文藝春秋2020年5月号

スターは楽し モーガン・フリーマン|芝山幹郎

モーガン・フリーマン 濁りを恐れぬ受けの芝居 「あの娘は、自分がゴミだという事実だけを思い知らされて生きてきた」 名作『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)の序盤で、ひやりとするナレーションが聞こえる。 声の主は、モーガン・フリーマンが扮するスクラップという元ボクサーだ。スクラッ…

世界経済の革命児 アンソニー・タン 大西康之

ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、アンソニー・タン(Anthony Tan、Grab創業者CEO)です。 アンソニー・タン 孫正義が認めた東南アジアの「決済王」 レンタルオフィスの「ウィーワーク」、格安ホテルチェーンの「OYO…

鷲田めるろさんのオヤジの話。

著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、鷲田めるろさん(十和田市現代美術館館長)です。 父と絵と 父は油絵を描いていた。私が幼い頃、父はまだ学生で、時間に余裕もあったのだろう。よく写生に連れて行ってくれた。父のキャンバス地の画材入れをよく覚えている。絵の具のチューブが…

船橋洋一の新世界地政学 コロナ“非接触経済社会”

今、世界では何が起きているのか? ジャーナリストの船橋洋一さんが最新の国際情勢を読み解きます。 コロナ・ショックの震源地の中国だが、その後武漢の感染を押さえ込んだとして、いまでは対コロナウイルスの先進国として、そしてその後感染拡大でもがき苦しむイタリアやスペインへの感染対応援助国…

2度目の東京オリンピック|戸髙一成

文・戸髙一成(大和ミュージアム館長) 今年は東京で56年ぶりのオリンピックが行われるということであったが、新型コロナウイルス感染拡大の終息が見込めないまま。オリンピックの延期が発表され、残念な思いと同時に56年前の東京オリンピックの思い出がよみがえった。 東京でオリンピックが開催され…

カブで全市町村走破|仁科勝介

文・仁科勝介(在倉敷市・写真館勤務) 「誰にでもふるさとはある」そういう思いで旅をしてきた。だから昨今お笑い界を席巻した漫才コンビ、ぺこぱさんがM-1決勝で「間違いは故郷(ヒュルさと)だ! 誰にでもある!」とのセリフで日本列島の笑いをかっさらった瞬間、嬉しくて心の中でガッツポーズを…

さいたまに、夢のチームを|池田純

文・池田純(Bリーグ埼玉ブロンコスオーナー) 横浜から、埼玉へ。 プロ野球から、プロバスケットボールへ。 この3月、私はBリーグ3部埼玉ブロンコスの株式の大半を取得し、オーナーシップを獲得しました。横浜DeNAベイスターズの初代社長を2016年まで5年務めて経営黒字化を達成した後、次の道を探…

それはゆるされる旅でした|上出遼平

文・上出遼平(テレビプロデューサー) テレビ東京で『ハイパーハードボイルドグルメリポート』という番組を作ってもう3年。けれどこの名前にピンとくる方は多くないはず。なぜなら、日本では時折深夜に予告なく放送される程度で、皆さんの目に触れる機会はとても少ないから。しかし実は作る端から数…

夢のプロ入り|折田翔吾

文・折田翔吾(棋士) 11歳で将棋にハマった。奨励会に入り、棋士を目指した。棋士になれたら、将棋を指してお金がいただける。憧れのトップ棋士とも対戦できる。そんな夢のような日々がおそらく一生続く。 しかし棋士になるためのハードルは恐ろしく高い。奨励会からプロである4段に昇段できるのは…

明るくて広い部屋|青山七恵

文・青山七恵(作家) 夏に引っ越すことにした。11年ぶりの引っ越しだ。今度の部屋はいまの部屋よりずいぶん広い。友人に間取り図を見せると、ひとりで住むには広すぎるという。さびしくなるかもよという。でも、いまよりもっと狭い部屋に住んでいたとき、いまよりわたしはさびしくなかったかというと…