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野窓 礼峰
2024年7月13日 11:02
三階なのに地下室のような場所長いベンチの上に何人かの男達ゴーと永遠と空調の音思えば明るさを求めてやって来たのかそれとも暗さを求めてやって来たのか浅い海か深い海か溺れてしまえば同じこともうすぐ幕が開く何も考えずに何も思わずにぼんやりとした意識のまま疲れた椅子にもたれかける
2024年8月9日 08:37
何かが終わったあと何処となく空しいのは容れ物を無くしてしまったから溢れた想いは飛翔し空を漂う
僕は階段の最上階に佇んでいた。誰かが来ないかもわからない。登ってきたところで「おはよう」「お疲れさまでした」のような簡単な言葉を行き来するだけ。無言の時間の方がずっと長い。むしろその時間の方が心地よかった。誰にも侵害されることのない時間も必要だ。その正方形や長方形の空間でゆっくりと時間が過ぎていく。 僕は最近空を見ていない。
2024年8月15日 22:02
胸高鳴った夏の日どうしても手に入れたいものがあった紅い太陽が天まで昇る──何故?と私が呟く羞恥とは得難い体験の一つとして記憶とは失うことのできない存在としてどこまでも付いてくる砕けた心の一つ一つに命が宿る見て見ぬふりできぬ光源のように私の記憶は痺れ動けない──いいんだ、それで──仕方がなかったんだ、それはまた私が呟く──バイバイ──また明日──それじ
2024年8月11日 23:38
あなたが差し出した透明な箱蓋を開けると海が広がるそうその時私は開けなかった開けられなかったどこかであなたを見失った真昼時ビルとビルの隙間から眩しい光が差し込む誰もいなくなった小屋に私と私引き出しの中に透明な箱いくつもの扉があって檜の香り、ラベンダーの香り、金木犀の香りどれもあなたの好きなもの再び訪れない日々を懐かしむのは悲しいから箱を床に落とした
いつでも予防線を張ってそして非難を受けないように受けないようにヘラヘラしているどうしようにもない奴ら見守られているのが心地よいと感じるどうしようもない馬鹿者で生ぬるい夢を見続ける哀れな人達なんだろう見守る側も気持ちが悪い優しい眼差しというのは嘘っぱち優しい眼差しを向ける己が好きなだけ芸術の底辺を彷徨う愚か者努力を見せようとするな情けをかけられているに過ぎないと気付け
2024年8月9日 08:36
悲惨な体験を語り継ぐにはあまりに悲惨すぎた現実が虚構を超え現実が想像を超えその時だけその瞬間だけまじめ腐った深刻そうな顔をする明日から何事も無かったかのように忘れる馬鹿のくせに真面目な顔で深刻な顔で世界が変わるなら誰も苦労しないなればこそ隣人にほほえみを
2024年6月26日 16:25
行き場を無くした虫のような車たちがぐるぐるコンクリートの上を彷徨っている泣き喚く赤ん坊殴り合う若者たち転ぶ老婆突然叫ぶおっさん目の前は阿鼻叫喚の地獄が広がっていてもイヤフォンで耳を塞ぐねぇ、どんな音楽聴いてるの?JPOP?KPOP?HIPHOP?それとも演歌?ロックンロール?どのような問いにも答えず喧騒の中をモーセの如く歩く多分自分が刺されてもしばらく気づ
2024年7月26日 21:16
僕はやることなく過ぎていく日々をやることなしにただ眺めているやることといえば人の粗探し違和感があれば反発し否定したくなるあわれな暇人人を信じることもできず信じようともしなかった本当は信じたいくせに戻る言葉にただ、ただ、信じられなかった自分に心が薄くなる人に期待しないと言いながらどれだけ人に寄りかかり頼りにしているかどうしていつも裏返しの心が僕の心の中で
2024年6月24日 00:36
深夜にきらめく楽しい思い──私達案外上手くやっていけるんじゃない?ぽっと照らされる未来だが相手の顔暗くて見えない答えを待つが、どこにも答えは無い瞬間の光は私の内側だけを盛大に照らしたどこにも届かない光──きっと上手くいくよあなたの瞳に光は無かった思い上がりの花火は真っ暗な空に消えてなくなる
2024年6月14日 22:58
不安という木に縛り付けられて身動きできない止まり木に宿る鳥達は糞を垂らしてはどこかへ飛び去る
2024年6月13日 20:29
真昼時赤く点滅するランプと爽やかなブルーのシャツ車が2台仲良く並んでいる険しい顔をした人々がうろうろと誰かと誰か話している無関心、あるいは関心のある車たちが通り過ぎるしばらく経って同じ道を通ると何事もなかったように何かあったのだけれどもその痕跡は消されていた夜になると消された痕跡すらも記憶の中から消されていく
2024年5月7日 15:19
後ろ姿は行方不明者どこにも顔はなく僕は似たような人をいつでも探している遠くから声をかけても振り向きもせずどこかを目指してあるいているだけ記憶は曖昧になっていきぼやけた鮮度の低い面影が流れる雲のよう記憶からも遠ざかっていくあなたは行方不明
2024年5月7日 15:13
季節にそぐわない暑さなのに長袖のあなたは「寒い」といういつからか、夏でも寒い日があれば冬でも暑い日がある多分、そんな風にあなたを見つめていたそんな風にあなたを眺めていたしばらくエアコンを使っていない気にならなかった温度差は耐え難い苦しみに変わりまだ寒い春を過ごしている長袖のあなたも不機嫌な顔をしている