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夜にだけ酸素。

 夜だけが、生きててもいいって思える。
 朝焼けも朝日も好きなのに、そこに自分の居場所を感じられない感覚が、今日も私を息苦しくさせていた。

 夜。冷たい空気感。車が走り去る音がやけに大きくてヘッドライトの灯りがやけに眩しい夜。
 夜更かしが当たり前の世界で、きっとみんな起きているのに、やっと息ができるような気がするのはなぜだろう。

 星なんか見えない空に、美しさを勝手に感じている。きみが今日も生きていることが、とっても嬉しいことだと思います。私が死んでもあなたには生きていてほしいと心底思うし、私が死んでも平然と生きているであろうあなたに心底絶望する。

 あいにいきたい。愛に、生きたい。あいにいきたい。

 お前はもう夜の人間だ、という烙印を押されたように今日もねむれない。ねむりたくない。生きている価値はいまだに見いだせない。制服に身を包んで儚さを魅せている青春が、死にたがりの青春が、一番強くて美しいとみんな知っているから。もうとっくに死んでいるらしい。

 明日がきてほしいって人生で何回思ったかわからないけれど、明日なんてこなければいいと大抵思っていて、そんな夜に流すのはいつだって涙とは限らない。赤く濡れたハンカチ。血塗られたスヌーピー柄のハンカチ。あれは誰にもらったやつだっけ?大きいスヌーピーのぬいぐるみを抱いて、これは誰にもらったやつだっけ?きみの声がBluetoothで私の脳内にだけ飛びますように。まだまだ古い時代、令和。ブルーライトだけが鮮明に私に触れてくる。夜に響く雑音が好きだ。きみのいる世界の次に好きだ。好きと嫌いの狭間と夜と朝の狭間は似ている気がする。夢なんかいらない。眠ってる間くらい死なせろよ。

心の瞬間の共鳴にぼくは文字をそっと添える。無力な言葉に抗って、きみと、ぼくと、せかい。応援してくれる方、サポートしてくれたら嬉しいです……お願いします