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郵便配達人は心も届ける

 街を走る赤いバイク。地図もなく、ナビも見ず、細い路地にも入り、正確にそれぞれの家に郵便物を届ける。

 我が家に郵便物が配達される時間は、午前10時頃。いつもほぼ同じ時間に配達される。その時間に玄関先にある郵便入れに行くと、郵便配達の方と会うことが多い。昨日もその時間に玄関を出ると、郵便配達の方に挨拶ができた。ポストに入れず、直接、手渡しで郵便物をいただいた。

 今日は、昨日いただいた手紙の返信を投函しようと、郵便ポストまで徒歩20分の道を歩いていた。ちょうど10時近くだった。私の横を颯爽と赤いバイクが走ってくのが見えた。そして数件先の家の前にそのバイクは止まった。郵便物を届け終えたのだろうか、赤いバイクに戻ってきた時、私がその横を歩いていた。
「昨日は、ありがとうございます」
「あ、昨日、手紙を直接受け取ってくれた方ですね」
覚えていてくれた。
調子に乗って、こんなことを言ってしまった。
「配達が終わったら郵便局に戻るんですよね」と言いながら私は手に持っていた郵便物をさりげなく差し出し「これ、ポストに入れずに、ここで渡してもいいですか?」と。
断られると思ったら、配達人は笑顔で、「いいですよ」と受け取ってくれた。

 日常にある出来事。その出来事で心が温かくなる。そんな人に私もなりたい。

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