UX学論

インバウンド向けサービス開発のための市場調査をする中でわかってきたこと

下の写真は大阪の黒門市場にある鮮魚店の前である。店頭でお店の人がウニをほじっていて、その場で食べられる屋台形式になっている。ここ数年の黒門市場でインバウンド向けに一気に増えた業務スタイルである。

今、私はXデザイン学校での研究のため、チームを作ってサービス開発をするための前調査を行っている。

仕事であれば、本来はクライアントからの問題提起だったり要望があると思うが、今回は研究という名目の元、自分たちでテーマなりクライアントを見つけてサービス開発を行うということなので、まずはテーマなりクライアントの対象に提案できそうなネタを探しているところである。

本来はこういうやり方ではないと思う。
いや、自社サービスを作る場合はこういう入り方もあるとも思う。

ただ、全くなんにもないとこからのスタートかと言えばそうではなく、一応の自分たちが持っている「自分がやりたいこと」というのがある。そういうのもなんにもなかったら、正直そこらによくいる別にそれが得意なわけではなくただ話すのが好き(自分ではうまいと思っている)なだけで実は実績もなんにもない安っぽいコンサルみたいなことになるので、さすがにそこは「何でも来い!」というわけではない。

やはり、少なからず自分が関わる意味というのも必要だと思っている。
つまり、そういったスキルがあったとしても、ただ「できる」ということと「やりたい」と思えることは違うと思っている。

そんなわけで、私たちがやりたいことはこんなことだ。
・情報とテクノロジーを融合させた新しいソリューション(メンバーより)
・海外の人に日本でお金を使ってほしい(私より)

このふたつの自分たち的に取り組みたいテーマと、社会問題と、クライアントが抱える問題が合致するものを提案したい、ということである。

で、なんで黒門市場にいたの?

その理由を今からお話します。

私たちが取り組みたいテーマのひとつ「情報とテクノロジー」という部分で、情報って例えばなんだろうね〜っていう話をしていて、今って情報過多じゃないですか。一体どういう情報があればいいんだろうね、どういう取得の仕方ができればいいんだろねって話をしていました。

プラス、私が取り組みたいテーマ「海外の人に日本でお金を使ってほしい」使ってもらには。そうした時、そういえば海外の人ってどうやって日本のこと調べてくるんだろうね、どういう情報があったらうれしいだろうね、便利だろうね、というところで、一回海外の人が日本に来てどういう動きをしているか見てみようか、となりました。

で、ニュースで「今一番海外の人が集まる場所」というところで大阪が挙げられていたことを思い出し「なんでそんなに大阪に集まるのか見に行ってみよう」となり、さらに黒門市場にたくさんいるらしいという情報も得たので黒門市場にいたのでした。

行ってみて、いろいろわかったことがありました。

その話の前に、この日、実は黒門市場の他にもう一箇所「大阪城」にも行きました。そのふたつの場所で顕著で大きな違いがあり、そこから新たな学びがありました。

要は、ひとくちに「海外の人」としていたところ、当然ながら海外の人にもいろいろな種類の人がいて、国により行動が全然違うということ。

その中でこれから先も日本に来てほしい層にやっぱり来てほしいじゃないですか。誰でもいいわけじゃない。その層、つまりターゲットに向けた展開をする必要があるということに気づいたのが今回の大きな学びでした。

当然ながら国によって趣味趣向文化がぜんぜん違う!? あなたはどの国の人に来てほしい?

先に言っておきますが、人種差別をしたいわけではありません。
ただ、人に性格があり、合う合わないがあるように、国にも性格、つまり文化があってそれが日本と合うか合わないか、好きか好きじゃないかはある、ということです。

最近は海外ナイズ(海外っぽくする)な考え方の人も増えたと思うので日本人にも海外っぽさを求めたり、日本人は海外に比べて〜〜みたいな言い方をされることもあるかと思います。

例えば、コンサートを見終わった後、日本人は拍手こそすれど立ち上がって盛大に盛り上がる(スタンディングオベーション)はあまりしないですよね。それを「日本人はおとなしい」とか「感動の表現画下手」とか言う人もいるかと思いますが、私は全くそういうことは思わなくて、日本人には日本人らしい楽しみ方があってそれでいいじゃないかと思っています。

で、海外の人も実はそんな謙虚な日本人の振る舞いや文化が好きで日本に来る人も多くいます。

そんな文化を海外に合わせてまで海外の人が来やすい日本にする必要な全然なくて、むしろそうすることで日本を好きな海外の人にとってみたら「あれ、なんか思っていた日本人とちょっと違うな」と思われることもあるわけです。

あまり偏ったことを言うと偏見を持たれると困るので、あくまで今のは一例として聞いていただきたいのですが、言いたいのはそんなことで、つまり言いたいことは、

等身大の日本人・日本文化を好きな海外の人に来てほしい

私は今回の前調査でそれを強く思いました。

決して無理して海外の人が過ごしやすい日本にする必要はない。

ただ、とは言え日本に来て困ることも多いと思うので、どういう情報をどういう形で用意すればいいか。日本の文化を邪魔することなく、そういうことを表現できるものを作りたいと思いました。

黒門市場で感じたこと

話を戻しまして、黒門市場と大阪城の両方に行き、私は黒門市場の方で少し嫌な感じを受けました。嫌というか、なんだかな〜って感じ。

それは、

日本っぽさがなくなっていた

黒門市場って元々こうじゃなかったんでしょ・・・?

黒門市場は今や中国にありそうな屋台マーケットのような雰囲気。
設置されている看板もほとんどが中国語。
英語表記はあんまりないんだなーという感想もですが、日本語もない!

日本人は相手にしてないんだね。

このスタイルがすごく儲かるのはわかる。

現にこうして中国の方でいっぱいになっている。

そう、中国の方に。。。

中国以外の方がいない・・・?

この辺りでだんだんわかってきました。
どうやら、こういうスタイルに受けるのは中国の人だけっぽい。
欧米や中近東、台湾の人はほぼ見かけない。

黒門市場を一通り見て、いろいろ情報を集めたところで次はこことはぜんぜん違う雰囲気のところに行ってみよう、ということになり向かったのが

日本っぽいといえばやっぱりお城!大阪城!

来てみてひと目でわかったことは、ここに観光に来ている客層は黒門市場とは全然違う。

というか全く逆。

ここには欧米の方も中近東の方もたくさん。

旅行のスタイルも、何やらガイドさんについていって熱心に話を聞いているみたい。内容はわかりませんが、歴史のことなど聞いているのでしょう。

存分に日本文化を堪能している様子。

大阪城公園でただぼーっとする人もたくさんいますが、日本文化を楽しんでいただけているようで何よりです。

聞くところによると、欧米や中近東の方は歴史とかそういうのが好きみたいですね。爆買いとかそういうのより、こうして日本の文化に触れられる旅を望んでいるようです。

私たちが目指すべき観光及びインバウンド事業

この辺りで、わかってきたというか、目指したい観光地像はやっぱり日本らしさを全面に出して、それを受け入れたり楽しんでもらうことじゃないでしょうか。

インバウンドを狙って、日本らしさを欠いてしまうような看板なども増えていますが、日本は元々海外の人からしたら最東端のもっと神格化された国だったはず。

そこに価値があったはずなんですね。

海外の人が来ても大丈夫なように英語表記を増やすとか中国語表記を増やすとかしたら便利だし喜ぶだろうと思いますが、逆に私が海外に旅行に行った時、そうして便利にしてあるところは海外に来た気がしなくてあまりおもしろくなかった記憶があります。

言葉が通じなくても、頑張って勉強してその国の言葉で話すのが楽しかったり、なれない文化を知ったり教えてもらうことが楽しかった。

まとめ

今回の前調査でわかったことは以下です。
・インバウンド向けサービスはどこの国を対象にするかまで考える
・変に海外に合わせる必要はない

はい、次回は京都で調査を行う予定です。
ご興味のある方は次回をお楽しみに!


日々ラーメンを食べることができたらそれだけで幸せです。