がんを知る

ステージ4、転移という言葉は世間でよく聞きます。しかし、自分または近親者ががんにならない限り、結局は人ごとなんだと感じました。当事者にしか、その切羽詰まった状況は体感できません。私も、父の本当の気持ちは分かりません。
帰宅する前、父を元気づけようと心を積極的にするためのYouTubeを聴かせたりしましたが、途中で父は机にうなだれてしまいました。

そのうなだれた姿が今でも目に焼き付いています。

家内とは一夜経て仲直りできたので、がんを知ることからがスタートです。
遡る3年前、母が脳梗塞の一種である心原性脳塞栓症を発症したときも脳卒中を中心に脳や心臓、血栓に関する本、ネットを通じて可能な限り情報収集しました。今回父の胃がんによる余命宣告を受け、がんに対しても情報を集めました。
「がん」「ガン」「癌」とひらがな、カタカナ、漢字と使い分ける意味まで調べました。以降「がん」とひらがなで進めます。

がんに関する情報を得る手段として、再び本屋と図書館に行きました。家内のアドバイスにしたがって、まず本屋でチェックした本を購入せずに写メを撮ってから図書館に向かいました。
本屋ではがんに関する本は、目につきにくい棚の下あたりに1列だけありました。次に図書館に行くと新旧含めてかなりの数があり、本屋で写メしていた2冊を借りれたのは費用面でよかったです。

結果としてメルカリで1冊、Amazonの中古で1冊注文し、図書館から6冊を借りました。
最初は、胃がんに特化した本を読みました。本のタイトルは「胃がん 完治をめざす最新治療ガイド」です。胃がんはステージ3までは外科手術が前提のため、内容の半分以上は手術のパターンや再発、転移、術後の生活についての情報でした。

抗がん剤に関する情報は数ページ程度でした。この本では、副作用が少ない分子標的薬のことが分かりやすく記載してあり、短時間で把握するには都合がよかったです。
分子標的薬は誰でも適用できず、HER2検査の結果によりHER2遺伝子をもつ約2割の方々だけに適合するものだということもわかりました。

当時、胃がんステージ4の5年生存率は10%以下でした。
胃がんでは、早期発見からの治療は手術により寛解の可能性は極めて高いのですが、ステージ4では抗がん剤などの化学療法しか標準治療としての手立てはありません。
父が医師から受けた説明としては、余命1年、抗がん剤治療で余命プラス2か月程度とのことでした。医師の説明はあくまで統計に基づくものですが、寛解は無理でもQOLを維持した時間を伸ばすための可能性を見つけたいと思いました。

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