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今年のベスト3『バービー』の感想が難しくて、記事を漁るの巻

先週、バービーを観てきました。
2023年に観た映画で、観てほしい映画3本に入れていいと思える映画でした(今年9月上旬までに映画館で観た映画は、17本)。

以下、『バービー』の映画について書いています。途中までネタバレ無しです。

バービーのことを知らなくても楽しめる

バービーのことを知らない人にもお勧めできます。私もバービーで遊んだことはありませんし、母や叔母など、周りにバービーで遊んだ親類もいません。G.I.ジョー同様に、こち亀でネタにされる内容くらいしか知りません。でも、子どもの頃に「リカちゃん」「シルバニアファミリー」といったコレクション玩具を見知っていれば、ディスるポイントはわかるはずです。

私が『バービー』を観に行った理由

もともと、これまで人生で観た映画でも好きな10本に入る『ラ・ラ・ランド』に出ているライアン・ゴズリングが出ていることは知っていたので、ちょっと観たいと思っていました。が、先に書いた通り、バービーに親しみがありません。それにバービーが人間世界に来るって設定で、どうおもしろくなるのか想像できませんでした。コメディは、小ネタの一笑い二笑いじゃ納得して帰れません。映画なら約2時間という時間全体で満足する必要があります。そんなんバービーには無理でしょ、という気持ちでした。

でも、アメリカの興行収入がすごい、SNSで評判が高い投稿をたびたび見かけることが増え、行ってみたい気がムクムクし出しました。

最終的には、この人の投稿で観に行くことを決めた次第です。

『バービー』の感想が書けない!

「おもしろかった!」のですが、なかなか評価、感想が書けません。
特に映画『バービー』の感想を書くことが難しいのですが、もともと映画評や映画の感想を書くこと自体、とても難しいと感じています。ちゃんと分析しようとすると、めちゃくちゃに骨が折れます。過去の同じ監督作品も知りたくなるし、同じジャンルの映画との比較もしたい。おもしろく感じる背景には、作品が作られた国の文化・歴史もあるし、扱われている人、モノ、テーマに関することも調べたくなります。感想を書く動機は、自分が気に入った映画を他の人にも観てほしいからですが、おもしろさを伝える際に、どこまでネタバレしていいかわかりません。映画感想の読み手としては、設定を聞くだけでも拒絶したくなることがあります。

それでも過去には、がんばって感想を書いたりしてましたが、どうにもうまくいきません。

まったくネタばれしなくておもしろさを伝えられるならいいのですが… とても難しい。ほとんどネタバレ無しに、おもしろさを伝える手法として、映画予告があることに気づきました。映画予告が嫌いな人もいるようですが、私は上映前の予告の時間がとても好きです。おもしろくない映画まで片っ端から観たくなります。予告と同じ手法、インパクトあるシーンを小出しする、謎は謎のままに伝える、大事だけど一言ではストーリーを完全に推測できな印象的なセリフを見せる、なら、できそうです。

そこで、最近は、早口〇秒レビューとして、感想を書くことにしました。好きなシーンとそこで感じる感情を映画で見てほしいストーリーの部分には触れないように、短く伝えるのです。

まだ〇秒レビューは試行錯誤中です。でも、今回の『バービー』は、早口〇秒レビューも難しい。有名なおもちゃを現実世界に持ってきただけのじゃありませんでした。社会風刺をピリリと効かせた良質なコメディ、良質なフィクションです。

女性らしさとは? 男らしさとは?
人間社会がどういう構造なのか?

現実世界に人形を持ってくることで、はじめて客観的に気づくこともありました。今回は、早口レビューを書くことも諦めて、『バービー』に関する記事を読んで、そうそう、そこがよかった! というコメントだけ書きます。

ここからネタバレありの記事を投稿しますので、映画館で観る方は、後日どうぞ。

では始めます。

『バービー』記事の感想

バービーランドと人間社会の対比は映画をおもしろくしてくれてますが、マテル社の秘書グロリア、サーシャ親子の玩具に対する世代間格差もわかりやすかったですね。世代間の格差の問題が、玩具一つの見方の違いで、社会に対する世代間格差があることをすぐに観る人に理解させます。

女性像の時代ごとの違い、玩具、特にバービー(キラキラ輝く女性)に何を男性社会が期待してきたか? という視点も見て取れます。だからシリーズにいろんなバービーが登場する。映画の中では、素朴な創業者の娘への思いからスタートしているのに。どちらかといえば、作り手より、受け取る側の思想が反映されてしまっていますよね。

曲もよかったですね。ミュージカル映画であれば、やっぱり映画を現実世界のそのままの投影として見る人には抵抗があるようですが、彼女たち、人形ですから。歌も歌うし、踊りもします。白い背景で踊るケンにはそれでもちょっと引きますけどね。

ステレオタイプの話ですが、誰にとってのステレオタイプか、ですよね。主に男性社会から見たステレオタイプを非難していますが、女性から見た世界もだいぶ偏っています。でも、映画をただの人間讃歌にはしなかったところに、考えさせる余韻がありました。最後の「婦人科」の話、意図がわからず、一気に冷や水を浴びせかけられた感もありましたけど。

「婦人科」の件は、こちらの記事にありました。妊娠したとは思わなかったですけど、それでも「え? 何??」とはなりました。そっか、私は婦人科に対する印象を持ってないんですね。ネガティブもポジティブも。

ほんとに多様なバービーが出てたんですね。それを社会の批判を受けながらシリーズにしていました。マテル社の思惑は、茶化されて終わってますけど、実際に、どんな企画会議、経営会議だったんでしょうね。

結局、『バービー』を観た人、だれもがハッピーな気持ちで帰れるかというと微妙です。私が男性社会に生まれたマジョリティで、少しずつ女性も生きやすく変化していく過程の社会にいるから笑えるだけで。最初から、マイノリティ側にいたり、女性として生まれて、苦痛をかみしめている人が観て、おもしろいと感じるかはわかりません。

まとめ

『バービー』を観た女性に、質問しました。

「5年後、10年後観たら、女性もマイノリティも生きやすくなった社会から見たら、『バービー』はおかしな映画に映ると思う?」

「5年10年じゃ何も変わらないでしょ」という答えでした。

自分が生きてきた人生から考えれば、ずいぶんと社会が変わった印象でしたが、質問した女性目線(n=1)だと、まだまだ全然、女性にとって生きやすい社会でもないようです。記事の感想にも書いた通り、私は男性で、恋愛の志向も、たぶんマジョリティです。それでも死にたくなるし、セルライトもできるでしょう。だれにとっても楽しい映画ではないかもしれませんが、笑いながら、それに気づかせてくれて、まだちょっと引きずるくらいなので、私にとってはとてもいい映画でした。10年後、もう一度観たい。


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