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「選」ばれた歌、「選」ばれなかった歌(2023年10月号)

短歌結社の会報誌に毎月短歌を投稿している。10首まで投稿できて、採用は5首前後の人が多い。歌はその歌が選ばれる「選」もフィードバックの一つ。何が選ばれて、何が選ばれなかったか、その基準を自分で考えることで歌を見直すことができる。手書きの投稿という面倒さも受け入れて、毎月送っている。

今月は6首採用。

採用された歌(掲載順)

女性用アイテムだなんて過去のこと この太陽に日傘で対す

サントリーの歴史の中に天然水とユーミンがある武蔵野の地は

間食をしなかったのに翌日の体重計は信じてくれず

作歌することが暮らしを支えてる 歌が下手でもどうってことない

AIが「らしい短歌」を詠む時代 歌人じゃないのに詠む意味問われ

「まわりには誰もいない」という人は虫を詠むそう 虫は嫌いだ

選ばれた歌、選ばれなかった歌をみて感じたこと

採用されそうな歌が採用された感じ。これまで読み手が感じ方まで想定した、いわゆる狙った歌がとられることはあまりなかったので嬉しい。狙った歌というのは、今回で言えば日傘、体重計、AIみたいな歌。体重計は、章末の選歌後記にも取り上げていただいた。これまた嬉しい。

投稿した歌

(投稿順、日付は詠んだ日、太字は採用歌、矢印は投稿時に推敲したもの)

6/25日
エアコンの力で「夏」を寄せ付けない 寄せ付けないから「初夏」を続ける
→エアコンの力で夏を寄せつけない 寄せつけないから初夏が続くよ
6/7水
女性用アイテムだなんて過去のこと この太陽に日傘で対す
6/18日
サントリーの歴史の中に天然水とユーミンがある武蔵野の地は
6/9金
間食をしなかったのに翌日の体重計は信じてくれず
6/2金
いつまでも続くと思った灰汁が減り澄みゆく汁がとてもうまそう
→いつまでも続くと思った灰汁が減り 澄みゆく汁がとても美味そう
6/23金
作歌することが暮らしを支えてる歌が下手でもどうってことない
作歌することが暮らしを支えてる 歌が下手でもどうってことない
6/26月
AIが「らしい短歌」を詠む時代 歌人じゃないのに詠む意味問われ
6/15木
「まわりには誰もいない」という人は虫を詠むそう 虫は嫌いだ
(映画『幾春かけて老いゆかん 歌人馬場あき子の日々』を見て)
6/3土
佐太郎は読み終わらないいつまでも言葉がずっと斫(はつ)れずにいる
→佐太郎は読み終わらないいつまでも 頭の中の言葉斫(はつ)れず
6/12月
布団から起き出してすぐ「つかれた」とつぶやいて快眠は過去のものとなり
→布団から起き出しすぐに「つかれた」と呟き 快眠は過去のものとなる

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