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階段

 僕は階段の最上階に佇んでいた。誰かが来ないかもわからない。登ってきたところで「おはよう」「お疲れさまでした」のような簡単な言葉を行き来するだけ。無言の時間の方がずっと長い。むしろその時間の方が心地よかった。誰にも侵害されることのない時間も必要だ。その正方形や長方形の空間でゆっくりと時間が過ぎていく。

 僕は最近空を見ていない。

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