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真っ茶色とは思えない

その日は、おでんを食べるために「お多幸」というお店へ。友人に「おでんを食べに行こう」と声をかけていたのは1ヶ月近く前のことだったが、私は寒くなってきてからというものずっとおでんの口なので、当日もワクワクしっぱなしだった。

まずは何種類かのおでんと、季節の野菜の揚げ物なんかを注文。大根とか、そういう1番家で食べられると分かっているやつも、つい頼まずにはいられない。でもはんぺんはなぜかいっちばん値段が高かったので頼まなかった。

大根ともちきんちゃく

どれも上品で優しい味付け。偶然、寒い中行列に並ぶことになったのも効いて、優しさと温かさが染み渡る。

何種類かおでんを食べたところで、この店の看板メニューである「とうふ茶めし」を注文することに。

おでんを主戦力としているこのお店には、おでんとは別枠で看板メニューとされている「とうふ茶めし」という存在があるのだ。

とうふ茶めし

真っ茶色で、さぞ味が濃いのだろうという見た目をしている。ビジュアルである程度覚悟をしていたので、真っ茶色とは思えない優しい味にびっくりした。

最後に「もう一品だけ頼もう」と言って頼んだ長芋の磯辺焼き、皿に乗っていたのが5個だったので、じゃんけんをして負けた私は2個食べた。

お酒は、いつもその友人と会う時の量に比べると本当にちょっぴりしか飲んでいなかった。私は、この前日に「zoom飲み」というもはや完全に廃れた文化に触れる機会(約2年ぶり2回目)があったことも響いていたように思う。

2軒目を探したりもしたが、なんか途中で全てが面倒臭くなってしまい、私の家に来てもらうことにした。

「2軒目」の代替として家に来たら普通コンビニで缶チューハイなどを買うことを予想する。ただ、この日はなぜか「紅茶飲んでケーキを食べたい」という意見が一致したので、コンビニでスイーツを買い、それを食べながら紅茶を嗜んだ。

友人にはそのまま泊まってもらい、次の日の朝は私がオムレツを作ったが、砂糖と塩を入れ間違えた。こんな絵に描いたようなおっちょこちょいは初めてだ。

食べ始めてすぐに、「これは絶対に砂糖と塩を入れ間違えた」と気が付いた。ケチャップかかってるし、食べられない味ではなかったが、友人も多分気づいていたと思う。

ただ、これは自分でも理由が分からないのだけど、「砂糖と塩を間違えたと思う」となぜか言い出せなくて、2人で黙ってなんとなく甘いオムレツを食べた。

たまには自宅に他人が訪れることで、貯まった「わざわざ他人に言うほどでもない」の総集編を見せることができるのも結構良い。

赤いTシャツと一緒に洗濯してしまってピンク色に染まったバスタオルとか、30枚入りのマスクをたった一箱だけ注文したときに、それを梱包していた信じられんでかさのダンボールとか。




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