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『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』早口60秒レビュー

土曜の午前、『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』を観ました。

8月下旬までなので、明日の日曜(8/20)、もしくは来週の平日に行ける人は行ってくださいね。

映画のいいところを十分に伝えることはできません。監督のこと、シモーヌ・ヴェイユのこと、フランスのこと、大事なことをほとんど何も知らないので。私は映画の予告が好きで、予告を観るとすぐに観たくなるほうです。絶対本編を観るよりおもしろい予告に溢れています。そう、観たくなるのに情報量はいりません。1分くらいで、映画の魅力を伝えることができれば、と思い、早口60秒レビューを書きました。

以下、早口60秒レビューです。

レビュー

女性初の欧州議会議長を務めたシモーヌ・ヴェイユの人生を通じて、
「何のために生きるべきか?」「人はどう生きるべきか?」を考えさせられた 140分です。

彼女のようにアウシュヴィッツ収容所での過酷な経験ががないあなたにも、その答えが必ず自分の中に見つかるはずです。言葉にできなかったとしても答えはわかるはずです。

女性初の仕事をしたからすごいわけでも、女性の権利を守ったから偉いわけでもありません。過去の経験を通じて、目の前の人を助けること、助けたいと思う気持ちが彼女の核にあります。

なぜ人工妊娠中絶を合法化したのか?

それは目の前に苦しんでいる女性がいたからです。他の人たちには、彼女たちを助けることができなかった。だからシモーヌが彼女たちのために働いたのです。

人工妊娠中絶の合法化に反対する声にも「女性に聞けば十分です」という彼女の言葉がすべてです。

「フェミニストですよね?」と聞かれた彼女、「結果的にはね」

そう、目の前に真っ先に助けるべき人が子どもだったなら、彼女は子どもの権利を守った人として、名前を知られることになったでしょう。

助けたいと思う気持ちと行動があれば、実際に人を助けることができるんだ。突き動かされるものがなくても、きっと自分にもできることがあるんだと感じることでしょう。

ご主人のアントワーヌも素晴らしいし、結局は、彼女の仕事を助けた司法官、政治家の男性たちもいい仕事してました。

映画を観終わった後

大事なことを教わりました。

誰もが、出自、環境、能力を恨まずに済むようにしたい。それだけです。
最近、自分の父親や、息子との血のつながりについて考えたり、オーバーツーリズムで他国の人を一緒くたに悪く言う意見を見かけたり、終戦の日の近くには、日本人という種について語られる場面を多く見ました。

確かに、今ある大事なもののそばには、人種や血というものがくっついています。でも、人類と人類の未来を考えた時、きっとそんなことはどうでもいい。今存在している大事なものを貴重だと感じて、守りたい気持ちもわかります。でも、目の前の人を助けられなくて、何が種族だ、何が国家だ、と思うんです。

ユダヤに生まれたこと、肌の色が褐色なこと、黄色いこと、目の色が青いこと、そんなことで人が不幸になっていいわけがない。

強制収容所にいた経験なんてありませんが、環境を強く恨んだことはあります。そこから抜け出すのは大変でしたし、抜け出せたのは偶然に助けられたことも多い。たまたまです。人が同じ思いをしているとすれば、何とかしたい。

もし、災害みたいに、一人の力じゃどうしようもないことが起きた時、少しでも苦しい人に食べ物を与えられるように、肩を貸せるように、希望を持てる物語を語れるように生きたいと思いました。

オーバーツーリズムで観光地の住民が苦しんでいいわけでもないし、積極的に他国の人を日本に受け入れようってんじゃない。人種差別は悪いこと、戦争は避けるべきこと、と同じ様に、目の前の苦しむ人に、何ができるか、という話です。

きれいごとじゃありません、だから彼女も苦しんだ。

身近な家族の苦しみには向き合いにくい、それができないということも理解できます。だから彼女も、彼女のご主人も苦しんだんでしょう。できるところからでいいと思います。

最近、自分が幸せなせいで、苦しい人を助けたいというモチベーションがどこかに遠出していましたが、今日、一気に帰ってきてくれました。彼女のような結果はいりません。ただ目の前の人の力になりたい、と思いました。


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