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今月もひとり歌会(2023年11月)

月が終わると、毎日詠んだ歌を整理する「ひとり歌会」。誰のフィードバックも得ず、詠んだ歌を見ながら一人、仕事や生活をふりかえる。

近況

忙しい。12月はもっと全然忙しくなる。やることも多いし、そのやることの中に不確定要素がたくさんある。今月は、息子と一緒に佐賀に帰省し、岡山出張、その翌週は引っ越し先の内見、仕事もそこそこにあったのに、逃げたくなって、合い間に4本の映画を映画館に観に行った。12月はほんとどうしようもなくやることが多い。いつもなら「〇日経てば終わってるさ」という楽観で生きているが、今は、年を越せてるイメージが1mmもない。

今月の歌(37首)

11/1水
心理職だって泣きつく先がいる泣きつかれた我の泣きつく先は?
→心理職だって泣きつく先がいる泣きつかれた我の泣きつく先は
(「塔」短歌会12/20締切投稿②)
無精ひげの白さが気になり出してから髭剃るを行為を若返りと呼ぶ
11/2木
人生の伏線回収開始され え、もうエンディングなの? と怖くなるなり
シャンプー台で目を閉じ浮かんだ言葉たち 忘れぬように反芻してる
電車内で三首できたので今日はもうノルマなく存分に揺られ
11/3金
息子とは推しの談義に華が咲く これを何年か噛み締めさせて
11/4土
イタドリは英国で嫌われているという 茂吉の歌は鳥肌もんだ
11/5日
思い通りにいかないことが出てくると他人を操作しようと動く
11/6月
古今集も夏といえばただホトトギス まだ詠んでいないから 夏は来てない
11/7火
立冬の前日なのに冷房を使う 熱帯列島の幕開く
11/8水
在宅勤務(ざいたく)は家事をしたって時間経つ 家事を終えたら仕事した気に
(「塔」短歌会12/20締切投稿③)
11/9木
時間がない! 自分を追い詰めるために映画見に行く三時間半
11/10金
一週間三本映画を観たからとて 人の厚みはミリも変わらず
11/11土
覚悟していたつもりだけど反応がうすい父みて声が震える
11/12日
絡みつくイヤホンほどいている時間 無駄でしかない 音も聞こえず
旅先もゲーム機をずっと離さない 彼の福岡はゲーム機の中
→帰省中もゲーム機をずっと離さない 旅の景色はゲーム機の中
(「塔」短歌会12/20締切投稿④)
旅先のバスの中にいて短歌会のスペースを聴く 勤勉である
11/13月
子と席が離れてしまった飛行機で 外より彼の顔を見ている
11/14火
出張先の夜の街中をふらついて 明日会う客の生活思う
11/15水
正面を向いた父の写真を漁り 孫と映った笑顔見つける
11/16木
買い物カゴに栄養ドリンクを一つ入れ、体に聞いてもう一つ入れ
→買い物カゴに栄養ドリンクを一つ入れ 体に聞いてもう一つ入れ
(「塔」短歌会12/20締切投稿⑦)
11/17金
子が「家」と呼んでくれているこの家を引っ越しした後の関係不明
11/18土
ヤな気持ちだけを真直ぐ伝える恋に 未来はない それは間違いがない
11/19日
体調が悪くったって自分じゃない人と暮らせば合わせるしかない
11/20月
引っ越しに実家の整理、歯の痛み 年が暮るるまで鎮まり給え
11/21火
「自分だけ」「自分ばっかり」と嘆くとき、きっと轍にはまりこんでる
11/22水
〇と一を特定できぬ機械を使い 答えを求める未来の世界
11/23木
勤労を感謝せる日にうつぶして仕事せねばと床に蠢く
11/24金
昼の月 見失うことないけれど、街中にいて夜月見えず
11/25土
白い息が消えた先から異世界につながっていた中二の頃は
(「塔」短歌会12/20締切投稿⑥)
11/26日
子にはしないと誓ったいじりをついやって後悔ののち禁酒を思う
11/27月
数十年付き合ってくれた歯を抜いて血の匂いする口腔を味わう
→数十年付き合ってくれた歯を抜いて血の匂いしばらく味わっている
(「塔」短歌会12/20締切投稿⑤)
11/28火
生物の原始機能と知りながら寝ない方法知りたき師走
(「塔」短歌会12/20締切投稿⑩)
11/29水
礼服を探す間にわけもなくさみしくなって収納を閉じ
カッコウは肉食という 好むのはケムシだという あれは肉かよ
(「塔」短歌会12/20締切投稿⑨)
11/30木
自分より慌てる人を前にして 急に心に余裕ができる
自分より慌てる人を前にして 急に心が静まってくる
(「塔」短歌会12/20締切投稿①)
一人暮らしの洗濯機ない四年間 夜の吾妻橋を人より知ってる
→一人暮らしの洗濯機のない四年間 夜の吾妻橋を誰より知ってる
(「塔」短歌会12/20締切投稿⑧)


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