戦略・戦術策定、と段取り

昨日、事業には定義があり市場や顧客の定義と同義だという話を記しました。

社長を筆頭、最高責任者とする執行組織は、事業定義を所与のものとしてまさに「執行する」機関ですが、最上流のシゴトとして執行戦略を策定するシゴトがあります。
戦略ができたなら戦略に基づいて執行戦術を策定する。ここまでのシゴトには「創造性」あるいは創造的成果を出すためのスキル(方法論)を必要とします。また部門横断的、総合的な調整を要するので、創造性の有無に関わらずスペシャリストの関与も必要とするでしょう。
そして執行戦術計画が出力されます。

ここまでを実施すると各部門で執行すべき成果目標に落とし込まれているはず。
ここからは「実務」扱い。おそらく「部門的専門職」から見ればなんの具体性も帯びていない「戦術計画」に具体的な行動計画、実施内容を与えるシゴトは「創造的」に感じられ、実際そうであろうと思いますが、このように執行組織全体を俯瞰すると「実務」であって、組織的な議論をする際にはその類の「語彙」が用いられると知っておくと各種の協議がスムーズでしょう。創造的だということに拘泥しすぎてはいけません。
いわば「段取り」です。
優れた実務者は段取りが優れています。与件に対してなすべきことを可視化することが第一で、可視化されたものに具体的な数字を与えればまずは及第点でしょう。
このように整理してみると、創造的に思えた「与件に対する実施要件の可視化」も「実務」であることが良く分かります。

執行役員、という役職には一定程度、前述第一段落の「創造性」、あるいは換言すれば以前書いた「請負的ではない、価値未確定の事柄へ臨む姿勢」が求められるのではないかと思います。
フロントであれ、バックヤードであれ、バックオフィスであれ。

まず何より自身の事業定義、市場、顧客を熟知し、そして自身の「専門性」から出力されるものの価値の有無、高を測り、ほかの専門性と連携させて増幅が可能かどうかを予測し、また調整の下(もと)連携相手と約束事を共有し、執行組織にまとまりと方向性を与える、と言ったところでしょうか。

優れた専門性でその部署に「計画と段取り」を与え、専門部署をまとめる「優れた実務者」はもちろん組織に必要不可欠です。
それと、ここでいう執行役員との違いを明示するのは、難しい試み(実は正解もない)ですが、今後も折に触れて記していこうと思います。

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