購買活動の前にある消費者行動を考える #マープス
2024年3月12日(火)の無料マーケティング勉強会「マープス」はゲスト回でした。中央大学ビジネススクール教授の松下光司さんが講師です。
こちらの松下さんの著者です。
消費者行動論-マーケティングとブランド構築への応用 (有斐閣アルマ) | 青木 幸弘, 新倉 貴士, 佐々木 壮太郎, 松下 光司 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4641124639/
実践ではなく理論の本です。ここでポチらないと買わずに忘れてしまいそうなので、講義開始と同時にポチりました。マーケティング戦略では、いかに「想起」されるかが、とても重要です。購入時に「想起」されるという仕組みは、人間の記憶の仕組みが土台にあります。
毎週のように、マープスの講義を視聴していても、そうした根っこの理論的背景まで、インプットする機会はなかなかありません。実際に、記憶の仕組みに関して書かれたマープス主催の池田さんのnoteも、ほかに比べてあまり読まれなかったそうです。
で、今後の学習の機会を逸したくなく、すぐにポチりました。
(すぐに読むかは不明)
消費者の消費者行動とは?
マーケティング戦略を考える時、だいたいは購買行動について考えます。
「買う」、買う前に「売り場をながめる」「比較する」「検索する」「選ぶ」などです。
実際の消費者はどんな行動をしているでしょう?
購入する前から、「使う」「所有する」「集める」「捨てる」「飼う」「運転する」といった行動をしています。そう、消費者は、普段、「買う」までにいろんな行動をしています。「買う」は全体の消費者行動から見ると、ごく一部です。ごく一部から、結果を予測するのは、ナンセンスでしょう。
私も、普段のマーケティング活動の中では、そこまで消費者行動を遡って、購買に至る理由を考えていません。今回の講義は、マーケティング戦略を考える根っこに関わる話を聞けるとてもいい機会です。
私は、以前、ファッショECサイトの運営会社に勤めていましたが、購入する人の中で、年間で一番多い購入回数は、たったの一回(年末・正月セール時)です。ECサイトの会員さんを、買い物する人とは思っていませんでした。せいぜい検索する人です。検索する人がつい買ってくれる仕組みを考える。広告等で過去の購入者を引っ張ってくることを考えていました。
消費者の「交換」
今回、聞いてよかった話で一番よかったのは、「マーケティングは交換」を考えるという話です。購買だけに限りません。講義の例では、献血が挙げられていましたね。
お菓子あげるので、献血しませんか? 献血することで、あなたはヒーローになれます、という評価という交換もあります。そして、交換で面倒なのは、これが1対1じゃなく、競合が入ることです。競合がいるだけで、交換という行為が一気にややこしくなります。自分たちが消費者に働きかけようとするより先に、競合が消費者に働きかける場面もあります。競合がいるなんて、当たり前じゃないか! とも思いますが、実は、強く想起してもらえると、競合がいない状態(他が目に入らない状態)を作れる! という話があります。
マーケティングの教科書では、よくディズニーランドとUSJを天秤にかけられますが、ディズニーLOVEの人には、USJは選択肢にも入りません。
そう、LOVEで競合は排除できるんです!
競合を排除する
私が普段、マーケティング活動をしているBtoBの商材を考える時、しっかり選択のために評価、購買の意思決定をしているように考えられがちです。そして、利用してくれる実務担当者に好意的に感じてもらっていても、購入を決める決裁担当者というハードルで、結局買ってもらえないじゃん! と考えることがよくあります。
実際に、企業に対して、合理的な説明なしに「きゃー、かわいい!」で購入されることはないでしょう。
でも、実務担当者にも、決裁担当者にも、両方に好意的な集合に入ることはできるでしょう(それぞれに響くコンテンツを用意する、好意的に感じていない決裁担当者に響くキャンペーンを行う など)。そうなれば、競合より優位に立てます。さらに、購入に至る時に相見積もりという形をとっていても、実際には「この企業なら大丈夫だよね」と実務担当者と決裁担当者の両方が、ほぼ決めてかかってくれる場合もあります。
さらに、購買を決める場合、例えば、手術する医者が使う道具は、医療機関が購入するものですが、結局、医師個人の決定によって決まることもあるでしょう。対組織、対企業、ではなく、一個人の利用体験で決まることもあるわけです。アプローチによっては、購入を決める担当者のLOVEを獲得して、競合の存在を無にできる可能性があるわけです。
理論について学ぶ
松下先生が学会に出た時、こんな話があったそうです。
江戸時代から、消費者行動なんて変わらないでしょう! という話題が出た時、心理の人は「その通り」と回答し、マーケティングの人は、「いや、違うでしょう」という回答したそうです。両方が正解です。
推すこと、生理的な欲求については、きっと人類が誕生してから変わらないものでしょう。人間の性質によって、購買の意思決定の仕方が変わらないとも言えますし、環境が違っているので、環境に合わせて、適応する行動は変わるとも言えます。判断を変える環境には、検索エンジンやSNSがあります。
マーケターは、変わらないもの(人の意思決定の方法)を学び、環境(技術)について、常にアンテナを張っておかないとですね。
すぐに読むかはわかりませんが、変わらないものを理解しておかないといけないことは今回の講義で理解できました。いい講義でした。ありがとうございます。
消費者行動論-マーケティングとブランド構築への応用 (有斐閣アルマ) | 青木 幸弘, 新倉 貴士, 佐々木 壮太郎, 松下 光司 |本 | 通販 | Amazon
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。