劇場版ダウ90000ドキュメンタリー『耳をかして』のラップが良かった話

2022年11月23日に北沢タウンホールで開催された劇場版ダウ90000ドキュメンタリー『耳をかして』を先日配信で鑑賞しました。とても素晴らしかったです。ぜひ円盤化してほしいです。

配信期間が延長になって2022年12月7日までになったので2022年12月14まで再延長されました!、あらためて何回か観ていたのですが、何度聞いてもエンディングに流れる忽那さんによるラップがとても良いので、自身の備忘をかねて歌詞解説的なものを書かせていただこうと思います。
※配信チケットは下記から買えるので、未見のひとは要チェキラです!

ちなみに冒頭12分が公式で12/2から公開されています!

ラップとしての評価は自分はできない(やらない)ので、ライムがフローが……は書きません。内容的には、キングオブコント2022のオープニング(梅田サイファー)を思わせるような小ネタの応酬と1本のドキュメンタリーにふさわしい総まとめ感(結婚式EDムービー感と言っても良いのかもしれません笑)があって、大変に気持ちの良い曲になってます。この歌詞解説だけ読んでしまうと単なるネタバレにすぎないのですが、こっちを読んで興味をもっていただいてから本編を観ていただくなんてのも悪くないのではないかなどと勝手に思って書きます。ちなみにネタバレOKのイベントですので、その点はご安心ください。
ちなみにアイドルの自己紹介ソング的な側面もあると思うので、こっちを読んで興味を持って〜という流れも、あながちなくないんじゃないかと思っていたりもします。というか、これみたら面白そうじゃないですか?ダウ90000。知らない人も、とりあえず観てほしい!

……とまあ、うだうだ言っていないで、まずは歌詞全文です。

歌詞(全文)

わたしアメリカ生まれのミス・エミリー
かなりマイペースだからミスばかり
CHANELと加納さんがくれたあの眼差し
夢のステージはどこ集合?8人で行こう

徳島から上京 ゴミ屋敷上等
あのときの快楽 味わいたい舞台上
白鳥の湖で走らされる工場
翔るユニコーンガンダムに搭乗

こんにちはタイ バンコク
高一の恋には大満足
見返すための道が見えてきた
段違いな活躍でそいつらに言ってやれ
皮肉こめた コップンカー

コント?演劇?どっちかにせぇよ
そんなん言うやつにはグーパンチ
初めて挑んだ大喜利ライブ
こんなにスベるなんてフローリングならでは
東大前で今日も舞ってる
龍宮城で今夜も待ってる
なぎさにまつわるエトセトラ
カニ食べ行こう
いつか白のパンダと

HIGEKOI HASUMI

友達いない高校時代
やることないまるでずっと正月
メガホンひとつもらえないけれど
セリフもらえてももらえなくても天国だ
アイツが握るメガホンあれば
ウエストゲートで
スプラッシュ
いばらの茂みさまこっちゃんばりに
いけふくろうに叫ぶよ
ブクロサイコー!

焦る気持ち沈めた玄界灘
3年生仕事なしは「限界だな」
えっさっさー えっさっさー
欲しいのはアンコールとアルコール
同級生ピリピリ 人見知りでもじもじ
笑いで生きてく そう決めたコジコジ
合唱界に失礼じゃない?
なんなんだよお前?
芸人だよバカ野郎

プリキュア書きたい シナリオ通り行かない
夢物語はそうそうに破れた
出会ってすぐに才能に惚れた
コントやってる時だけの関係?
DANZEN!ふたりはビジネスパートナー?
大海挑む仲間だろ?
マリンちゃんの大きな胸より
がっちりつかめ
ビッグビッグマネー

春に脱いだ穴だらけのパジャマ
「地下」から這い出た1匹のチョロプーは
フローリングめくって出てきたチケットで
どこまで遠くに行けるのかな?

テレビを見ない 見る暇もない
内風呂に浸かってる 暇もないんだ
「お芝居」なんて言わせない
「おしまい」には早すぎる

耳をかして
独白あけても
耳をかして
耳をかして
いっしょに笑って

劇場版ダウ90000ドキュメンタリー『耳をかして』

以下、個々の解説です。なお、上記の歌詞だけではわかりませんが、各ブロックごとにメンバ1人ずつを歌っている形になりますので、そこも補記します。また、各解説の冒頭の時間は、配信における該当箇所です。
※なお、自分はダウ90000については、そこまで詳しくないです(なんと)。とは言っても、2022年はすごく注目していて、2022年の活動+αはそれなりにおさえられているくらい。ただ、YouTubeとかラジオとか個人活動はほぼ追えていないです……(すみません)。それくらいのひとがわかる範囲で書いているんだなあと思ってくれるとさいわいです(ご指摘等あればコメントお待ちしています)。

忽那文香パート

わたしアメリカ生まれのミス・エミリー

18:55 忽那はアメリカニュージャージー生まれ。ゆえにミドルネームがあり、それが「エミリー」。ちなみに由来は、当時住んでいた隣の可愛い子の名前から。

かなりマイペースだからミスばかり

21:55 よくミスをするというエピソード。キングオブコント2022の予選で南大塚ホールに行こうとして、埼玉県川越市の南大塚駅に向かってしまったり。ABCお笑いグランプリ2022の準決勝でも集合場所を間違えた。


CHANELと加納さんがくれたあの眼差し

1:36:20 尊敬する人物はココ・シャネル。理由は「かっこいい女性だから」。ほかにはAマッソ加納愛子も同じ理由で尊敬している。眼差しが一緒とのこと。

夢のステージはどこ集合?8人で行こう

飯原僚也パート


徳島から上京 ゴミ屋敷上等

1:47:55 飯原はゴミ屋敷の主。なお、2022/11/28放送の『有吉ゼミ』の「汚部屋片付けレスキュー」で解消済み。

あのときの快楽 味わいたい舞台上

1:17:44 はじめて演技をしたときに何も考えなくても体が自然に動いたが、そんな感覚は初回の1回しかなかった。その快感をもう一度味わいたくて演技を続けている。

白鳥の湖で走らされる工場

1:15:11 1年休学していたときにやっていた工場アルバイトの情景。点滴がベルトコンベアで流れてきて、中にゴム片があったらボタンを押す仕事。ベルトコンベアに異常が発生すると『白鳥の湖』が流れるので、40mくらい走って社員に報告する責務があって嫌だった。

翔るユニコーンガンダムに搭乗

47:00など全般 唯一の趣味はパチンコで「Pフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン」にはまっていて、何を話していてもけっきょくユニコーンガンダムになってしまう。3分で3000個の出玉が速すぎてアツいとのこと。

道上珠妃パート

こんにちはタイ バンコク

55:37 タイ出身。親の仕事の都合でタイにいるときに生まれ、小学5年まで過ごした。

高一の恋には大満足

1:41:11 ファーストキスの現場である公園で、高校1年のときの記憶を振り返っていくと、同時に異なる2人と恋愛関係にあった事実に気がついてしまった道上。

見返すための道が見えてきた

58:36 高校時代のいじめられエピソード。もし加害者を恨みながら自死することを考えるようになった時、もし自分がテレビに出ていたら「実は友達だった」などと加害者たちが彼らの友人知人に言うのではないかと思い、それにすがって役者という選択肢を掴んだ(このあたりは複雑というか、文字に起こすのが難しいので、ぜひ本編を観てください)。「道が見」=「道上(みちがみ)」。

段違いな活躍でそいつらに言ってやれ

57:21 小学校5年くらいから器械体操をはじめる。中学校3年、高校1,3年のときに関東大会出場。「段違い平行棒」の選手だった。

皮肉こめた コップンカー

56:08 タイ語で「ありがとう」の意。タイに小学5年生までいたが「サワディーカ(こんにんちは)」「コップンカー(ありがとう)」しかしゃべることができない。

吉原怜那パート

コント?演劇?どっちかにせぇよ

35:05 東大落研(東京大学落語研究会)所属(出身?)の非日芸で、ダウの中では珍しい芸人指向のメンバ(ほかは役者指向)。なおインカレサークルで、吉原自体は東大生ではなく、東京女子大。「コント/演劇」はダウ90000自体の立ち位置から。他称はいろいろあれど、自称としては「芸人」「劇団」は名乗らず「8人組」と名乗っている。

そんなん言うやつにはグーパンチ

1:21:15 東大落研の川田さんこと「右手でグーパンチ」より。川田さんが蓮見さんと仲良くなって、そのつてでYouTubeの撮影とかコントとかに客演で呼ばれるようになり、最終的にダウ90000本公演タイミングで加入することになった。

初めて挑んだ大喜利ライブ

33:54 大学1年生で「大学芸会」(学生芸人のコンテスト)決勝にあがったあと、学生芸人OBなども出る大喜利ライブに現役学生芸人として呼ばれたが、何もできなかった。ちなみにそのライブにはサーヤ(ラランド)も出ていた。

こんなにスベるなんてフローリングならでは

フローリングならでは=第1回本公演『フローリングならでは』より。

東大前で今日も舞ってる

37:10 東大落研。駒場キャンパス前でなぜか踊る映像がインサートされた。

龍宮城で今夜も待ってる

2:04:15 龍宮城をテーマにしたコンカフェで乙姫「なぎさ」として働いている。

なぎさにまつわるエトセトラ

源氏名「なぎさ」にかぶせて『渚にまつわるエトセトラ』(PUFFY)より。

カニ食べ行こう

『渚にまつわるエトセトラ』のサビの歌詞。蓮見翔の宣材写真はカニを手にしている。

いつか白のパンダと

『アジアの純真』(PUFFY)の歌詞より「白のパンダ」。PUFFYつながり。ダウ90000のYouTubeチャンネル「ダウ九萬」の旧名「いつかパンダとコントを」にもかぶせている?

中間部(蓮見パート?)

HIGEKOI HASUMI

1:47:02 蓮見さんのヒゲが濃いエピソード。中島いわく、いつもコンシーラーなどでヒゲを隠しているが、塗っていない肌とのギャップがすごいらしい。

上原佑太パート

友達いない高校時代

26:23 中高一貫校で、高校から入ってきた偏差値の高い学生たち(高入生)に飲まれて居場所を失った。

やることないまるでずっと正月

ずっと正月=第3回本公演『ずっと正月』より。

メガホンひとつもらえないけれど

30:43 クラスLINEに入っていなかったため、体育祭で応援用のメガホンを買う話を知らず、もらえなかったエピソード。

セリフもらえてももらえなくても天国だ

コント『ピーク』の中盤のセリフ「行っても行かなくても天国だ」より。背景も同コント。

アイツが握るメガホンあれば
ウエストゲートで

1:59:53 撮影場所が池袋西口公演(ウエストゲートパーク)。ちなみに日芸のある江古田は池袋から電車で6分ほどの場所にある。

スプラッシュ

27:20 高2のときに男2女2で東京ディズニーランドにいき、夜のスプラッシュマウンテン後に告白された。噴水のスプラッシュ。

いばらの茂みさ

いばらの茂み=スプラッシュマウンテン。

まこっちゃんばりに

はじめにアニメや声優を意識した『銀魂』のキャラクタ「まこっちゃん」からか?ちなみに映像のイラスト(おそらく模写?)は『ラブライブ!スーパースター!!』の唐可可(始まりは君の空Ver)かと思われる。

いけふくろうに叫ぶよ

2:02:48 大学3年のときに通っていた声優養成所の同期に終電間近に告白をした場所。「僕はここで彼女ができました」。

ブクロサイコー!

『池袋ウエストゲートパーク(I.W.G.P.)』より。

中島百依子パート

焦る気持ち沈めた玄界灘

51:16 福岡出身。

3年生仕事なしは「限界だな」

1:14:45 大学3年生の頃の焦りの時期にダウ90000としてやっていく話がきて乗った。「大学3年生の今何もないのはめちゃくちゃヤバいって思ってたんで」。

えっさっさー えっさっさー

52:02 小学校1年から高校3年まで合唱団に入っていた中島。その合唱団で歌っていたお気に入りの曲である和歌山のわらべうたの歌詞。えべすけどんどん。

欲しいのはアンコールとアルコール

54:32 飲酒が趣味。言うまでもなく、合唱のアンコールと飲酒のアルコールをかけている。

同級生ピリピリ 人見知りでもじもじ

1:13:24 大学入学時のエピソード。

笑いで生きてく そう決めたコジコジ

54:25 合唱界から追放されたとしても、自身は「ダウとして生きるって決めたから」。コジコジはさくらももこの『コジコジ』。第4回本公演『いちおう捨てるけど取っておく』で中島の演じた榎本は、その言動から作中で「現代のコジコジ」と呼ばれている。

合唱界に失礼じゃない?

54:15 合唱曲を披露するものの、自身がアルトを担当しているゆえ、メロディじゃないので伝わらず、思わず笑ってしまい、合唱界に対して失礼だと感じる。

なんなんだよお前?
芸人だよバカ野郎

55:00 ビートたけし『浅草キッド』の聖地でもある浅草東洋館前(旧フランス座)の前で謎にタップダンスを踊る。セリフは野次を飛ばしてきた客に対する深見千三郎(たけしの師匠)のもの。

園田祥太パート

プリキュア書きたい シナリオ通り行かない

1:07:58 初代プリキュアファンで、親から日芸という進路を紹介された際に、プリキュアのシナリオを書きたいと思って受験を決めた。

夢物語はそうそうに破れた

パチンコ『海物語』より(後述)。

出会ってすぐに才能に惚れた

1:23:48 蓮見との出会い。学科・コース・専攻まですべて一緒。「面白いネタを書く人に初めて出会った」。

コントやってる時だけの関係?

38:40 女子が苦手で、ダウは一緒にやっている仲間だけど「コントやっているだけの間」との発言あり(複雑な心情のもよう)。

DANZEN!ふたりはビジネスパートナー?

『ふたりはプリキュア』の主題歌『DANZEN! ふたりはプリキュア』(五條真由美)より。「ビジネスパートナー」は1:00:59あたりの道上のインタビューから。道上いわく、ダウはおたがいに干渉しすぎないちょうどよい距離感なんだけど、ビジネスパートナーとは異なるとのこと。

大海挑む仲間だろ?

大海=大会(キングオブコント等)。ちなみに2022年はキングオブコント準々決勝敗退でした。

マリンちゃんの大きな胸より

39:15 中学時代のエピソード。男子間でふざけてパチンコ『海物語』のキャラ「マリンちゃん」のポスターの胸をもんでいるような格好をしたところを写真に取られて、それを好きな女子に共有された。その日の夜にメールがきて、テンパって告白したらOKされた。

がっちりつかめ
ビッグビッグマネー

2:10:00 ダウをやっている理由はお金が欲しいから。ダウだけじゃ全員分稼げないので、個々にやりたいことをのびのびとやりたい。なおダウ90000結成時の目標は「メンバー全員がこの仕事で食えるようになる」だったという。「ビッグビッグマネー」は『BIG BIG MONEY』(ZEEBRA)より?

サビ

春に脱いだ穴だらけのパジャマ

穴だらけのパジャマ=旧劇団名「はりねずみのパジャマ」。

「地下」から這い出た1匹のチョロプーは

チョロプー=マリオシリーズのもぐらのキャラクター。「地下」は「地下芸人」などの「地下」を指しているのかなと。ダウ90000は、おそらくテアトロコントで注目を集めてメジャーシーンに上がったと思われるけど、テアトロコントはあまり地下感はない気がする。チョロプーもよくわかっていないので、なにか別の意味合いがあるのかも。まあダウ90000自体のことを言っているのは、なんとなくわかります。

フローリングめくって出てきたチケットで

フローリング=第1回公演『フローリングならでは』。脚本しか読んでいないので不正確かもだが、作中で絨毯をめくると大量の映画の半券が出てくるシーンがある。背景もおそらくその舞台の様子。

どこまで遠くに行けるのかな?
テレビを見ない 見る暇もない

テレビを見ない=ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』のスピンオフドラマ『8人はテレビを見ない』より。TVer配信中。

内風呂に浸かってる 暇もないんだ

内風呂=ダウ90000の初冠ドラマ『深夜1時の内風呂で』より。FOD配信中。

「お芝居」なんて言わせない

ABCお笑いグランプリ2022決勝後の世間評価を受けてのものかと。蓮見翔本人もnoteで言及している。

「おしまい」には早すぎる

耳をかして
独白あけても

独白=コント『独白』。ABCお笑いグランプリ2022の決勝ネタ。演劇的手法である独白を使った(心の声ではなく、実際の声だった)というギミックのネタ。

ちなみにこのコント・演劇論争的なものへのアンサーとして、コント「オーディション」がある。

耳をかして
耳をかして
いっしょに笑って

解説めいた備忘は以上です。
以下はおまけのメモ・感想です。

ちゃんとは理解していないのですが、この企画は放送作家の「白武ときお」さんがメインのものらしく、そういう意味だと氏のKプロドキュメンタリーの過去作は本当は観ておきたかったです(大鶴肥満をテーマにした『劇場版まーごめドキュメンタリー まーごめ180キロ』通称まードキュなど)。
冒頭の演出(携帯電話)などは「まードキュ」と同じになっているようだし、イベント中の賀屋さん(かが屋)の発言によると、動物園で吉原さんが両手にフランクフルトとソフトクリームを持って頬張っているのも「まードキュ」のいパロのようです。

「まードキュ」は配信期限が終わってから知ったので見逃しているのだけど、とても良いできのようなので、ぜひ継続的な配信あるいは円盤化を希望します。
ちなみに今回の「ダウドキュ」も大変素晴らしかったので、ぜひ円盤化してくれると嬉しいなと!(冒頭にも書きましたが、もう一度書いておきます)

[追記]アップしてから気づいたのですが、2022/12/5に公式のアフタートーク配信で歌詞解説があがっているようです。まだ観られていないのですが、あとで答え合わせ的に観てみたいと思っています。


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