距離を保つことはなぜ苦しいか〜類人猿の習性から学ぶ〜

ソーシャルディスタンスを保ちましょう、というメッセージ。
「密です!」のバズりっぷり。すっかり慣れちゃいましたね

ただ、疫学的な有用性の一方で、社会性を持つ生物としての"ヒト"には、どこか苦しみを生むことが分かったのって、実は大きな発見と言えるように思います。

グローバル化が進み、インターネットが世界を繋いだ現代は、人類史上最高に"距離の近い"文明になっていると言っても過言ではないハズなのに、それでもなお物理的な"距離の近さ"を求めるのはなぜでしょうね。

という問いに、進化心理学的な観点から答えてくれる記事でした。

人類の持つ社会性は、遡れば類人猿も同様です。生存と繁殖を成功させるために、集団レベルでの協力に頼っている。それが適応的な進化の産物である、と。

記事によれば、霊長類に見られる『毛づくろい』は"時間コストの高い行動"と言えるそうです。それがすなわち、集団に対して投資・貢献していることに繋がり、絆を強める効果を生んでいる。チンパンジーにおいては『毛づくろい』をし合う個体と食物を分け合う傾向があるし、この行動はエンドルフィンが放出されることで報酬系として機能し、行動強化されています。

チンパンジーは進化系統上、最もヒトに近い霊長類です。ヒト同士においても"毛づくろい"的な行為によって精神衛生を保つ仕組みが備わっています。


ピグミーチンパンジーとも呼ばれる霊長類・ボノボもまたヒトに近い霊長類です。

興味深いことに彼らは、繁殖を目的としない擬似的な性行為『ホカホカ』をおこなうことが有名です。いい呼称です。心がホカホカします。
じゃなくて、、、

これは野生動物において、極めて稀な現象です。というか僕の知る限りでは、ヒトとボノボだけです。しかも彼らは"同性同士"での習性もあり、前述の『毛づくろい』と同じく絆を強める働きを持っています。


つまり、これらの特徴はヒトにも部分的かつ包括的に保存されていて、お互いに何かを共有したりお喋りしたり触れ合ったりすることで、社会への帰属を確かめたり強めたりする習性を持っていると仮説立てることができます。

と、色々と書いてきましたが、まぁ僕らはこれを体感しているというか、肌で感じ取っているー文字通りーのだと思います。
同じ類人猿で共通項を見出せることは非常に興味深いですね。


ここで当然気になることは"オンラインでの対面は触れ合いを代替できるのか"です。

これも肌で感じ取れるように、結論は『完全な代替は"今のところ"難しい』のだと思われます。

ビデオ通話では非言語的な情報が脱落し、注意力の使い方が日常と大きく異なるので、脳にかかる負荷が大きいよ、という話題です。

そりゃそうよね!知ってた知ってた!


ただ、これはもしかすると慣れによって解決するかもしれませんし、補完しうる技術の発達によって限りなく近いところまで来るかもしれません。

僕はかつてカウンセリングを主な業務の一つに置いていて、その一部をビデオ通話でおこなっていた経験がありますが、段々と"脱落する非言語情報を脳内で増幅させる"テクニックを身に付けていくことでストレス軽減できるようになりました。

もちろん実際に触れ合うこととは大きな差があるものの、何も無いよりはマシってことはお忘れなく。


最後にちょっと話がズレてしまいましたが、霊長類に見られる行動と、我々が置かれている状況が繋がってくるというのは実に面白い!

そして昨今注目が集まる進化心理学、改めて興味深い。。

なんてね。


★追記
こちらの内容をPodcastで配信しました。よろしければ合わせてどうぞ!
20年7月23日現在、Anchor、Spotifyにて配信中です。



ということで、お付き合いいただきありがとうございました。

お相手は わたくし
納木 まもる  でした。

次回も楽しんでもらえますように。

末尾ハンコ


<編集後記>
果たして同じく社会性生物のハダカデバネズミとかはどうなんでしょう。進化系統的にはボチボチ遠いので気になるところ。

さてさて、ホカホカという言葉しか残らないであろう、この投稿w
どうやら厳密には"メスのボノボ同士の疑似性行為"のみを指しているそうです。そしてこの呼称は日本でのみ語源も不明でした笑

もし、もしも、ですよ。
もしも、興味があれば、下の動画からどうぞ。
個人的には何とも言えない感覚が去来し、そっ閉じしました笑
あ、もうサムネでお腹いっぱいですねwww



読んでいただいてありがとうございます。貴重な時間をいただいていることは自覚しつつ、窮屈にならない程度にやっていきます。