今月もひとり歌会（2023年7月）

月が終わると、毎日詠んだ歌を整理する「ひとり歌会」。誰のフィードバックも得ず、詠んだ歌を見ながら一人、仕事や生活をふりかえる。

近況

毎日続けている、読書、note、作歌などが何とか続いていることが嬉しい。昨月同様、仕事がいまいち。いまいち、なんて言ってる場合じゃない状況が近く訪れるので、仕事のやり方を変えるなど工夫が必要。何もなかった7月と思ったけれど、スタミナ苑に行き、隅田川花火を見、土用の丑の日には、うなぎも食べた。映画も二本観た。十分だった。

今月の歌（44首）

7/1土
飲んだあと黙って食べたつけ麺を体重計はなぜか知ってる
（「塔」短歌会8/20締切投稿①）
だあれにも知られぬ手柄立てたので月と影とで祝杯を挙ぐ
（「塔」短歌会8/20締切投稿③）
7/2日
交流の頻度が減ってく夏休みに親のスキルを失っていく
→交流の頻度が減った夏休みに親のスキルも奪われてゆく（「#短歌の夏」投稿）

交流の頻度が減った夏休みに親のスキルも奪われてゆく／のーどみたかひろ#短歌の夏 https://t.co/T8EknNdrOf

— のーどみたかひろ (@nohdomi) August 16, 2023

7/3月
性欲が自分の体と離れていくこれでいいのか取り戻したいのか
iPhoneが提案をするポートレート　家にいない息子しか出ない
7/4火
他人（ひと）の詩と短歌を摂取したのだから　今日は短歌が降りてくれなきゃ
酒を飲む相手が急に欲しくなる丑三つ時に「降霊術」と打つ
7/5水
夜中二時住宅街でパトカーがアナウンスする「赤信号です」
種の中そのほとんどは性欲で生まれることで愛の実となる
7/6木
肌こすり出てきた垢の形見て、今、顕微鏡が欲しくなるなり
ウイスキーをひとり生のまま飲むことがちょうどよい　そろり杯を傾け
→ウイスキーをひとり生のまま飲むことがちょうどよい　そろりグラス傾け
（「塔」短歌会8/20締切投稿④）
スーパーに並ぶニラレバ食べたい日　七月六日はサラダ記念日
（「塔」短歌会8/20締切投稿②）
7/7金
手ごたえを感じた歌も選ばれる三か月後に感触は消え
終電の無くなった後も酔客がいる浅草にコロナはいない
7/8土
起きてすぐ詩歌に親しむのは余裕ではなく質感と暮らしたいから
7/9日
百二十六年分のご利益があるなら焼けるほおずき市へ
→百二十六年分のご利益があるなら灼けるほおずき市へ
（「塔」短歌会8/20締切投稿⑥）
7/10月
酔っぱらいが気持ちよく歌を歌う時、住宅街に人はいらない
陽射しなど直撃なんかしなくても三十度超は息あえぐよう
7/11火
ほおずき市で買ったであろう風鈴があちこちで鳴るマンションの前
7/12水
SNSは元妻のこと仲のいい友達とでも思ってるよう
（「塔」短歌会8/20締切投稿⑨）
7/13木
二度転生し百年を生きた夢を見る　でも恋愛は下手のままでした
7/14金
捗らない仕事が積み重なってなお　クビにならない　刺すような痛み
7/15土
雨の詩に滴る雫を感じても　今日は猛暑日　暑さ覚悟する
7/16日
「幸せだ」「幸せだなぁ」「幸せだ」加山雄三焼肉屋に満つ
（「塔」短歌会8/20締切投稿⑦）
7/17月
ケンカすれば別れが脳裏に浮かぶのは一度離婚でリセットしたせい
7/18火
週末を達成感で満たしたら月曜日には骸になります
7/19水
鼠を捕らえ額をかち割る音で覚め　その残虐に両の手震え
7/20木
どんな日も詠むと決めてもいい歌はそれに応えて生まれては来ぬ
7/21金
なぜおまえだけが映画の主人公？　階段出口でに陽に伸びするな！
赤坂は田んぼだったという父が佐賀の田舎で癌と闘う
（「塔」短歌会8/20締切投稿⑤）
ランナーを避けてようやく辿り着く日比谷公園に蝉二匹鳴く
7/22土
五十近くでも家になどいたくない『15の夜』を口ずさみつつ
7/23日
一動作ずつ関節が鳴る早朝　ラジオ体操に楽器となる我
→一動作ずつ関節が鳴る早朝　ラジオ体操に楽器と化す我
（「塔」短歌会8/20締切投稿⑧）
7/24月
空想の未来を今日は行き来する　みじめな未来を幸せから見やる
7/25火
作る意欲をドラマや漫画に求める時　きっと作歌を離れるサイン
7/26水
指示してないと言い張る　違う　させぬようにすることこそがお前の務め
十年のスタッフとしてのイベントの長所を聞かれ　言葉探せず
7/27木
サラリーマン生活二十年ではじめて目の前の同僚に感謝がこぼれる
冷房の効いた部屋から出る水の持つ熱に外の暑さ知る夜
7/28金
オリジンで明日の花火の準備にといつも食べない惣菜を積む
7/29土
素人に難しいことパン焼きと壁紙貼りと花火の撮影
→アマチュアには難しいこと　パン焼きとネイルアートに花火撮影
（10月の東京平日歌会詠草）
7/30日
「君たちはどう生きるのか？」と問われても、どう生きてきたか、だけしか言えぬ
丑の日に一串買って身をはがし丼二つに乗せる幸せ
（「塔」短歌会8/20締切投稿⑩）
7/31月
夢に出たあいつは嫌いではなかった　その気持ちのまま夢から覚める