いざ、藝大!
さて、野村幻雪先生との初対面を果たした私。
プロの能楽師になりたい事をお伝えしたところ、それには藝大を受験するのが良かろうと言うご助言を頂きました。
藝大、東京藝術大学には音楽学部邦楽科能楽専攻という、能楽だけをひたすら学ぶニッチな専攻があるのです。
藝大では一年次から主役をつとめるシテ方•脇役のワキ方・狂言方・囃子方をそれぞれ専攻しみっちり勉強することができます。
その時、都留文科大学の学生だった私…。これからまた一から勉強し、四年制大学に行くのか…と思うと足のすくむ思いでしたが、もうやるしかありません。都留文科大学は予定通り卒業し、そののち藝大に入るため、再び受験勉強をする事となりました。
幸い私の超絶苦手とする数学は受験科目に入っていなかったのでこれは大いに安堵しました。
今は違うかもしれませんが、当時はセンター試験は国語と英語の2科目、そして楽典、謡曲と仕舞の実技試験(これは2回あります)この関門をなんとか突破しなければなりません。
さすがに国文学科の学位を取るべく日夜勉強しているので国語は何とかなるだろう…ならなかったら学位は返上しなくちゃいけないかも…。英語もセンター試験で7割くらいなら何とかなりそう。合唱団に所属しているけれど楽典はほとんど勉強したことがないので、これは腰を据えて学ばなければ無理だろう。謡曲と仕舞の猛練習は言うまでも無い。こんな思いが頭の中をぐるぐる駆け抜けていきました。
さて、無事都留文科大学を卒業し、翌年は聴講生という形で大学に残り、青島広志先生の楽典の授業を履修し、また、母校の冨士学苑の授業にお邪魔して後輩たちに混ざり、英語、国語、更に楽典を一年かけて勉強しました。富士学苑の先生方のご厚意には感謝感謝です。そして、野村先生のお稽古は月2回、東京港区の銕仙会まで通っておりました。笹一酒造と言う造り酒屋でアルバイトしながら勉強しました。このように私がしっかりと勉強ができたのはひとえに私が自宅生だったからだと思います。親も内心とても心配していたと思いますが、じっと見守ってくれていました。
今、自分も親になって思うことは見守ると言うことは実に焦ったい時間です。
このように周囲の人達に支えられて、何とか私は藝大に合格する事ができました。合格発表は藝大の上野校舎まで、姉と見に行きました。
続く
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渡邉瑞子 わたなべみずこ
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