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文藝春秋digital
2020年4月20日 12:00
無観客われ岸と水見分かぬまでに吹雪きたる庄川を越ゆ亡者のごとく電線ゆ雪ほたほたとこぼれ散る朝は〈脱藩〉の響きを思ふ五箇山の手漉き葉書に鷺と鷲また背の君は書き間違へて老年に至りてなほも銭欲るは愚の極みとぞキケロー嗤ふすらすらと『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』の長台詞諳んじて児よ頼むから九九傷心もややぬるむころ加越なる天田峠に春は降りきぬ無観客相撲テレビに眺むればああ無観客人生