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[映画]パラサイト 半地下の家族

 ※ネタバレを含みます。

 どうしてもネタバレを目にする前に観たくて、無理矢理足を運ぶ。めちゃくちゃ面白かったです。生活が変わって全然映画館に足を運べていないけれど、20代で「オールドボーイ」「殺人の追憶」「オアシス」を続けて観た頃の「韓国映画すっっっげえええ!!」って気持ちを思い出しました。

 半地下のジメジメした家に暮らす、無職、留年の4人家族。彼らが社長一家が暮らす高級住宅街の邸宅へ家庭教師として、運転手として、一人また一人と入り込んでいく、これが物語の始まりです。映画を観ている人ほど、この一家がサイコパス的にお金持ち一家を乗っ取っていく話だと思いますよね?(私はそうでした。)でも、物語はどんどん思いもよらぬ方向に転がっていきます。

 考察はたくさん出てくると思うので一つだけ。ラスト、一人で地下室に潜み続ける事を選んだソン・ガンホは、門灯を点滅させてモールス信号を打ち、息子にメッセージを送ります。息子は、いつか必ずあの家に住めるようになって、父を迎えに行こうと決意しますが、そんな事はあまりに遠い夢、というほろ苦い幕引きです。
 でも鑑賞後数日経って気づいたのですが、「門灯でモールス信号が送られていた事を知っている」「地下に続く階段からホームレス(幽霊)が顔を出していた事を知っている」人間がもう一人いるのですね。まだ幼い社長の息子。ソン・ガンホはあの家で朽ちるのか?迎えにいくのは息子か、それとも復讐鬼か…?
 ちょっとゾクッとする余韻が残る作品でした。

 俳優陣で出色だったのは、クールな妹パク・ソダム。佇まいも煙草をふかす様もとことん絵になる。
 それから、お金持ちの奥様を演じたチョ・ヨジョン。美しく、明るく、エロスもあって、能天気なトロフィーワイフを見事に演じていました。繰り返し騙される様、王子様に幸せにしてもらって当然のスタンス、さながらブラック描写版の白雪姫のよう。
 陰の主役だったのは、超絶完成度の高いそれぞれの家のセット。瀟洒な邸宅と半地下の飛距離に、観ているこっちもジワジワとジャブをくらい続ける感覚になりました。

細く長く続けて、いつか作品をまとめられたらいいなと思っています。 応援していただけたら嬉しいです。