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思春期を映す『インサイド・ヘッド2』は 豊かな感情たちの物語

『インサイド・ヘッド2』観てきました。

主人公は13歳のライリーと、ライリーの頭の中にいる「感情たち」、その中のヨロコビ(Joy)が主人公です。

感情が頭の中にある操作盤を操作して、人間の行動や思考を左右しているという解釈されていています。物語では、その感情たちが擬人化されて登場します。

外の世界、脳内の思考の反応として、次の思考や行動が決まることについて、そうかもな、と思えるので、ファンタジーとまでは言えません。

『インサイド・ヘッド2』は、映画としてもおもしろい物語でした。ストーリーとしてのドキドキもあります。でもライリーは思春期。その頃の自分を思い出して、いたたまれない… 場面がとても多く、そういうむず痒さをスパイスにした、いい映画でした。

『インサイド・ヘッド』『インサイド・ヘッド2』に登場する感情たち

もともと私は、脳の働きに興味があって、最初の『インサイド・ヘッド』を観に行きました。もし、『インサイド・ヘッド』のような脳内なら、それをどう自分の判断に活かし、どうトラブルを回避するか、自分の人生に活かしたいという思いからです。

登場する感情は、(映画の中で)最初に生まれ、操作をオーケストレーションするヨロコビ(Joy)の他、前作『インサイド・ヘッド』から登場する感情は、カナシミ (Sadness)、ムカムカ (Disgust)、ビビリ (Fear)、イカリ (Anger)

今作からの登場は、シンパイ (Anxiety)、イイナー (Envy)、ダリィ (Ennui)、ハズカシ (Embarrassment)です。

今回は、主人公のライリーが思春期ということで、『インサイド・ヘッド』にも登場した、原始的な感情たちがライリーをコントロールできなくなって、新顔たちが暴れます。確かに、そんなことありましたよね。いい顔したい相手に見栄を張ったり、その結果、恥ずかしい思いをしたり。

今作の途中、ヨロコビ(Joy)が操作盤を離れていた時、「ヨロコビが止まったらおわり」というセリフがありましたが、実際、人生で、ヨロコビ(Joy)の感情が登場しなくなったら、死ぬしかなくなりますよね。映画では、たった2、3日の出来事でしたが、思春期には、何日も何週間も、ヨロコビ(Joy)が脳内にいない時期はあったと思います。

今回、脳内の働きで気になった点は、以下のような点。

  • 脳内の深層から信念が生える(感情を伴った記憶を芽に信念が育つ)というのは本当か?

  • 映画の中ではペアになりやすい感情がある(ヨロコビとカナシミ 、シンパイとイイナー)実際にくっつきやすい感情ってあるの?

  • 前作同様、感情を伴った思い出たちは、島を形成する。島がライリーの性格を形作る。前作同様に、「おふざけ」島、「家族」島は登場する。島が壊れて、新たに作られる場合もあるが、幼い頃から存在する島もある。三つ子の魂百まで、というが、意外に島の入れ替えは起こらない? あと思春期を迎える時に、「友情」島は、だいぶ大きくなっていた。これが新たな感情を生み(シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシ)、使い慣れない感情をコントロールできなくなる原因か?

次作への期待

今回『インサイド・ヘッド2』を見て、この先も、ライリーの成長とともに、20歳ごろ、中年ごろを見たくなりました。中年以降、今回ちょっとだけ登場した「ナツカシ (Nostalgia)」もめっちゃ活躍する回もあるでしょう。昔の友だちと会って、食事でもすれば、彼女の出番ですよね。

もう一つ気になったのは、私の場合は、ですが40歳代後半を迎え、今回の新顔の感情(シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシ)が脳内に登場しなくなってきていることです。羞恥心が減り、人をうらやむことが減り、何とかなるさ、と心配も減ってきています。仕事で失敗しないように、家庭をうまく回すために、慌てず、誰かの足を引っ張ったりしないように、自分を躾けた結果です。これはいいことだったんでしょうか。豊かな感情たちを無理やり操作盤から引っぺがしてしまったのか、気になるところです。

その答え合わせを『インサイド・ヘッド3』『インサイド・ヘッド4』『インサイド・ヘッド5』で観たいところです。


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