見出し画像

30代のコンサルタントは「YESマン」ではなく「YES BUT NOマン」が良い

30代コンサルタントとして、年上の経営者へ何か提案をする時、私が気を付けている考え方があります。※年上の経営者は40代以上の経営者をイメージしています。

それは「YESマン」ではなく「YES BUT NOマン」になるという考え方です。

「YES BUT 法」というのは、営業マンが良く使う話法の1つで、昔から世の中にある考え方だと思います。
お客様の意見にいきなり反論するのではなく、「そうですね(yes)」とお客様の意見を肯定して、その後「しかし(but)」と営業マンの意見を説明する話法のことです。

今回は、コンサルタントとして、どうしてこのような話法が良いのかを、具体的に説明していきます。

◆YESマンではコンサルタントとしての価値がない

まず初めに、「YESマン」について考えたいと思います。
YESマンというのは、経営者の考えに対して、全て肯定するスタイルのことです。経営者が「○○○が素晴らしい」言えば自分もそれは素晴らしいですねと肯定し、経営者が「×××××ということをやろうと思う」と言えば、確かにそれは良い考えですね、と経営者の考えを肯定します。つまり、経営者の考え・意見に対して全て同意する人のことです。
ここで大事なことは、YESマンというのは、経営者にとって何か役にたっているのかを考えることです。

YESマンのしていることは、経営者の背中を押してあげること、つまり、その決断をする後押しをしてあげることです。

もちろん、経営者の考えていることに対して、自分も本当にそれが良い考えだと思っているのであれば、そこはYES(肯定)をしても良いと思います。
ただ、本当は経営者の考えていることに少し違和感があったり、自分の考えとは違うと分かっているのに肯定してしまうのは、コンサルタントとしては価値がないと思っています。

価値がないと厳しく言いましたが、私自身、20代の時、30代前半の時はそのように考え、とにかく経営者から嫌われないようにと「YESマン」になっていた時もありました。
そのようにしてしまう心理としては、やはり、この経営者に気に入られて、なんとか仕事をもらい続けよう・・・という浅い考えがはたらくのだと思います。

コンサルタントの価値は、第三者として、客観的にその考えが「良い」か「悪い」かを伝えてる(判断を提供する)ことだと思います。毎回経営者の意見に同調するだけでは、経営者からするとそのコンサルタントには価値を感じなくなるのは当然です。

◆「NOマン」スタイルは、30代コンサルタントには難しい

次に、経営者の考えに対して、反対する「NOマン」について考えてみたいと思います。NOマンは経営者が考えていることに対して、すべて「それは違います。」と否定したり、別の意見を言うスタイルです。
経営者からすると、自分と違う意見(違う視点の意見)を言ってもらえることは一定の価値を感じるかもしれませんが、自分の考えに対して全て否定をされると、その考えだけでなく、自分自身も否定されたように感じます。

また、人間であれば誰でも、否定をされるというのは良い気分ではありません。特に、私のような30代のコンサルタントが自分より人生経験、ビジネス経験の豊富な経営者に対して「それは違います」と直接的に伝えるのは、かなり角が立ちます。

このような「NOマン」スタイルというのは、自分自身で成功を収めている人である程度の年齢の人であれば良いと思います。例えば、ソフトバンクグループの孫正義氏やユニクロの柳井氏のような経営者が、若手経営者に対して何かアドバイスをするのであれば、ズバッと否定をしてあげることでも価値はあると思います。ただやはり、30代の若手コンサルトが、年上の経営者に対して何かアドバイスや提案をする際は、常に「NOマン」でいると、人間的に嫌われて、関係性が続かなくなると思います。
※10回に1回ぐらいは、ズバッと踏み込んでみてもいいとは思いますが。

◆経営者に上手く自分の考えを伝えるのは「YES BUT NOマン」

「YESマン」と「NOマン」という両極端なスタイルについて書きましたが、私が経験してきた中で良いと考えているのは「YES BUT NOマン」というスタイルです。
「YES BUT NOマン」を簡単に説明すると、経営者の考えや意見に対して一度は肯定して受け止めつつも、違う考え方、別の角度からの考え方もあると伝えていくことです。
例えば、「社長の考えていることも分かります。確かに社長の言っていることも正しいと思いますが・・・ただ、このように考える方がもっと御社は良くなると思いますよ。」というようなイメージですね。

そうすることによってYESマンのように社長の考え方に共感している、社長のことも理解しているという姿勢も見せながら、NOマンのように社長とは違う視点での意見を伝えることができます。
特に、30代のコンサルタントが年上の経営者に何か伝えるには、まずは一度経営者の考えを受け止めて、肯定して、それも確かに分かります・・・・という「共感」している姿勢を示したうえで、自分の考えを述べるということが重要だと思います。

頭で分かっていても、自分とは違う考えを目の前で聞くと・・・「いや、それは違いますよ。」と、つい口を出してしまいたくなりますが。


◆「YES BUT NOマン」の応用

「YES BUT NOマン」の基本スタイルは、先ほど記載したように、

①「社長の言っていることは分かります。ただ、こうした方がいいですよ。」
⇒これは、一度経営者の意見を受け止め・肯定しつつも、その後別の視点で提案をする。(反対意見を伝える など)というものです。

[例:社長が行動力のある田中さんを次の経営幹部にしたい気持ちも分かります。ただ、鈴木さんの方が全社最適の視点があるので、鈴木さんの方が経営幹部に向いていると思いますよ]


それ以外のパターンでは、例えば

②「社長の言っていることは分かります。ただ、今はこっちを先に対処した方がいいですよ。」
⇒NO(否定)ではないが、時間軸・優先順位を考えてもらう。

[例:社長がアフターコロナのことを考えて、新しい事業に投資したいというのは分かります。ただ、今はまず今年1年間の売上や資金繰りのシュミレーションをして、手元資金を十分に確保することが重要です。]というイメージです。


③「社長の言っていることは分かります。でも、お客様からすると(もしくは、従業員からすると)、どのように思いますか?
⇒自分でNOというのではないく、経営者に視点を変えてもらって、自分の伝えたい方向へ誘導する。経営者自身へ問いかける。

[例:社長がおっしゃるように、今後すべての営業はオンラインで実施するという考えも分かります。ただ、ITリテラシーの低い年配のお客様のことを考えると、一部はアナログでの営業体制も残した方がよいと思いませんか?」]というイメージです。


④「社長の言っていることは分かります。だからこそ、今これをやりましょう。」
⇒これは、「Yes so That 法」という、○○○なんですね。と一度経営者の考えを受け止め、「だからこそ」~ と伝える話法。

[例:社長の志・ビジョンは分かりました。だからこそ、今の時期に次世代の経営チームを育てる方がいいと思います。社長自らが考え方を教えていくことが必要だと思います。]というようなイメージです。


<まとめ>

いろいろと書きましたが、
今回のコロナのように、世の中何が起こるか分かりません。経営判断をする中では無数の選択肢があり、どれが正解かも分かりません。
経営者とコンサルタントで、意見が違って当たり前です。

結果的には、経営者の考えがあっていたかもしれないですし、やっぱりコンサルタントとして提案したことを選んで良かったということもあります。ただ、その選択があっていたかは、長い目でみないと測定できないことが多いと思います。

30代のコンサルタントとして大事なことは、コンサルタントとして、自分が正しいと思ったことを伝える努力と、経営者に行動を変えてもらえるように伝える工夫をしなくてはいけないと思います。これは、年齢を重ねて40代、50代のコンサルタントになった時に勝手にできるようになるものでもないと思います。若いうちから、経験を重ねるしかありません。
※「YES BUT NO」を試みようとしても、YES(肯定・共感)の部分が少なすぎて、経営者からするとただのNO(否定)をされたと捉えられる・・という経験を私も何度もしています。

コンサルタントとして、言いたい事を言った。けど、経営者には伝わらなかった。というのでは、ただの自己満で、世の中の役に立っていません。
※むしろ、ただのNOマンとなり、経営者の気分を害しただけです。

結局大事なことは、「経営者のこと、お客様の企業のことを第一に考え、何が一番良い選択かを真剣に考え行動する」ということだと思います。

そうすれば、手法はどうあれ、経営者に伝えようと工夫をしますし、その必死さは熱意となって経営者も提案を聞いてくれるのだと思います。

この「YES BUT NOマン」という考え方は、コンサルタントだけでなく、全ての仕事に共通するものだとは思います。また、ビジネスだけでなく、家族や友人・恋人などの関係性であっても重要なことだと思います。

あなた自身は「YESマン」「NOマン」「YES BUT NOマン」のどれに当てはまったでしょうか? 周りの知人はどのタイプが多いでしょうか?

ぜひ、これを機会に考えて頂けると幸いです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?