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カタチのないものを売るために

経営コンサルタントとして仕事をしていく中で、特に難しいと感じることは「お客様から仕事を頂く」ということです。

もちろん、仕事を頂いたあとも難しいことはたくさんありますが、本日は、「仕事を頂く」ために私が実践していること、気を付けているポイントを少し共有できればと思います。

コンサルタントだけでなく、営業、接客業など、様々な職業の方の参考になれば幸いです。

1.コンサルタントの商品・サービスとは

まずは、経営コンサルタントの商品・サービスについて考えてみます。

コンサルタントが企業に提供しているものは、
例えば、
・企業診断
・中期計画の策定支援
・戦略立案
・企業の強み、弱み分析
・人事評価制度の導入支援
・営業力強化支援
・生産性の改善支援
・新入社員研修
・管理職研修
・経営幹部研修

など・・・様々な仕事があります。

大きく分けると、
①企業の現状や業界について 「分析」をする仕事
②企業が抱えている課題を解決するための「プロジェクト」をする仕事
③定期的に経営者と面談をしたり、経営会議に参加をしてアドバイスをする「顧問型」の仕事
④新入社員から経営幹部まで社員の「研修」をする仕事

というような4つに分類できると思います。
そしてその全てが「カタチのないサービス」であるというのがコンサルタントの仕事の特徴です。

「カタチのない」という表現は、見ただけではその商品・サービスの良さが分かりづらいという意味です。(パンフレットなどはありますが、それだけで良さを伝えるのは難しいです)

コンサルタントの仕事の中で、パッケージ化されている「研修」であれば、ある程度相手にイメージしてもらえることもありますが、お客様向けに1からカスタマイズして提案する研修などはやはり「カタチのないサービス」になると思います。

コンサルタントとして仕事をしていくためには、この「カタチのないサービス」をどのようにお客様に買ってもらうかを考えることがスタートです。

これができるかできないかで、コンサルタントの実力は大きく差が開きます。

私の主観ですが、今の日本ではこの「仕事を頂ける」能力のあるコンサルタントは少なくなっていると感じます。

それは、昨今「チームコンサルティング」ということが主流になり、大手コンサルティング企業では、「仕事を取ってくる人」、「取ってきた仕事を実践する人」が分かれているからです。
※多くの場合、一番実力のある人が仕事を取ってきて、全体のマネジメントをしながら、他のコンサルタントに仕事をふるケースが多いです。

そのため、「コンサルタント」という肩書で仕事をしている人でも、自分で案件をとってきた経験がない。という人は意外と多く存在します。

30代でコンサルタントになるためには、まずはこの「仕事を取ってくる能力」を身につけなくてはいけないと思います。


2.カタチのないものを買ってもらうために

では、「カタチのないサービス」を実際に買って頂くためには、何が必要でしょうか。

私が特に大事だと思うポイントは、次の3つです。

(1)誠実に接すること

①誠実でない人に、コンサルティングは頼まない。
一番大事なことは、「誠実」に経営者の方、お客様に接するということです。
例えば、iPhoneのようにカタチのある商品であれば、店員の態度が多少悪くても問題ないとは思います。
また、カタチのないものでも、リスクが少ない商品であれば、買ってくれる人もいるかもしれません。
ただ、コンサルタントが提案をするものは、大半のものは企業の業績に影響するものです。会社にとってリスクがある提案であればあるほど、「誠実さ」がなければ仕事を頂けることは難しいです。

特に、20代・30代の時は、実績も少ないので、せめて、「この人は誠実だな」と思われるための努力を欠かしてはいけないと思います。

②できること、できないことを明確に伝える
「誠実」かどうかの1つの基準としては、できることと、できないことをはっきり伝えることが大事だと考えます。
よく経営者の方から、「○○もできる?」「○○のようなことをしたいんだけど・・・やってくれる?」と様々な相談を頂きます。
その時、「自分の利益を優先して、本当はできないこと、自信のないことを、『できます』と言うことは、とても不誠実です
それはほとんど詐欺に近い行為です。
※程度の問題ですが、やったことのない仕事も、ある程度できるイメージがあれば「できる」と言ってもいいですが・・

いくら経営者の方から依頼され、仕事を頂けそうなことであっても、
「自分の実力・知識が足りずにできないのであれば、できないときちんと伝えるべきです」
一概には言えないですが、
◆できるかどうかわからない時は、少し返事を待ってもらう
 ⇒仕事の段取り、進め方を考えて、できそうであれば引き受ける。

◆できる範囲を明確にお伝えして、その範囲だけでいいかを確認する
など、経営者の方へしっかり事実を伝えることが大事です。

③メリットだけでなく、デメリットもしっかり伝える
コンサルティングは、魔法ではありません。
やってみなくては分からない事、成功するか分からないこともあります。

仕事を始める際は、メリット、デメリットを伝えることが重要です。

ご支援をさせて頂いた結果、上手くいったときはこうなる。
ただ、上手くいかない時や、仕事を進める中で発生するリスクについても、仕事を始める前に伝えるべきです。

(2)ゴールイメージを共有する

 コンサルティングは「カタチのないサービス」だと書きましたが、大事なことは、お客様が「求めている成果」「期待していること」「アウトプットのカタチ」をしっかりと確認し、共有することです。

ここが間違っていると、お客様もコンサルタント自身も不幸になります。

例えば、
「人事評価制度の構築支援」や「中期計画作成」などは、資料やレポートなどを残すことで最終的なアウトプットのカタチがイメージしやすくなりますが・・・
「社員研修」や「経営会議への参加」「アドバイザリー」といった仕事は、経営者からは、「思っていたほど効果がない」と疑問を持たれてしまうこともあります。

社員研修を実施した際に、得られる効果と、その効果の持続性、変化の幅や、コンサルタントが会議に参加する価値については、きちんと経営者とすり合わせをしておくことが、仕事を進めるうえでとても大切になると思います。


(3)丁寧に進捗状況を共有する

長期のプロジェクトであればあるほど、事前の打ち合わせも大事ですが、途中の進捗報告もとても大切です。

①経営者から聞かれる前に自分から
 コンサルティングの進め方は、様々ありますが、
プロジェクト形式で、3カ月~1年近くかけて実行する支援の中に、経営者が直接関わらないものもあります。
そういうプロジェクトの場合、特に気を付けなくてはいけないのが「定期的に進捗を報告する」ということです。
経営者は、コンサルタントに依頼したしたプロジェクトが今どこまで進んでいるか、とても気にしています。
経営者から聞かれる前に、自分から随時報告をするということがとても大事なポイントになります。

※何かプロジェクトの進捗があるたびに報告をするか、もしくは2週間に1回、月に1回などの頻度を決めて報告をするのが良いと思います。

例え同じ結果を出していたとしても、報告をしているか、していないかで、経営者側が感じる満足度には大きな差が出ます。


②悪い時こそすぐ報告する
進捗状況の報告において、特に大事なことは、
「悪い情報こそ素早く報告する」ということです。
何か依頼されているプロジェクトで問題が発生したとき、想定していたように上手く進まなくなったりした際に、まずはお客様へ報告をして、そこから対策を検討していく方がよいと思います。

もちろん、自分の不手際、ミスで発生した状況であれば、そのことをお客様へ報告をすることで仕事が続かなくなる可能性もあります。
報告をしなくても、なんとか自分でリカバリーできる内容かもしれません。

ただ、私は、小さいことでも細かく報告する方が、結果としてお客様、経営者からの信頼を得られると思います。

経営者から、「そんなことまでいちいち報告しなくてもいいよ」と言われるぐらいがちょうどいいと思います。
※実際、私がお仕事をしている経営者の方で、そのようなことを言う方はほとんどいません。


3.まとめ

カタチのないものを提案して、仕事を頂くために、

「誠実に接すること」
「ゴールイメージを共有すること」
「丁寧に進捗を共有すること」

の3つが大切だと書きましたが、

結局は、「お客様のために何ができるか。お客様はどうしてほしいか。」を考えていけば、おのずと上記3つのことはできると思います。

これは、どのサービスにおいても同じだと思います。

2つの例をあげて考えてみると


1.家を建てる場合(家を買う場合)

①誠実さ
検討している予算内でできること、できないことをしっかりと伝えてほしい。建て方、家に使う材料の違いによってのメリット、デメリットを教えてほしい。とお客様は思います。

②ゴールイメージの共有
建物の完成形(ゴール)のイメージもしっかりと共有してからでないと、判断できません。※完成形が分からないまま、家を買う人はほとんどいないと思います。

③進捗の共有
注文住宅であれ、マンションであれ、今の建物の完成状況の進捗については報告が欲しいと思います。
何も途中で連絡ないと・・・不安になります。

2.もっと身近に考えると、レストランの食事も同じです。

①誠実さ
料理の金額、会計方法、待ち時間がどれぐらいか、提供までどれぐらいかかるかなど、サービスについて誠実に教えてほしい。(多くのレストランでは、調理に時間がかかる際、「お時間かかりますがよろしいですか?」と聞いてくれたりしますよね)

②ゴールイメージを共有する。
メニューに写真が載っていれば、それである程度分かりますが・・・
メニューの名前だけでは分からないものは店員に聞いて確認したりします。

③進捗の共有について
コースを予約した際など、よく、「残り何品でできますか?」とか、「ラストオーダーまであとどれくらいですか?」など聞いたりしますよね。
※何も言わずにラストオーダーの時間が過ぎてたりします。


このように、多くのサービスにおいて、本日の話は通じるところがあると思います。

ぜひ、皆さんもお客様へ何かサービスを提供する際には、
「誠実に接すること」
「ゴールイメージを共有すること」
「丁寧に進捗を共有すること」
を意識してみてください。

最後まで読んで頂きありがとうございます。




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