自宅介護に向けて

病院に入院し続けるためにはお金が必要です。リハビリしか回復の手段がない患者は早々に追い出されます。入院後1か月を過ぎて退院後の選択肢を決めるよう求められ、3ヶ月後には退院するように言われました。
選択肢は自宅介護か施設入所の二つ、父は自分が介護する前提で自宅介護に決めました。

ただし、家は門から玄関まで狭くて急な階段がありました。この玄関までの動線をどうするかが大きな悩みでした。当初介護事業者を通じて、階段に沿って設置する障害者用の昇降機を扱う業者を紹介してもらいました。話を聞くと、設置で約70万円、維持にかかるメンテナンス費は別でした。また、定期的にメンテナンスしても経年劣化は免れないとのこと。

そこで別の業者に相談し、階段を取り壊してスロープにする手段も検討しました。ただ、費用は昇降機の約2倍でした。介護保険で支払われる住宅改修の費用の上限は20万円、それ以外は自己負担です。玄関までのスロープ化だけでなく、玄関から上がるための踏み台、廊下とトイレ内の手すりの設置、家の中を車椅子で動ける動線を確保のため2つの部屋を仕切っている壁を壊し、ドア位置を変えたり畳のフローリング化などを加えると総額200万円を超えました。介護保険の給付金ではとても足りません。

家は両親が晩年に中古で購入したのですが、既に住宅を持っている方を除き、60歳以上で家を新築または購入する場合、足が不自由になっても動線が確保できることが必要であると痛感しました。家族が介護状態になった場合、住宅構造によっては高額の出費を覚悟する必要があります。
母の介護にあたり、住宅改修だけでなく、障害者をスムーズに乗せることができる車も確保しました。父が車椅子から解放されることを期待し、助手席が電動で横に動いて乗員の昇降負担を減らす仕掛けの車を知り合いの業者を通じて見つけました。

自宅介護の準備では、病院が紹介した介護事業所のケアマネージャーにお世話になりました。この方は、母の容態と父と弟の仕事の状況、介護給付金も考慮してケアプランを考えてくれました。ちなみに母の要介護度は3、介助がないと日常生活を過ごすことができない状態でした。

ケアマネージャーの紹介で自宅から車で20分に位置するリハビリサロンに行くことになりました。それから、入院していた病院でのリハビリも週1回取り入れたケアプランを作成いただきました。日曜以外は毎日リハビリです。週1回の病院でのリハビリには父が仕事を休んで同行するという形式を取りました。
リハビリサロンにはスポーツジムにある機器を備えていました。その機器を使って左右の腕を上げ下げしている母の姿を今でも鮮明に思い出します。退院して2ヶ月はトイレに行くのに父の介助が必要でしたが、リハビリのおかげで次第に腰の筋肉がついて、自力でトイレに行くこともできるようになりました。

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