David Bowie, "The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars" (1972)
架空のロックスター"Ziggy Stardust"の物語をハードエッジなロックで表現した音絵巻。アポロ11号の月面着陸に影響を受けた、グラムロック先駆者の偉大なコンセプト・アルバム。
グラムロックとは彼のために生まれた言葉のように感じる。煌びやかなファッションと濃いメイク、歌詞はファンタジー。後にQueenやT-Rex、日本だと忌野清志郎らに影響を与えている。Queenは日本での人気は高いが欧米ではあまり評価されていない印象だが、フレディー・マーキュリーとデビット・ボウイはゲイであるという共通項のみならず、音楽的な影響も存分に与えていると思う。
本アルバムはZiggy Stardustというロックスターが、the Spiders from Marsバンドを率いて瀕死の地球を救う物語なのだが、これは時代背景的に1968年に公開された映画『2001年宇宙の旅』やアポロ11号の月面着陸という出来事に影響されている。このアルバムの前にアルバム「Space Oddity」、直後に「Aladdin Sane」が発表されており、後者はZiggy Stardust製作のアルバムという裏設定付きだ。(個人的にAladdin Saneはデビット・ボウイのアルバムで一番好き。)
退廃的な雰囲気を持ちながらも、ピアノの美しい旋律がとても印象的で、デビット・ボウイの持つ孤高という雰囲気がよく出た佳作である。
ぜひ前後のアルバムも聴きながら楽しんで欲しいアルバムであるし、歌詞にも注目してもらいたい。
News guy wept when he told us Earth was really dying/ Cried so much that his face was wet/ Then I knew he was not lying(地球は本当に死にかけていると言って、ニュース番組の奴は涙を流した/あまりに泣くもんだから顔はびしょびしょだ/それで彼が嘘をついているのではないと分かった)- from "Five Years"
1曲目からストーリーテリングにエンジンがかかっている。また"Space Oddity"でのロケット発射の如くカウントダウンしてLift Off(発射!)する歌詞もとても面白い。
ちなみに今回調べていて初めて知ったのだが、David Bowieの目の色が左右で違うのは、幼少期の喧嘩で怪我したかららしい。てっきりカラコン入れてるのかと思いました笑
2022/2/9(Wed) 2022年音楽レビュー#13
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?