【エッセイ】ペットじゃないけど、ペットです!!

 ペットの定義はなんでしょう。ブリタニカ国際大百科事典によると、「愛玩動物のこと。大切にかわいがるために飼育されている動物をいう」と書いてあります。「だろうなぁ」と、頷く。

 では「動物とは何ぞや?」と調べてみると、日本大百科全書(ニッポニカ)には、「生物を三つの甲斐に大別したとき、植物界、菌界に対し動物界を構成する一群」となっています。「なるほどねぇ」と、腕を組む。

 「じゃあ、私のペットは?」となるのです。これらのことから導き出すと、「私のペットはペットじゃない」からです。

 でも私にとってはペットなのです、植物ですけど。
 分かってもらえないこのやるせない気持ちを、どこにぶつければよいのでしょうか。こんなにも大切にかわいがり育てているのに……。

 お天気の良い日は太陽とともに花開くのですよ、笑顔のように。
「あー、今日はあたたかいなあ」なんて感じで。
 でね、夕方から夜や曇りの日なんかは花が閉じてたりして。
「ちょっと寒いわ」と、少しご機嫌斜めな様子で。

 だから、お天気に釘づけなのです。だって、彼らの笑顔を見られるかどうかはお天気次第ですから。こんなに熱心に見たことないですよ、天気予報も。それくらい、彼らの笑顔は最高なので。

 しかも、彼らの笑顔を守るために毎朝しているのです、パトロール。
知っていますか、アジサイの葉っぱなんかにちょこんと乗っかって、可愛い存在を売りにしているカタツムリが、私の大切なペットの花びらを食べ散らかすのを。それを知ってからは、「可愛いカタツムリ」から「憎きカタツムリ」になるわけです。

 そうなると、「憎きカタツムリ」を駆除しようと、ホームセンターで駆除剤を買ってきますよね。そんでもって、張り切って散布しようと使用上の注意を読むと、開花前の散布が条件になっていて。
 今が開花真っ盛りの彼らに散布することができなかったのです。

 こうなったら、割りばし片手に私が彼らを守るしかないので頑張っています、毎朝。心の中でこう呟きながら、
「カタツムリは、いねぇが!!カタツムリは、いねぇが!!」って。

 でも、駆除しても駆除しても毎日いるのですよ、湧いてくるみたいに。
 そうなると憎さ増し増しになって、「ナマハゲになった私」は残酷にも水の中に入れました、「憎きカタツムリ」の息の根を止めようと。

 水に入れてからは心が痛んで。でも「これでいいんだ」と言い聞かせて、リビングに戻ったのです。でも気になって、溺死させてしまったカタツムリのところに行くと、なんと水の中から悠々と這い出し、図々しくガザニアに向かって一心不乱に進んでいるではないですか。

 仏心などこれっぽっちもいらなかったと後悔して、「憎きカタツムリめ!!」と割りばしを手にカタツムリを掴んで、野球で言うならイチローがバックホームへ投げるレーザービームのように投げてやりましたよ、米粒になるほど遠くへ。

 そして、やはり割りばし捕獲戦法で戦うしかないのだと気づいたのです。それからは、これまで通り早起きをしてパトロールに出かけていますよ。たまに、早起きした旦那さんに「パトロール、行ってきます!」なんて敬礼しながら。そうやって、毎日ベランダに向かっているのです。ペットじゃないけど、私のペット「ガザニア」さんのところにね。


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