見出し画像

PANK PONK magazine vol.5 得意料理とそのレシピ 後編

前回書いていて気づいたのですが自分は食にこだわりないと思い込んでいたのですが、しっかりあることに気づきました。自分が興味ないのは「味」や「美食」であって"食"自体にはしっかりと興味があるようです。人間いくつになっても気づきがあります。むしろそれだけでひとつの生きる意味なのではないかと思ってきました。そういう気づきがあるだけで書くことを始めてみて良かったかと少し思います。

前回は「自炊」のことを書いたので今回は「外食編」でお届けしたいと思います。
もはや「得意料理とそのレシピ」というタイトル全然関係ないのですがめんどくさいのでそのままにしておきます。怠惰ー・ザ・クリエイターです。はい、出ましたね。駄洒落。「たまにこれは面白いんじゃないか。傑作できたぞ。プチバズるのでないかな」などとTwitterに書きこむのですが、まったく反応があった試しがありません。センスがないようです。

今は外食より家で食べる方か好きなのですが、子供の頃はあまり外食することがない家庭だったので外食に対する憧れは募るばかりでした。
年に一度劇場版のドラえもんを見た帰りにマクドナルドかケンタッキーフライドチキンに連れて行ってもらえました。ごくまれに家族で車で1時間かけて丸亀の骨付鷄の一鶴に行くこともありました。
おそらく、ろくでなしのうちの父親がパチンコで勝ったか、競馬で儲けたか、ゴルフの成績が良くて機嫌が良かったのでしょう。
近年、僕の故郷の香川県(うどん県)では骨付鶏をあたかも昔からの産業かのように売り出していますが、あれは大嘘です。昔はほぼ一鶴にしかありませんでした。B級グルメブームの時に売り出して、いろいろな店で提供されるようになっただけです。
「一鶴より、どこそこの骨付鶏の方が美味しい」という声も聞きますが、僕は断然、一鶴派です。美味いとかそんなことではないのです。あの香辛料振り過ぎの味。あれがた機嫌が良い父親の記憶と結びついているのです。だからあの味でないと物足りないのです。
あと骨付鶏は他の店の方が美味しいという意見には多少賛同できる部分もあるのですが一鶴の鳥飯は他店の追随を許さない旨さです。観光客の皆様、ぜひ一度骨付鳥でなくて鳥飯に注目してみてください。

そんな家庭で育ったのでとにかく外食に憧れがありました。高校に入学して給食がなくなり学食になって喜んだものの(好き嫌い激し過ぎて給食は地獄でした。特に山菜ご飯。運動部なのに主食なしで部活までこなさなければいけません)、うちのおかんは弁当作る派です。
そこで僕は弁当作ってくれない派の友人に500円で弁当を売り、意気揚々と学食に向かうのでした。

その後上京し持って生まれた自堕落な性格も相まって20代はほぼ外食。(学生時代は金がなさ過ぎて毎日のようにグッチ裕三に習った(←本でね)油揚げを焼いてご飯にのせただけのどんぶり。週に一度の松屋に行き漫画喫茶に夜まで篭るのが贅沢でした。路上で謝礼に1000円くれるアンケートをみつけるとクラスメートに電話をし、その金で新宿西口の立ち食い寿司に行ってました。)
サラリーマンしてた頃は残業で遅くなって帰りに板橋駅前のマクドナルドでハンバーガーをしょっちゅう買って食べてました。当時月見バーガー好きだったのですが合理的な僕はハンバーガーを買って家で目玉焼きだけ焼いてはさんでDIM(Do it myself)月見バーガーにして食べてました。その方が安いし旨い。(目玉焼きを焼くだけ専用に柳宗理の南部鉄器のフライパンも購入しました。)
僕は子どもの頃から改造魔なのです。(今度自分の改造癖について書いてみます)

現在僕が実践していることは外に飲みに行く際に「居酒屋には行かない」ということです。
僕は食べながら飲む/飲みながら食べるのはあまり好きではありません。
居酒屋だと食べる/飲むが同時になってるのが嫌なのです。たまに行くとあの猥雑な感じが良い時もありますが、基本的には静かで落ち着いて人が少ないところが良いです。

特に安いチェーンの居酒屋に行って、欲しくもないのに誰かが頼んだ「バターコーン」や「鳥の軟骨の唐揚げ」が目の前にあると、ついだらだらと口に運んでしまう。特に美味くもないのにお金とカロリーを無駄に摂取して良いことがありません。食べなければ良いのですが、目の前にあるとついつい手が伸びてしまいます(割り勘だし食べなきゃ損みたいな貧乏家庭に育ったせこい考えも多分にあるでしょう)。安い店に行ったはずなのに気づいたらひとり4000円も5000円も払うハメになります。
高松だと1000円も出せば、それなりの食事が食べれます。まあビールが合う食事だったらそこでビール1本(ふたりで行って大瓶を分けて飲むのがベストです)。そのあと飲み足りなければ良い感じのバーに行きます。
チャージ500円くらい払っても700円〜1000円くらいの酒を2、3杯飲んで食事と合わせて5000円くらいで済みます。その方が美味いご飯に美味いお酒飲めて、無駄なカロリーも摂らずに済みます。値段もたいして変わりません。きちんとしたお酒は悪酔いもしづらい、と良いことづくめです。なによりブラック居酒屋チェーン店にお金を落とさなくていい。

回転寿司に行って「カッパ巻き」や「カンピョウ巻き」食べている人を見ると「お、この人はお金持ちの家庭に生まれた育ちの良い人なんだろうなあ」と思い羨ましく思います。
僕のような育ちの人間は「同じ値段だし、腹に納めれる量にも限りがある(最近は10皿くらいしか食べれませんね)のだから、きゅうりやカンピョウにその一票を使うのはもったいないぜ」と無意識にセコいコスト計算をしてしまうのです。
以前友人と回転寿司に行った時に、店内入ると同時にささっとレーンのそばにちゃっかり陣取り無言で黙々と皿を取っては一貫だけ食べて、一貫残った皿をこちらに置いてきます。「??」と他の友人と目配せしましたが何のこっちゃわかりません。「何か欲しいもの取ろうか?」と言う一言ももちろんなしで、せっせと一貫だけ残した皿を脇の僕らの方に寄せてきます。あまりに自然で「どういう意味?」と聞くのもはばかられたのですが、おそらく「一貫ずつ分けてみんなで食べようよ」と言う意図だと理解して、その人の分け前を僕らはせっせとかきこみました。
いやあ、面白いですね。人間って。たぶん、その人の家庭がそうだったのでその人は何の違和感もなく、自然とそういう行動を取ったのだと思います。僕はわりと内向的な性格なのでたまに「他人なんて、何考えているか分からないし信用できないから、もういいいや。読書や映画でもしよう」という気分になりますが、こういう自分の予想の範疇を超えた行動をみると、楽しい気分になります。やっぱり人間っておもろいな。とな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?