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おとおとの 未熟が故の話

 元来血の気の多いタイプの一族ではない僕達兄弟ですが
若い頃、人間がまだ出来上がっていない
つまりは多感な時期と世間から呼ばれる年の頃には
兄がなんか外で激怒しているところを目撃したり
僕が兄の友達(つまり地元の先輩w)に激怒したところをなだめられたことも多少はあった。
しかしおとおとは怒ると涙が出てきちゃうという
男にとってどうなの?っていう欠点があるのでブチギレるような事はまあない。

だが、兄と違い偏差値が低い高校に行っていたおとおとは当時、校内の教師の質がとにかく悪いことが悩みだった。(当時ね。今はそんな先生いません。)

その日も選択科目でテニスをしていたおとおと。(テニス部なのに笑)
僕以外にもテニス部のやつが大勢いたことから、体育教師がテニス部と一般生徒をわけて試合形式でやれと言い出した。
そして一言付け加えるように一言

「テニス部負けたら単位やらねぇぞ。」

おそらくこの教師は深く考えないでバラエティ的なノリで言ったのだろうと思います。
しかし僕らテニス部はこんな事で単位を貰えなかったら困るので、素人相手に全くの遊びはなく本気のサーブを放ちました。
全国大会に出ていない柔道部も
コンテストに引っかからない美術部も
一般生徒には負けることはありません。

そらそうです。

僕らのサーブも大会の本戦に進むレベルではないが選択科目でラケットを触ったこともない生徒に返せるものでもない。
本当ならある程度ラリーができるくらいの球を放ってあげなきゃいけないのだろうが
単位を貰えなかったらたまったもんじゃありません。

やる前からわかっていた一方的な展開に
言いだしっぺ、煽りだしっぺの教師の顔がだんだん曇り始める。
するとしばらくしてテニス部のやや血の気の多いマサオと教師がなにやら口論になっていた。
僕も近くにいた子に話を聞くと
マサオが打った球が対戦相手に当たりそうになったそうでそれを
「相手はテニス経験者でもないのに危ないじゃないか」
とその教師がマサオに突っかかったのだ。

さっきからイラついていたからなのか、大の大人が16~7歳の子供に対して、校庭後ろの遠く秋川渓谷にまで届くのではないかというそれはそれは大きなお声で

「てめー経験者なんだから、もっと考えてやれや!!」

なんとまあ、先を生きると書いて先生と読むお方が口の悪いこと。

それに対しマサオも
「負けたら単位貰えないんだから相手には悪いけど、考えた結果こうなっている。テニスボールは眼とかキン〇マに当たらない限りは怪我をすることはない。」

まあ。。。教師にタメ口はどうかなと思うけど、マサオが言っていることは何一つ間違ってない。

しかしその体育教師は捨て台詞のように

「んな事やってるからテメーらテニス部は本戦にも行けずに負けんだよ!!」

え。。うそん。。
それってどうなの?まあ事実だけど笑
野次馬の後方でそっと様子を伺っていたおとおとはその一言で一気に頭に血が上り、ぼくら世代は噂にしか聞いたことないあのねるとん紅鯨団よろしく
ちょっと待った!!となった。

「先生。それは無いっすよ。先生が決めたルールでテニス部に余計なプレッシャーを与えてきて、全員予想がつくような一方的な結果になったら勝手にイラついて挙句の果てに『だから本戦行けない』って。」

「なんだテメーは関係ねーだろ!!」←本当にこんな言い方。

 だめだ。
ムカついてきた。
ムカつきすぎて、な、涙が出ちゃいそうだ。
(書いてて今もムカついて涙でそうだ。笑)

そうだ、おとおと以外にも大勢のテニス部がいたはず!!
こんあ酷いこと言われてみんな僕のように怒っているに決まっている!
独特なサーブのタグチ君とか。
彼はレギュラーだし。
ってかおとおとレギュラーじゃないし!!!
てかもしかして
レギュラーでもないのにしゃしゃってきたってなってる?
いやいやそんなはずはない。
なんて友達思いなんだってなってるでしょ。
おそらく今後ろ向いたら
僕以外のテニス部たちがずらっと並んで
なんかドラマのような感じになってるんでしょ?
よし。
ここは1回後ろを見てタグチ君ほか、テニス部の同志たちを味方につけよう。
ってかこのままだと涙出るしね。

おとおとは後ろにいるであろう援軍に助けてもらおうと後ろを振り返ると

とても怖い顔で先生を睨みつける坊主頭の生徒十数人。
あ、あれ?
こんな怖い顔した毬栗頭テニス部にはいません。
そこにいたのは同じく、去る夏休みに全国高校野球大会西東京予選一回戦で敗退した野球部員たちが大勢立っていました。

ちなみにテニス部ひっとりもいねーでやんの。

 すっごい怖い顔で先生を睨むイガグリ軍団と同志が想定外すぎてすっかり戦意喪失する僕。
しかしこの教師の怒りは収まらず、なおも

「単位いらねーやつは出てけよ!!」

おっと、今度は権力を振りかざしてきた。
正直、選択科目を1教科も落とせない前回登場カンイチと違って僕は意外に真面目だったのでこんな遊びみたいな授業1個落としたところで余裕で卒業出来るので、お言葉に甘えて失礼することにした。

後日、体育教科室ではこっそり冷蔵庫を開けても怒られないくらいそこそこ可愛がられていたおとおとはテニス部激怖古株顧問と同じく野球部顧問に経緯を色つけて話し、おもっくそ問題にしたのでおとおとは単位を問題なく獲得し、その教師から人の師とは到底思えない、ボソボソの謝罪を頂きましたとさ。

ちなみにコートからプンスカ出ていく時にチラッと後ろを見たら
テニス部誰1人着いてきてくれなくて代わりに無数のイガグリがついてきてくれた(笑)
ありがとうイガグリくん達。
一回戦負けを死ぬほどバカにしてごめんね。

以上。おとおとの血の気の多い話でした。


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