📘️ Book Club：ディーター・ラムスのデザイン信念とUX・UI。グッド・デザインの10の原則

グッド・デザインの10の原則

1970年代後半、ドイツの工業デザイナーであるディーター・ラムスは、社会状況について以前にも増して深い懸念を抱くようになりました。

「形と色、騒音が生み出す、計り知れないほどの混乱に満ちている。」

この状況に、自身が少なからぬ影響与えてきたことを自覚し、繰り返し自問していたのです。「自分のデザインは、果たして、グッド・デザインと言えるのだろうか？」

そこでディーター・ラムスは、グッド・デザインに必要な、10の原則を定義しました。

今回はディーター・ラムスのデザイン10 原則がUXにどう影響しているか、自分なりに考えてみました。

1.良いデザインは革新的ある

イノベーションの可能性は、決して尽きることはありません。

技術の進化がつねに、革新的なデザインへの新たなチャンスを与えてくれる。しかし、革新的なデザインとは、つねに技術の革新とともに生み出されるものであり、デザインだけで完結することはないとディーター・ラムスは語ります。

革新的あるUX・UIデザイン
UXデザイナーとして、デザイン思考を正しく身につけることは、デザイン以外の仕事に就いているビジネスマンにとっても、革新的なアイデアの創出につながるといいます。

デザイン思考は、革新的なアイデアを生み出す「デザイン思考」を身につけるためIDEOよってまとめられたメソッドです。

デザイン思考は料理のプロセスによく似ている?デザイン思考を成功に導くファシリテーションとは？

ユーザーを理解、革新的な課題の解決策を探し出そう！

2. 実用的である

人は製品を使うために買う。その製品は機能面だけでなく、心理的、美的な面においても、一定の基準を満たしていなければならない。グッド・デザインとは、不要なものを可能な限り削ぎ落とし、実用性を最も重視したものだ。

実用的であるUX・UIとは？
UX・UIデザイン・パターンは、デザイナーがユーザビリティの問題を解決し、親しみやすさを生み出すために使用する普遍的な構成要素です。UX・UIデザイナーも製品をデザインする上で人が実際に使用する上での、機能、心理、美的面な要素を満たしていなければなりません。

不要なものを可能な限り削ぎ落とし、実用性を最も重視
シンプルなUIデザインでも美しく、ユーザーにとって魅力的なものである必要があります。全ての優れたデザインは、機能の最大化とコンテンツ表示のシンプルさのバランスを取る必要があります。

3. 美しいデザイン

製品は、日々それを使う人の個性、健康や暮らしの質にまで影響をおよぼすのだから、製品の実用性に美しさが加わることが欠かせない。しかしながら、ていねいに仕上げられたものだけが美しい。

美しいUX・UIとは？
Webサイトに表示されるあらゆる高品質の画像と動画はユーザーの関心を引き付ける可能性があります。レイアウト、フォント、配色、また画像・動画の組み合わせ、また適切なコピーが使用されているデザインは美しいです。

4. 分かりやすい

グッド・デザインは、製品の構造を際立たせる。さらに、製品が語りかけてくる。そして、最も優れたデザインは、それ自身ですべてを語る。

分かりやすいUX・UIとは？
明確なUIは重要な情報を目立たせ、エラーの発生を最小限に抑えユーザーが使いやすいものになります。

例えば、一貫性を保つの本質は、ビジュアル、またユーザーが簡単にタスクを実施できるようにサポートします。CTAボタンがバラバラだとタスクを実施に戸惑うことでしょう。

5. 主張しない

ものは道具としての役割をしっかりと果たす必要がある。装飾的なオブジェでも美術品でもない。使う人の個性を発揮する余白を残すためにも、デザインはニュートラルで控えめであるべきだ。

主張しないUX・UIとは？
そもそもUXは「ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験」を指します。ユーザーが簡単にタスクを実施できるようにデザインをする必要があります。ユーザーが戸惑ってしまうようなデザインは控え、役割をしっかりと果たすデザインをしなければいけません。

6. 誠実である

グッド・デザインは、製品を実際以上に革新的だったり、強力だったり、有用に見せたりしない。見せかけだけで、消費者を操るものではない。

誠実であるUX・UIとは？
UXデザイナーはユーザーが本当に必要で、欲しがるモノをつくることを目指します。「ユーザー・リサーチ」はユーザーの行動の実態把握とそこに至るまでの思考を理解するための調査全般を指します。 「UXリサーチ」と呼ばれることも多く、UXデザイン分野の一つに位置づけられています。また、ユーザビリティ・テストとは、UIのユーザビリティ問題の抽出と原因探索を、ユーザー視点で行う手法の1つです。このようなアクティビティをこなし、UXデザイナーはユーザーと誠実に向き合うことが大切になります。

7. 長持ちする

グッド・デザインは、流行から距離を置く。そのため、古くなることもない。ファッショナブルな流行のデザインとは異なり、今日のような使い捨て社会にあっても、長く使われつづける。

長持ちするUX・UIとは？
UXデザイナーは、最先端のテクノロジーとユーザーを繋ぐことが鍵となります。デジタル技術を社会に浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革することを目指しています。UXにも流行りが多くありますが、UIデザインにおいては、長持ちするデザインは普遍のデザイン原則かと思われます。余分な流行のスタイルは古くなりますが、ミニマルですっきりとしたデザインは、時代に関係なく受け入れられるものです。

ヤコブ・ニールセン博士も1995年に提唱したUIデザインにおける「ユーザビリティ 10 原則」で最小限で無駄のないデザインにすることが大切だとしています。

8. 細部まで完璧

あいまいさや予測不能な要素をいっさい残してはならない。デザインをするうえでの細心さ、正確さは、消費者への誠意を示します。

細部まで完璧なUX・UIとは？
あいまいさや予測不能な要素を除く作業はUXの中でとても大切ことだと思います。私たちはシステムの状態を可視化させたる、一貫性と標準性を保持すし、ユーザーがエラーを起こさない状態に保ち、簡単に理解できるデザインにし、エンドユーザーへの誠意を示すことが大切です。

9. 環境にやさしい

デザインとは、環境保全に大きな役割を担うものだ。製品がつくられ、その役割を全うするまでの間、資源を節約し、物理的に環境を汚染せず、そして見苦しいという視覚的な汚染もしてはならない。

環境にやさしいUX・UIとは？
サーキュラーエコノミーという言葉は数年前からよく耳にします。サーキュラーエコノミーを採用するためにユーザー・エクスペリエンスに焦点を当てることにより、企業は消費者の環境に対する新たな責任感を活用し、満足度を高めることができます。

短期的には、これは組織を際立たせ、大きな価値を推進します。 長期的には、この種の持続可能な考え方は、関連性を維持するために不可欠です。

10. 純粋で簡素

「Less, but better」— より少なく、しかもより良く。

それは、本質的な部分に集中するということ。それによって製品は、不要で過剰なデザインから開放される。

純粋で簡素なUX・UIとは？
簡素なデザインの要素は、ユーザーがパーソナライズまたアクセシビリティを必要とすればするほど重要になります。ユーザー体験が最適化されたデザインは、ブランドの信頼性を高め、コンバージョンを促進します。

足すことよりも削ること

UX・UIデザイナーの仕事は、ユーザー視点から、できるだけシンプルで使いやすい体験を提案すし、複雑な問題をできるだけシンプルな手法で解決できるソリューションを生み出すことです。足すことよりも削ることが、グッド・デザインにつながっていくのだろうと思います。

Vitsœ（ヴィツゥ）

ヴィツゥは、以前はVitsœ＆Zapfとして知られていたVitsœは、ディーター・ラムスとのコラボレーションで知られる、もともとドイツの英国の家具会社です。彼らの家具は、ドイツのクラシックなデザインとして広く知られています。 

ヴィツゥのデザイン

ヴィツゥはグッド・デザインの持つ力を信じています。

彼らのデザイン、会社としての責任と理念、創り出す家具、彼らに共感する多くの人、明日のより良い暮らしのために、思慮深く、また責任を持って、インテリジェントにデザインすることを目標にしています。

60年以上にわたり、ヴィツゥはディーター・ラムスと一緒に歩んできました。彼は今日も、さらに良いデザインを追求、改良を続けています。この姿勢は、21世紀を形作ったものとして、若い世代に多くの影響を与えてきました。

1957年創業のヴィツゥと共に、今のヴィツゥの基礎となる、収納システムの開発に取り掛かったんだ。デザインの背後にある、私の信念は、ヴィツゥと共にあるのです。

www.vitsoe.com

ディーター・ラムス（1932年5月20日）はドイツの工業デザイナーであり、学者であり、消費財企業のブラウン、家具会社のヴィツゥ、および工業デザインの機能主義学校と密接な関係があります。彼の控えめなアプローチと「Less, but better」というミニマルなデザインへの信念は、彼の製品に時代を超越した品質を生み出し、多くの製品のデザインに影響を与え、ラムズの世界的な認知と評価を確保しました。

私も色々勉強中なので、皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。
お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。 主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。

［参考資料］

Good design | About us | Vitsœ