中小企業、Saasどころかクラウド導入のデメリット
SalesForceの話は小休止として、中小がクラウド製品を導入する場合のデメリットを挙げます。
物事には、メリットとデメリットがあります。
必ずしもメリット100%にはならず、何かしら目をつぶると言う事で、メリット比率が51%以上になるように調整していくもので、それを段々と100に近づけていくものと考えてます。
とは言え、何年も何十年もかけてはいられないはずです。
経営情勢の変化、会社状態の変化、商流の変化に応じ、課題が次々と増えたり変わったりしていくからです。
仮にメリットとなっても翌年にはデメリットに転ずる事はありえます。
例えば、設備投入の費用回収が出来ずに倒産と言った具合です。
特に中小や零細企業は、死活問題になりますね。
1.「中小こそクラウドを」は要検討
1年計画、3年計画、5年計画といったビジョンを持たせて会社経営していくわけですが、中小以下のほとんどの企業に、そのような明確な計画はあるのでしょうか?。
あるにはあるのでしょうが、売り上げ目標値のみで、それを実現するための細かな設定はなされていないのではないでしょうか?。
つまり、前年比以上の「恐らくこれくらいの売り上げは見込めるだろう」程度の青写真なわけです。
そもそも、充分な資金と回収状態で、経営が成り立っている中小以下は、どれほどあるのかです。
大手のように、経営状況を公表する必要はありませんし、売りが立っても利益がどれだけ残せているのか定かでもありません。
常に自転車操業であったり、売掛金の回収待ちで買掛金を支払っている企業が多いのではないでしょうか?。
クラウドはオンプレより安いという触れ込みがありますが、ランニングコストは安いかもしれませんが、初期導入費用や大抵が「すぐ使えますから」の売り文句で、実際使ってみると「難しくてわからない」と言う会社も多いかもしれません。
社内SEがいない企業も普通にありますから、マニュアルを用意されているとしても基礎知識が乏しいのと、面倒と言う事でできないのが普通です。
それによるベンダ指導の教育経費も掛かってくるケースもあります。
2.経理業務はレジ打ちと同じ
業種や商流にもよりますが、システムへのデータ入力は、営業職と経理職が大部分を占めているのではないでしょうか?。
とは言え、営業職の主業務は外に出て(今はネットでもできますが)、契約を取ってくる行為であり、データ入力は副次的作業です。
となると、営業事務や総務的な一般職の仕事になります。
経理職とて、ほとんどの企業では一般職です。
彼ら彼女らが、システム導入においてベンダとの席に出てくるのは稀です。
現場主導が管理職や経営陣主導になっており、これが「入れても使えない」という根本原因であると私は感じてます。
請負の時は、必ず現場の方に仕様の確認や、プロトタイプ版を作成して触ってもらうようにしてきており、ほぼ「ユーザや元請け、あるいは自社の営業がヒアリングしてきた内容と乖離しています」。
さて、前職の非IT企業で社内SEをしていた時、途中から簡単な経理業務やデータ入力までさせられました。
この時、感じたのは「経理業務はレジ打ち」であるということ。
これ、商流の違いにもよります。
例えば、1か月で売り上げ100万をあげる会社が2社あったとします。
そして、A社は1時間で1枚の伝票を入力する事で完了し、B社は1時間で100枚の伝票を入力する事で完了するとしたら、入力業務の繁忙さにかなり違いが出てくる事がわかるはずです。
今のITシステムは、マウスを伴うパソコンでの入力が普通です。
これをB社に当てはめると、業務効率化にならないのです。
むしろ、POSレジもどきを導入した方がマシであり、それこそそっけない画面のオフコンの方が、ずっといいのです。
3.社外でも使える利点はあるが
クラウドの利点は、社外でも使える事です。
最近では、電子請求書や伝票もありますが、中小の取引先は、ほぼ中小かそれこそ零細個人企業も多くあり、電子媒体で来る事は少ないです。
結果として、幾ら自社がクラウド化して、在宅ワークができたとしても、取引先達が変わらない限り、出社するしかなく、何の利点変化ももたらさないのです。
こういった、その会社が抱えている事情まで踏み込まないと、本当にクラウド製品を使うのが良いかという判断はできないものです。
それこそ、その会社から経理職や営業事務職を一層して、そういう事をしてくれる会社にアウトソースした方が、よほどいいかもしれません(しかし、アウトソースされた企業でも、同様の課題を抱える事になるでしょう)。
コンサル入れても、自社の現状改善のみに焦点を絞った結果しかでず、取り巻く外的要因までは考慮してない事がありませんか?。
他所の家の環境までは、変える事はできませんしね。
4.ハンコ好きの管理職と経営陣の存在
最近下火になってますね。
前首相の時は、結構な話題になっていた記憶があります。
ハンコ好き社員や経営陣の存在が、クラウド化どころか在宅ワークを阻害している要因でもあります。
会社や部門の頭を変える事はできません。
よって、クラウド製品を導入しても、その恩恵に預かるには、昭和世代がいなくなるまで、10年はかかるでしょう。70代でも取締役をしている中小企業は結構ありますからね。
5.出社したガリ社員の存在
クラウドの阻害要因の一番の事柄は、出社したガリ社員の存在だと感じてます。
むしろ経営者のように感じます。
このコロナ過の時代、よほど少人数の会社で、あるいは工場のような機械を操作する必要がある業態やサービス業のような店頭で客を相手にする商売以外、出社する必要があるのでしょうか?。
そうでない立場であれば、経営者だろうと、おじさん世代であろうと出社する必要はないのではないでしょうか?。
何もおじさん世代だけが、これに該当するとは言えません。
20代でも、誰かとつるんでいないと行動できない人は会社にいたりもします。
家にいると寂しい。
家では奥さんに邪魔者扱いされる。
子供がうるさいから。
そんな理由で、出社をする人は多いのではとも。
仕事って、前述のような立場ではない限り、出勤する必要はないはずです。大手や外資の営業だと、以前から出社しても机はないという人に何人かお会いした事があります。
会社でなくとも、売りを立てられるようにならないと、営業職に関しては、営業たる仕事はできないと思われてしまうのではないでしょうか?。
会社としても、そういった営業職を育成せぬまま、管理職にさせて、社員管理メインにさせているというのは、実は無駄な人件費を支払っていると私は感じます。
外でもできるメリットのクラウド。
でも、出社当たり前だと、入れる意味ってあるのでしょうか?。
6.IT使えない多くの社員の存在
ExcelやWordすら使えない社員はいます。
少し前、「ITが使えない50代社員のリストラ」というような話題をネット上で幾つも見かけました。
しかし、50代以上に限らず、スマフォのこの時代、パソコンを触った事がない若年層も多いわけで、全社でITが使えない社員だらけの会社は、往々にして存在ます。
そのような会社で、ITを導入しても使いこなせないのです。クラウド以前です。
また、クラウドを利用すると言う事は、紙を無くすことでもあります。
未だにExcelで大量の表や会議資料を作成している会社はあります。
しかも、フォーマットがばらばら。
これだと、やはりクラウド以前にITシステムを入れても使いこなせてないため、業務効率化どころか費用対効果も望めません。
稚拙な内容になっているかと存じます。 それでも、サポートしてくだされば、ありがたいことです。