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PANK PONK magazine vol.10 通学路から宇宙へ エキゾキッズの冒険

幼稚園、小学生のころはしょっちゅう遅刻した。以前に人を待たせるのが嫌いと書いたが、組織というか僕がいなくても勝手に進行するようなものに遅れるのは一向に気にならない。ケンカとかもそうだが、個人とはケンカとかは基本的にはしないけれど会社とか社長とか社会とかそういうものとはがんがんケンカする。

なぜ毎日のように遅刻していたかというと通学路には気になるものがたくさんあったからだ。

「見つけた蜘蛛の巣はすべて破壊する」「蛇は必ず倒す」「ザリガニを捕まえるまで進まない」「影の中しか通らない(万が一影以外を進む場合は息を止めなくてはならない)」
他にも突発的にいい感じの棒(剣)があったり雨上がりの日は塩を持参しナメクジを討伐する、怪我をしたバッタを田んぼの方に逃してやる、などと行く手を阻むクエストがそこら中にあったのだよ。登校の途中に牛もいたな。うんこ臭くて嫌だったけど、今思うと登下校で牛がいるとか優雅。しかも家から小学校までは結構遠くて2キロもあった。その分今でいうサブクエストが豊富なのは言うまでもないだろう。
雨の日の帰り道は晴れてたら剣(傘)があったから空想遊びには最適だった。たまにわざわざ2本持っていって二刀流とかしてたな。へへ。

小学5年生の時にはじめての腕時計を手に入れたので(読売ヴェルディの時計だった。確か読売新聞のセールスの人がくれた)毎日下校のタイムを計って、いかに前日のタイムを更新できるかを競ってっていた。
なので行きは下調べの時間だ。「ここフェンスに穴があいてて通れるな!」「この田んぼを突っ切れば近道じゃあないかな?」とか考えながら登校。
こんな感じだったので友達と一緒に登下校するのがあまり好きでなかった。たまに家に迎えにきてくれたりしたら断れない。「まだ準備が出来てないから先に行っといて」などの仮病(?)を使っていた。俺は気が弱いんだ。
今なら「迎えに来てくれてありがとう。しかれども、かくかくしかじかで僕はひとりで登校しますので、お気遣いせぬように。」と言えるかもだけど、当時の僕には無理だ。

まあ昔から協調性とかなかったな。いや、協調性ないとかではなくて「集団」みたいなものに異常なほど嫌悪感。げろげろ。おえっ。げぼげぼ。小中の頃は家庭環境が最悪(家では毎日のように夫婦喧嘩)だったけどグレなかったのは集団に対する嫌悪感のためだと思う。なんで校則とか嫌で逃げ出して、もっと厳しい規則(ヤンキー界のルールの方が学校よりもっと厳しいですよ)にわざわざ囚われにいくのかなあ。バカなのかな?と中学の時は惰眠とサッカーと陸上とテレビゲームに打ち込んでいました。
チームスポーツは良いですよ。いかに協調性ないからといっても「チームのみんながあっちのゴールに球を蹴りいれようとしてるので、俺はあえて味方のゴールの方にシュートを入れてやろう」とかにはならないのです。いうなれば強制的に自己に眠っている協調性を発揮。気持ちが良いわけですよ。世界の歯車と噛み合っているのは。自分は世間で言うといわゆる「変わり者」だと思われますが別に「人と違うことしてる俺かっこいい」とかまったくないですから。不可抗力。そうなってしまっただけ。呪い。逃げたい。コンプレックス。
昔スマッシング・パンプキンズのボーカルの人が「僕は僕以外の誰かになりたい」と言われていましたが、まさに同感。僕もスーツ着て集団で居酒屋で呑むサラリーマンの一員になりたいし、ロックフェスでペアルックで楽しんでるような人間になりたい!!
いや、それは無理でもとにかく自分はやだ!
でもしょうがないから自分として精一杯生きているのです。

最近はやむにやまれぬ事情でウーバーイーツの配達などをしているのですが
「ピロピロ」「ちゃっちゃつ」「ありがとうございました!」「ちゃりん(お金もらえる音)」という流れが気持ち良いのです。生まれてはじめてまともに世間と一体化出来た感じ。機械を介すことによってはじめてコミュニケーションがとれている。僕も歯車のひとつ。今まで自分がやることといえばだいたいにおいて世間の流行とズレているのでお金を稼ぐのも大変なのですが流行にのるとお金を稼ぐのも楽ですね。
「これがいわゆる普通の人の感性の世界かー。楽だなー。タピオカかわいー!アベノミクス最高ー!!」と毎日チャリをせっせとこいでいます。まあ、稼ぎも香川の給与水準よりはよっぽどマシなのですが、そろそろ機械の奴隷でいることにも飽きました。
そろそろ赤い薬を飲まないと。

17、8歳の頃家で家族と一緒にご飯食べたくなくて、地元の池の真ん中にある公園でよく聞きながらほかほか弁当のノリ弁当かトリ弁当(orスーパーノリ弁当)食べながらよく聴いてた。

行くあてはないけど
ここには居たくない
イライラしてくるぜ
あの街ときたら
幸せになるのさ
誰も知らない 知らないやりかたで


まあ今でもこの頃とあまり変わらないけど。とにかく今ここが嫌だ。エキゾチックに惹かれる。どこでもいいからどこか遠くに行きたい、常に。遠くに行ってもそこが嫌だからさらに遠くに行きたい。まあ幸せにはなれないタイプですよね。
でも自分がやってたお店のロゴの下に「here」って入れてたのは今ここにいることを肯定しようっていう覚悟のつもりだったのですが、やめたのでまたエスケープします!宇宙に行きたい。
Galaxy 2 Galaxy!スキゾキッズの逃亡だ!

photo 浜吉竜一

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