由が大きい。

もちろん仕事を続けながら時間をやりくりし、体調と相談しながら制作を行うことだって出来るし、それはそれで素晴らしいことだ。

でも仮に、そういうふうにして創った作品は僕にとってMAXだろうか?

たぶん違うと思う。
かけた時間や手間、体調の良しあしだって作品の仕上がりに大きく影響してくる。

欲しいもの、全部は手に入らないな。
欲しいものは沢山あるけれど、僕はやっぱりこれまで作り続けてきた楽曲たちが完成される所を見てみたい。

僕の心の奥底から聴こえる声はそう言っていて、だから僕は幾つかのものと引き換えに、今回の作品の制作に臨むことにした。

本当に完成された形に触れてみたい。
僕自身がそれに対して誰よりも興味があったし、心から楽しみにしていた。

自分の才能を信じている、とまでは言わない。
でも僕は我ながら自分が書いた曲たちが大好きだった。

「うん、なかなかだ。悪くないぞ。」
なんて一人悦に入ったりしながら。

           ☆

そして、この音楽短篇集の制作を共にする仲間。
トキオ(小説「トーキョー・パラレルワールド」に出てくる彼です)とドラマー(公表していい時期が来たら紹介しますね)・・愛する人たち、そして自分自身と、この作品の完成の喜びを分かちあえたら、こんなに幸せなことはないなぁと、そんな風に思っている。

            

今回レコーディングするのは3曲。
作品とか、アルバムと呼ぶには少しさみしい曲数ではあるけれど、予算にも限りがある。それはもう仕方ないことで。

とは言っても、やっぱり僕は「アルバム」っていうものが好きだ。

「名盤」と呼ばれる作品にはストーリーやコンセプト、あるいはそういったものを前面に打ち出してはいなくとも、作品の中に1つの流れみたいなものが確かにあって、いわゆる一曲単位の「シングル盤」とは違うその質感みたいなものが僕は大好きだった。

むむむ。
しかしながら3曲ではとてもアルバムとは呼べない・・。

そしてある時不意に立ち寄った本屋さんの中で僕はふと思った。

「音楽短篇集」っていう概念・・面白いかも、と。

そして偶然にも今回の3曲はどれもミディアムテンポで、全てがラブソングだった。(選曲はトキオ)

1.LIVERPOOL:20代前半、自分にとってのすべてだったバンド。

2.LAST REASON:心から愛した、もう自分の隣にはいない最愛の人。

3.ハイドレンジア:そしてほかでもない、自分自身へ向けてのラブソング。

鞄に忍ばせた短篇集。

好きなときに好きなエピソードを開く。
もちろん気分や時間次第では全編通しで読んだっていい。

でも短篇集なんてものには決まってお気に入りの一話があって、時々不意に読み返したくなる。

人それぞれに、短篇集のなかのお気に入りの一話がある。

短いエピソード達がそれぞれに独立して存在し、その集まりが作品になっている。

僕はそんな短篇集・・音楽短篇集を創ることにした。

タイトルは「Someone Who Knows Love」
直訳すると「愛を知る人」だ。

僕がこの世界の中で関わり合う人や出来事たちを、うまく愛せているのかは甚だ疑問だ。

「愛していた」と気づくのはいつも随分と後になってからで、「バカだなぁ」と自分自身をなじるのが常だ。

まあそれでも、今なお心から愛せる過去があるってことは、結構幸せなことなのかもしれない。

もしかしたら・・今はもう「過去」になってしまったからこそ、こうして素直に愛せるのかもしれない。

願わくば・・もし世界にたった一人でも
この音楽短篇集に触れることで、自分自身を肯定出来るようになってくれる人がいたら、本当に幸せだ。

この作品を作ることで、僕は僕自身をもっと好きになろうと思う。

自分自身を肯定して、そして愛することで未来は拓けていくような、そんな気が今はしているから。

この世界の全ての「愛を知る人」へ。

追伸

12/6までにリリースをする、という公約をある所でしている。
ここから紡ぎ出す物語を、見守ってやってください。
もしよかったら、応援してやってください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?