砂の三郎

たまごかけご飯、おいしいよね

砂の三郎

たまごかけご飯、おいしいよね

最近の記事

佇む 【短歌5首】

夕映えにのみこまれたい 道端の境界杭に葉が落ちるころ 歩道橋の上の満月、 ナトリウム灯のオレンジ、僕はここだよ 左折レーンにテールランプが連なって 乱反射するテトリスの夜 ビル風は何も知らない 本当は僕らのほうが軽いってこと しばらくは帰らないつもり 寂しさで虹を産むのさ 雨に唄えば

    • ジェニー 【短歌 6首】

      モリブデングリースを挿すこの指に とまれよとまれ明日は見えない 秋雨がみょうにきれいで バンジョーを爪弾けばほら、これが奇跡だ 雨上がり 猫の轢死体にみる エキゾチック桃太郎・外伝 たましいのあるべき場所に光あれ 電離層に放つ千の燈籠 不揃いの生命体に手をかけて ああ神さまは僕が嫌いだ 朝焼けの最高潮で立ち枯れる 頭を撃ち抜くとはこれでいいんだ

      • ゴジラ族の涙 【短歌 5首】

        道端に滲んだオイル痕がある 虹色だった疑いがある 琥珀色の思い出たちと 酔っ払うはずだったんだ 黄昏の街 知ったふりしちゃってごめん だけどまだこの世に残ることは怖いな 河川敷の夕日を受け入れようとした わたしの影もきっと孤独だ 淀みないきれいな目から いたいけなゴジラはどんな悪を見たのか

        • 夜のフクロウ 【短歌 5首】

          これでもう一人じゃないね 街角のKFCの人形とハグ ちょっとまて 黒歴史ってことにした 【孤独】をさぐる【意味】が嫌いだ 「約束の場所なんてない」 そう云えば 澄み切ってしまう夜のみずうみ 今日もまた誰かのせいで 心ある誰かが死んで 空を見ている エイリアン、全人類の醜悪は 愛の墓標に愛を見ること

        佇む 【短歌5首】

          夏のサイコ・ショッカー 【短歌 7首】

          飲みさしのコカ・コーラ瓶にスイセンカ 気は抜けるから正しいである 狂ってるはずだった 悪のはずだった 夏の終わりのサイコ・ショッカー たんたんと南へ抜ける流星の死を見届けて 八朔を喰む 真夏日を カール・ツァイスのレンズへと 閉じ込めてなおあり余る空 五億年ボタンを押して 五億年分の余白に夏を溶きたい 愁いある琴引浜の鳴き砂を ボトルに詰めて海の名を聞く 息を呑む静けさのまま ターコイズブルーの空に夏を還そう

          夏のサイコ・ショッカー 【短歌 7首】

          バックヤード 【短歌5首】

          月並みな悪役でいる所作として 薄目で見やるウェザーリポート 満潮の時刻を過ぎる 薄繭の銀塩フィルムに露光する影 これからがカランと鳴ってしみ入れば 朔夜に虹が架かる 友引 ついさっきすれ違ったか あの時の素足の君とオカリナを吹く 考えることをやめた日 雑踏のもとでゆらめく濃いめのカルピス

          バックヤード 【短歌5首】

          おはようマインクラフト【短歌6首】

          洞窟のすっからかんに既視感があって おはようマインクラフト あけない夜ないね、そうだね、 敵モブと見る朝焼けがずっとまぶしい 丸石を高くつもうか 純朴な歌にもあるさ高度限界 弓を射る 討伐されるべきモブの声をきいたかPLAYER1 童心のセーブデータに上書きをしたよ さよなら連綿の日々 美しく生きろ、たましい 角張った世界の中の丸であるため  何年ぶりかに新しくワールドを作成した。6、7年ぶりくらいにサバイバルモードをプレイしたら、けっこう変わっていて驚いた。今は

          おはようマインクラフト【短歌6首】

          Mellow Yellow【短歌5首】

          締まりない朝を飲みほす 恐竜のフィギュアの君はステゴサウルス 負けないと叫びたいから 錆びついたギターの弦はそのままでいい 輝きが足りなくなった歌声で 怯える朝はしらみ始める 鼈甲のギターピックは弾かれて 夢見に甘いメローイエロー 悲しみのマニファクチャーを見やるとき 一輪挿しに唖(おし)の花咲く  久々に短歌を詠む気分になった。少し肌寒い。ハロゲンヒーターで手先を温めている。

          Mellow Yellow【短歌5首】

          ヒーローの帰還 【短歌10首】

          いつだってカッコわりぃよ 誤ちの数だけ負けと向き合ってきた 冷めちまって食えねぇ夜の明かし方 教えてくれよ 寒いんだ、ここ ピーキーな心臓だよな 狙うならスピード狂の芯をつらぬけ このまんま飛んじまったら楽だろう 夜空の中に愛の字を書く 義務感で差し伸べられた手をつかむ…… つかむ……、つかめよ!つむんだ、ほら! 願わくは アルジャーノンに札束を! 成金どもに真の自由を! 本物の永遠なんていらねぇよ ホテル・カリフォルニアにミサイルを撃つ 宇宙にも熱があるとか

          ヒーローの帰還 【短歌10首】

          とんぷく 【短歌7首】

          起きぬけの青雲 それは君が見たひかりであった頃の希望だ とんぷくと書かれた痛み止め 「とん」がSなら 「ぷく」がMとして効く 生乾き菌の悪魔に身を売ったタオルの攻撃!ステータス・毒☠ 仰向けに寝っ転がって 怠惰教教祖は夜を説き伏せており 爆弾を作ってやろう! 材料はしぼんだ愛と嘘のぬけがら 簡易ラックの組み立て方がわからない 説明書ならたぶんゴミ箱 朝ごはん食べなくなって この世から1人前の朝があふれる  ひじょーに肩が凝った。  朝起きたら気まぐれに散歩に出る

          とんぷく 【短歌7首】

          味噌汁の国 【短歌7首】

          洗いたての枕カバーに染み付いた夢よ 残念、ここはベランダ 笛ラムネ、スキップしたら7分の距離の夏空に始まりがある 謎の死をとげたわかめが 味噌汁の国でたくらむ同化政策 トラックに轢かれた右の軍手にも 見えてしまったモザイクの空 直球で勝負しろよといつになく 真剣だからまずはカーブだ ボンカレーのまるの真ん中撃ち抜けば まるが増えるね五重まるだね 味のないガムを噛み続けるわけと 同じ原理だ 神さまはいる    午後の紅茶、無糖にはまっている。  このところ暑くなっ

          味噌汁の国 【短歌7首】

          アクリル絵の具 【短歌7首】

          なっとうの神様、俺は醤油です 彼女は巫女の練り辛子です うれしいの着色料に毒された これでも喰らえっていう幸せの味 オンとオフ、オンとオフとを繰り返す 心臓だけがちゃんとして朝 魔法瓶の中のカフェイン こそばゆい呪文となって夜をうちけせ 玄関のシューホーンにだけ打ち明ける すべての雨は君に降らない つつがなく竜頭を巻いて 思い出は命の針を進めてしまう スケジュール帳の予言に縛られて 働けどなお楽にならざり  オーバーホールに出していた時計が手元に戻ってきた。1ヶ

          アクリル絵の具 【短歌7首】

          ハードポイント 【短歌7首】

          ひたむきに包丁を研ぐ やましさの刃先じゃきっと君を切れない 玉ねぎは断頭に処せ 玉ねぎの中で育った悲しいを討て ハザードをともして停まる 故障して動かないんだ俺のエンジン チューナーがおかしくなってあの日から ノイズ混じりの虹を見ている 無菌室めいた小部屋に置かれある シャーレで育つ影のない日々 カレンダーにしるした丸をなぞりつつ 一しかでないサイコロを振る かき集めた光の束でぶん殴る 痛いか、これがやさしいだ、泣け  ひょんなことから、学生の時に買ったG-sh

          ハードポイント 【短歌7首】

          不凍液 【短歌7首】

          ペン回しをしている時におとずれる余白の中に永遠がある にびいろの心と融和した部屋で飲もうか カゴメ野菜生活 乾燥機で縮んじまったセーターのくせに孤独を語ろうとする あの月はこわくはないぞ ベランダのサボテン達と対話する風 相槌がうまくいかない 言い訳を抽出したら苦いコーヒー 履き皺の深く入った革靴を何度も磨くたましいであれ ゴミ箱にみかんの皮が一発で入った世界だから信じろ  何かを声高に叫ぶには年をとってしまった。日に日に衰えてゆく感性に蝕まれて私の手はしぼんで

          不凍液 【短歌7首】

          深海 【短歌7首】

          深度10メートル、酸素量はなく、潜望鏡に島影もない 紛うことない大海にさとされてひとり寂しいレッドアラート 気休めの止水区画で思い知る 船酔いに似た生きるメソッド 残響を拾い集めて横になる 青い珊瑚を抱きしめている 気まぐれに耳をすませば聞こえ来るザトウクジラの明日を呼ぶ声 羨望の視線の先で水底のマリンスノーは死んでしまった 海溝のアンモナイトよ激動のカンブリア紀の海は青いか  先日、手帳にインクの染みをつくってしまった。ブルーブラックの寂しげなそれは、私を見て

          深海 【短歌7首】

          春のよすが 【短歌5首】

          公園のベンチで君を待てという司令を受けて凪いでいる空 一匙の光を撒いたかのようにたなびく君のスプリングコート 桜には散るわけがあり僕たちは川面に落ちるわけを見ていた あの角のカーブミラーのその先でタイムマシンが手招いている 秘密裏に安全弁は閉ざされて暮れゆく街で息ができない  久々に休日1日を使って短歌と向き合ってみた。いい出来栄えではないかもしれないが、これが今の私の姿なのである。

          春のよすが 【短歌5首】