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【心地よい暮らしの照明術】#6 コンビニとスタバの照明の違い

マイホームを建築中の方からよく照明プランの相談を受けるのですが、住宅メーカーや工務店の提案するダウンライトばかりの照明プランを見ると、ついつい「こんなにダウンライトは要らないですよ。」言ってしまいます。

ダウンライトを減らすと暗くなるのが不安だと言われる方が多いので、「フロアライトやテーブルライトを使
って足りない所や必要な場所へ光をあてると良いですよ。」とお伝えするのですが、言葉ではなかなかイメージしづらいことでしょう。

暗いと不便だとか生活しづらいといったネガティブなイメージを持った人が多いと思いますが、例えばコンビニとスターバックスでは店内の明るさの印象は全く違います。

コンビニの天井には真っ白なLED照明が均等に配置され、店内の隅々まで煌々と照らしています。反対にスタバの店内はどちらかというと薄暗い印象で、分かりやすいのがショッピングモール内にあるスタバで、他のショップと比較するとその中でも特に薄暗いというのが特徴です。

そのように明らかにスタバの店内は薄暗いのですが、どこのスタバに行っても店内には本を読む人や仕事や勉強をしている人はいます。

スタバは一見すると薄暗い印象ですが、実際に店内に居ると他人の視線や存在をあまり感じさせず、適度な篭り感があって居心地が良いのです。

薄暗いから本が見えにくいのかと思いきや、テーブルにはしっかりと光があたっていて手元が暗くて見えづらいといったこともありません。

天井を見るとダウンライトやスポットライトが配置してあることが多いのですが、照明器具自体はそれほど眩しくないので、天井辺りはそれほど明るくはありません。

コンビニやショッピングモールなど店内が煌々した明るさの店舗の天井は眩しいくらいに照明が光っているのに対して、スタバの天井は全く違います。

天井が明るくないので全体の印象も暗く感じるのですが、それでも手元にはしっかりと光が届いているのです。

天井に配置されたダウンライトやスポットライトをよく見るとグレアレスタイプの照明が使ってあることが分かります。グレアレスとは光源が見えにくくしてある照明のことで、真下から覗き込まないと照明器具の光が見えないようになっています。

グレアレス照明の特徴は発光部分を隠して、照らしたい部分にだけ光をあてることが出来るということです。全体の印象としては暗い感じになるのですが、手元はしっかりと明るくすることが出来るので、落ち着いた印象の空間を演出する場合はピッタリなのです。

全体的に明るい印象にしたい場合には、拡散型のダウンライトを使うと天井辺りを中心に全体的に光を拡散してくれるのでそのような器具を選び、落ち着いた印象にしたい場合にはグレアレスダウンライトを用いると丁度良いといった感じです。

比較するとグレアレスダウンライトの方が手元の照度は明るいので全体の印象は暗いのですが、手元はかえって明るくなります。

例えるなら、拡散型のダウンライトが裸電球を天井に付けているようなのに対して、グレアレスダウンライトはスポットライトを付けているようなものです。

拡散型のダウンライトは光源の周囲が明るいのに対して、グレアレスダウンライトは照らす場所だけが明るくなります。

つまり、拡散型ダウンライトを天井に配置した場合は天井部分が最も明るく下にいくほど照度が下がり、グレアレスダウンライトは天井部分はほとんど明るくないのですが、手元はしっかりと照らされているというわけです。

室内の印象は拡散型の方がパッと見は明るく感じますが、実際の手元はそれほど明るくないのに対して、グレアレスダウンライトは第一印象は暗く感じるのですが、手元がしっかりと照らされていればそれだけでも十分明るく、さらに落ち着いた雰囲気で過ごすことが出来るのです。

もちろんそれ以外にも天井、壁、床の色などインテリアの雰囲気を決める要素は沢山あるのですが、中でも照明がもたらす影響は思っているよりも大きいのです。

同じダウンライトといっても色んな種類がありますので、自分の求めているマイホームがコンビニのような明るい空間なのか、スタバのような落ち着いた空間なのかによって変わってきますので、今回は単に見た目の印象だけで、『暗い=不便、生活しづらい』といったわけではないのだと知ってもらえると良いかなと思います。

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