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ひとものこと|「記憶する」より「理解する」ことを大切に

乃木坂しん」支配人 兼 ソムリエの飛田泰秀による連載エッセイ「ひと・もの・ことで命を吹き込む」の第3回は、飛田流のインプット術について。

レストランサーヴィスマンのインプット方法とは?

こんにちは、乃木坂しんの飛田です。

日中は大分暑くなってきましたが、夜になると肌寒さを感じますね。みなさまは体調など崩されていませんでしょうか。

先日、定期的に和食の勉強会を当店で開催してくれているシェフの方々から、「note見ていますよ」「うちの従業員にも読ませましたよ」、というお話を教えていただきました。

そんな話を聞かせていただくと、素直に良かったなと思いましたし、とても嬉しかったです。何となく、徒然なるままに書き綴るこの内容も誰かの役に少しでも立てているのかと思えたら、わかりやすく人ってモチベーションが上がるものなのですね(笑)。

シェフのみなさまには、「五感を大切に」という話を読んでいただいたのですが、あの話、実は最後まであえて書ききっていないことがあり、ご来店いただいたシェフには折角なので、続きの最後の部分をお話しさせていただきました(大した話ではありませんが)。内容に興味があるぞ、という方には続きをお話しさせていただきますので、是非とも当店へご来店いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします(笑)。

という訳で、なかなか「ひと・もの・ことで命を吹き込む」の連載の書き出しが浮かんでこなくて執筆が止まっていた所に励ましの言葉をいただけてやっと書き出すことができました。シェフにはありがとうございます、って思いながら案の定、深夜にコツコツと進めさせていただいております。

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アウトプットの準備を
同時にすることで理解が深まっていく

今回は、このnoteの編集担当の江六前さんにもリクエストされたインプットについてのお話しです。

ほぼ休みなく長時間働きながらさまざまなお客様のお相手をするだけでなく、レストランの外でもいろいろなことを手掛け始めている中で、どうやってインプットをしているのか興味があると。

はい。実は、これ、大の苦手です(苦笑)。さらに、もともと物覚えも良くない私ですので、お恥ずかしい話にならないか、とても不安なのですが、だからこそどんな風にやっているのか興味がある(江六前さんが笑)そうなので、リクエストに応えようと思ったのと、自分自身も整理して考える良い機会をもらえたと思いましたので、お話しさせていただこうと思いました。

まず、結論から率直に言ってしまうと、あまり何も特別なことはやっていません

もちろん日本料理店だけでなく、お鮨や天ぷら、鉄板焼き、フレンチからイタリアン、スパニッシュ、ワインバーやオーセンティックバー、カジュアルからフォーマルまで幅広く他のお店を食べ歩くことはとても好きなことなので、この20年間可能な限りはしてきた自負もあります。

時間があれば美術展やご縁をいただいた作家さんの個展に足を運ぶこともあります。インプットの方法でいえば、ある程度、一般的な方法も取り入れているので、まったく何もしていないというわけではありませんが、私自身は、それほどインプットの方法自体を重要視しているわけではありません

それは、記憶だけしようとするとなかなかどうして時間もかかりますし、それだけでは上手くいかないと思うからです。第一、無理矢理はいずれ飽きてやめてしまいます。

では、何をやっているのかというと、必要なシチュエーションを考え想像し、お芝居のように絵を想像し、準備して実戦(営業)に臨むようにしています。そして、インプットするには理解できていないと無理なので、理解することに努め、わからないことはその場で調べてしまうか、メモをしてなるべく早く調べてしまいます。そのうえで分からなかったこともまた場面として覚えてしまいます。

そしてそのイメージを頭の中で反復してから「実戦する=人に伝える」をすることで自分にインプットできているかを確認します。要は「インプットと同時になるべく早くアウトプットできるようにする」です。

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人は、つねに昨日とは違う今日を生きている

今はとても便利な時代になったので、スマートフォン1つで何でも調べることができます。知らないことやさまざまな知識はスマホを見れば手に入ります。理解していればその索引を開くことも容易です。だからこそ、そこにリソースをかけずに、その内容を理解することに努め、お客様に説明したり、伝えていく様々なパターン(シーン)を考え、聞く耳をもってもらい、理解してもらえる場面のパターンを増やすことに労力を費やしています

結局のところインプットはアウトプット、お客様やスタッフという相手に伝え、理解していただくことが最重要な目的だと思うからです。自分自身はスムーズな媒介役になるように努め、それが出来ることによってさまざまな「ひと・もの・こと」から伝播し、いろいろな「ひと・もの・こと」へと命が吹き込まれていくような気がしてならないと考えているからです。

ちなみに、日々の営業では約1カ月間はほぼ同じ内容の献立を繰り返します。使用するワインやお酒の銘柄も、その間はほぼ一緒です。そうなると反復はいくらでもできるわけですから、自然と覚えてしまいます。ですから逆にマンネリ化せずにいろいろなパターンを意識し、常に昨日とは違うのだという思いでお料理やお酒、そしてお客様に接することで、おもいもかけない方向に話が進み、新たな知識やお客様の気持ちを知ることができたりします。

そのおかげで私の知識は広がりますし、サーヴィスの幅も広がります。それらを繰り返していくことで無理に記憶の時間を作る必要がなくなります

ですから、私はいつもお客様に助けていただきながら、日々成長させていただけると感謝しています。お店はそこに従事する人だけが作るわけではなく、お客様と一緒に作り上げ、成長していくものなのです。

そのような尊敬の念を持てるお客様にご指導、ご鞭撻いただき、愛していただけるようなお店作りをこれからも目指していきたいと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

次回の「ひと・もの・ことで命を吹き込む」では「ゴールは何か」について、それとも私の考える「サーヴィスマン像」についてあたりを話しましょうか。いや、でも気が変わって脱線していたらごめんなさい。

生い立ちをお話するというお約束も忘れたわけではありませんよ……。

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乃木坂しん
東京都港区赤坂8-11-19 エクレール乃木坂1F
☎03-6721-0086
ランチ(水〜土) 12:00〜15:00(13:00LO、*前日までの予約制)
  おまかせ10,000円、15,000円、18,000円
ディナー(月〜土) 17:30〜23:00(21:30LO)
 おまかせ 15,000円、18,000円、28,000円
※消費税、サービス料10%別
※緊急事態宣言中は、夜の営業時間を変更して営業しておりますので、店舗までお問い合わせください。

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次回のnote更新では店主の石田のコラム「4月の煮炊き」、今月は旬の筍の予定です。お楽しみに!アカウントのフォローもしていただけるとうれしいです!

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編集・写真=江六前一郎

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