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新規事業を立ち上げる6つのステップ【基礎編】

最近ニュースなどでも良く耳にする「ニューノーマル(新常態)」とうい言葉。
世の中の構造変化は避けられないと思います。

このような時期だからこそ、これからどのような事業をすればいいか、何か新しいことをはじめたい。と思う経営者の方、ビジネスマンの方が多くいると思います。

本日は、「新規事業」を考えるために必要だと私が考える6つのステップについて書きたいと思います。


企業を成長発展させ続けるためには、未来への種まきが必要


日本には創業100年以上の会社がいくつもあります。
その中でも酒造や味噌、建設業など、1つの事業だけで100年続いた会社もあれば、創業時とは全く違う事業をやっているケースもたくさんあります。

1つの事業であっても、別の事業をする場合あでも、
大切なことは、企業を永続発展させるためには、時代の流れに合わせて新しいことにチャレンジしていくことが必要だということです。長く生き残っていくためには、世の中(お客様)が求めているものを提供し続けることです。

2019年の帝国データバンクの情報によると、日本企業の平均寿命は37年
アメリカ企業の平均寿命は15年
というデータがあります。

企業寿命 >事業寿命と考えるならば、1つの事業の寿命は10年~15年ほどと言えると思います。
※昔は1事業30年と言われていましたが、今はどんど事業寿命は短くなっています。

さらに、テクノロジーの進化と、お客様ニーズの多様化、
そして、新しいタッチポイント(顧客接点)の増加により、この変化のスピードはどんどん加速し続けることが予想されます。

このような時代において、どのように新規事業を立ち上げていくのか、そのポイントをお伝えしていきます。

ステップ1.目的を考える、設定する

まず第一にやるべきことは、新規事業を「なんのためにやるのか」という目的をしっかりと設定することです。

目的というのは、人が動くための原動力・エネルギーとなるものです。
それなしには、人は動きません。

多くの方が経験あると思いますが、新規事業は簡単にはできません。
ある程度軌道に乗せるためには、十分な準備、資源(お金・人・時間)の投入が必要です。例え資源を投入したとしても、成功するかどうか分からないこともあります。

ただでさえ、難しい新規事業を、目的もなくやろうとすると、さらに難易度は跳ね上がります。

目的があるからこそ、人は壁にぶつかった時、困難に直面した時にもそれを乗り越えようとします。
※逆に言うと、目的がなければ、人は簡単にあきらめます。

目的を設定する際には次の2つポイントを意識すると良いと思います。
①会社の理念・ビジョンからずれていないかを考える。
②長期的な時間軸で考える。

①理念・ビジョンからずれていないかを考える。については、

例えば、「食を通じて、世の中を幸せにする」という経営理念を掲げている企業が、今回のコロナの影響で実店舗の運営だけでは厳しいから、
「宅配事業を立ち上げ、実店舗に代わる新たな柱にする」という目的を立てるのは良いと思いますが、「WEB事業を立ち上げて、テレワーク環境の支援をすることで社会に貢献する」という目的だと、理念からズレてしまいます。
新しい事業をやる目的が、自社の理念からずれていないかをまず第一に考えましょう。

②長期的な視点を持つ
これは、1年、2年という単位での目的よりも、5年先、10年先を見据えてなんのためにこの事業をやるかという視点を入れるということです。
短いスパンだけで考えると、「結果をすぐに求める」ことになり、お客様第一という視点や、世のため人のためという視点が欠けやすくなります。



ステップ2.アイデア出し


次のステップは、アイデアを出すことです。

やはり新規事業を始めるためには、アイデアがなければ実現できません。

◆着眼点について

新規事業を発想する着眼点には下記のようなものがあります。

①お客様のニーズから発想する
 ・お客様の行動を観察する(エスノグラフィ)
  ・お客様から直接ニーズをお聞きする(座談会やアンケート 等)

②自社の強みから発想する

③競合、代替サービスから発想する

④他業界のサービスから発想する

①~④の着眼点から、どのような新事業ができるかをまずはたくさん数を出すことが大事です。

◆アイデアは既存の要素の組み合わせ

新規事業を考える際、今まで世の中に全くなかった、新しいもものがゼロからできるということはほとんどありません。
多くの場合は、すでにある要素と要素の掛け合わせで新しいアイデアは生まれます。

※スマホも「携帯電話」×「パソコン」の組み合わせですし、ウーバーイーツのような宅配サービスも「出前」×「ギグワーカー」(ネットを通じて単発で仕事をする人)の掛け合わせです。
※最近のトレンドでは「○○○テック」とか「サブスクリプションモデル」のようなものがどんどんでてきますね。
今の自分の仕事を上記2つの「~テック化できないか」「サブスクリプションモデル」を作れないか、と考えるだけでも何かアイデアはでると思います。

このように、アイデアの要素となるものをたくさん集め、それを組み合わせていく、掛け合わせていくということを何百、何千と繰り替えす中でアイデアは生まれてきます。

アイデアの作り方については、下記の記事にまとめていますので、よかったら参考にお読みください。

◆アイデアの要素となる情報収集の方法(参考)

私が何かアイデアを集める際に使っている方法をいくつかご紹介します。

1.異業種との交流をする。
  ※最近ではオンラインでの交流もできるので、気軽に参加可能

2.社内でアイデアを募集する
  最近の流行りなどは、若手社員の方が情報をもっていることもある
  身近な人から話を聞くと、意外と良い情報が集まります

3.展示会などに足を運んでみる
 特にその業界の最新技術が分かることが多いので、面白い発見がたくさんあります。コロナの影響で今後どうなるか分かりませんが、展示会は一般の人でも見に行けるものがあるので、興味があればぜひ行ってみてください。※特に自分の仕事と全く違う業界の展示会についくのがおススメです。

4.クラウドファンディングのサイトを定期的にチェックする
クラウドファンディングは、世の中の人の興味・関心が分かるので良いと思います。特に、目標達成している案件をみると、しっかり応援されているもの、世の中が認めているものが分かるのでお勧めです。

※国内でのクラウドファンディングサイト
 ・ READYFOR (レディーフォー)
 ・Makuake(マクアケ)
 ・CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

ステップ3.投資シュミレーション


ステップ3は、ステップ2で出てきた新規事業のアイデアに基づき、どれぐらいの投資費用が必要か、その投資費用はいつまでに回収できそうなのかを考えてることです。

私の体感上、多くの経営者は売上や利益についての計画を立てますが、投資回収のシュミレーションまでしていない方もいるなという印象を持ちます。
※初期投資額は確認しますが、いつまでに回収するかもセットで考えると良いです。

投資回収のシュミレーションは下記の図のような手順で行います。


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◆新規事業のシュミレーションをする際は、

投資回収 > 利益 > 売上 の順番で大事だと私は考えます。

いくら売上が大きくても、利益がでなければ意味がないですし、利益がでても投資回収のメドがたたないのであれば、初めから投資をしない方がよいからです。
最低限、投資回収を数年でできる計画がないと、大きな損が出てしまいます。※今は経済環境の変化が激しい時代です、計画通り進まないこともあります。あくまで個人的な考えですが、先のよめない時代に、投資回収が5年もかかるような事業はちょと不安ですね。

ステップ4.プロジェクトチームの選定


次のステップは、新規事業を実施するプロジェクトチームの選定です。

新規事業を始める際は「何をやるかと同じぐらい、誰がやるかが大事です」

◆ポイントは次の3つです。

①0⇒1を生み出す人と、1⇒10にする人は違う

新規事業は、文字通り「新しい事業」を立ち上げることです。
人にはそれぞれ得意・不得意なことがあり、新規事業に求められる能力は、

「抽象的なアイデアを、具体化して、カタチにする」ことです。
また「数字に強く、収益化までの道筋が立てられる」「課題をみつけ、主体的に動くことができる」といった能力が求められます。

既存事業において力を発揮している人を抜擢した際に、きちんと能力が適切かどうかを考えてから、メンバーを選ぶことが大事です。

※新規事業が得意な人かどうかを見極めて、リーダーを決めましょう。

②プロジェクトチームを選ぶ場合は、立候補制にする

これは、1つの考え方ですが、
新規事業のメンバーは社内から立候補制で選ぶと良いです。
新規事業は、とてもエネルギーが必要な仕事です。中途半端な思いではなかなかうまくいきません。
「自分にやらせて下さい。」という主体的・前向きな気持ちのある人に任せる方が、結果として上手くいくことが多いです。

③社内だけで人手が足りない場合は、外部から人をスカウトする

会社の状況にもよりますが、どうしても成功させたい新規事業がある場合、社内に適任者がいなければ外部から人を採用することを考えると良いです。

経営者の方から、「新規事業をはじめたい、アイデアもあるんだが、任せることのできる人がいない」という話をよく聞きますが、
自社の将来のためにどうしてもこの事業をやる必要があるのであれば、社員の成長を待っている必要はないと思います。

もちろん、企業の社風にあうか、能力を十分に持っているかをきちんと確認した上で採用しなくてはいけませんが、スカウトによる採用はとても効果的だと思います。

私は、「スカウトというのは、小さなM&Aである」と考えています。

スカウトをすることによって
1.新しいノウハウを社内に取り込める
2.時間というコストが大幅に削減可能
  ①スカウト人材の経験値
  ②社内での人材育成時間
3.既存の社員にも刺激を与え、切磋琢磨できる

ということができます。
これは、企業にとってとても大きな効果があります。

新規事業を社内の人間でけで進めるのが難しい場合は、社外からスカウトすることなども考えて柔軟にプロジェクトチームを作りましょう。


ステップ5.目標の設定


新規事業の目標を考える際は、次の4つの観点から考えると良いです。


①定量目標
何を、どれぐらい達成するのか。(計測できるもの)
例:年間売上 1億円  1人当売上 500万円/月  新規顧客数 ●●名  など
  
②期日目標
いつまでにやるのか。

③感情目標
社内の人、チームメンバーはどのような感情になっているのか。

例:「1人1人がこの事業に携わっていることに誇りを感じている。」
  「自分の家族・友人・知人に仕事が楽しいと本心で話せるようになる」
         
④状態目標
定量目標を達成した時に、どのような状態になっていたいか。

例:チームのメンバー全員がその事業の強みを理解し・表現できる
   関東の人なら誰もが○○○を知っている状態になる など

①と②の定量目標、期日目標というのは多くの会社で実践していると思います。
私はそこに加えて、感情目標と状態目標を加えることで、「達成した時のイメージをより明確にする」ことや「チームのモチベーションを上げる、維持
する」という効果があると思います。
数字に苦手意識がある人を巻き込む際などにも効果があります。

◆撤退基準も決めておく

新規事業のプロジェクトにおいて、よく出る課題の1つが、
「上手くいかなかった場合、いつまでやり続けるか・・・」というものです。

始めたはいいが、思ったほど成果がでないということはあると思います。
私は、最初に「撤退基準」を決めてからスタートすることが良いと思います。

【撤退基準の例】
1.単年度黒字化までの期間を決める
  例:202X年までに黒字化できなければ、撤退する

2.累計赤字額を基準にする
  例:事業を始めてからの累計損失が○○○○万円になったら撤退

3.目標利益を基準にする
  例:202X年までに目標利益○○○に到達しなければ撤退する

とこのように撤退基準を決めてから、スタートすることで、プロジェクトの途中で、「いつまで続けるか・・・」と悩むことがなくなります。
また、プロジェクトチームのメンバーにも最初に撤退基準を伝えることで、退路を断つことができます。(成功するまでやっていいというのではなく、ここまで来たら辞めると伝えるのは大きな意味があります)

撤退基準に関しては、これだけ資源(お金、時間)を使ったからもったいないと思う、いわゆる「サンクコスト」を意識しないことです。
使った時間とお金に関しては、「良い勉強代になった」と思って、次へ活かしましょう。上手くいっていない事業をさらに続けるより、気持ちを切り替えて、新しいことに取り組む方が会社へ良い影響を与えます。

ステップ6.実行計画の作成

最後のステップは、1~5までで決めたことを、実行計画に落とし込むことです。

実行計画に関しては、特別なものはいりません。

①目的・ゴールを再度確認する
②誰が、いつ、何を、どのようにするかを具体的に決める。
※計画を見れば行動できるようにする。
③チェック日、チェック担当者を決める。全体の進捗をコントロールする。

という内容が含まれていれば、それで良いと思います。

実行計画は、それを作ることが目的ではなく、その計画をもとに実践することが目的です。
プロジェクトチームが運用しやすい計画表を作りましょう。

まとめ

(1)現事業が順調なうちに、未来への種を蒔いておく

(2)目的を明確にする

(3)まずは情報収集を徹底しておこなう

(4)アイデアを出すためには、とにかく組み合わせを
  試してみる

(5)何をやるかと同じぐらい、誰がやるかが大事

(6)投資シュミレーションをしてから、判断する

(7)撤退基準を決めておく

今回は基礎編として書きました。
細かいところは書ききれていないこともありますので、個別の相談や質問などある方はぜひコメント頂けますと幸いです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。




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