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幼少の体験が成人になっても影響する?

もしかしたら、この実験の話しをどこかで読み聞きしたかもしれませんが、
心理学の「満足遅延」の実験。

被験者は4歳の幼児数名。
目の前に大好きなマシュマロをそれぞれ1個与えられ、
「今このマシュマロを食べてもいいですが、15分待つことができたら、もう1つあげます。」

この実験では、目の前の小さな報酬(マシュマロ1個)ではなく、遅延後の大きな報酬(15分後のマシュマロ2個)を選択できるかを測定しています。

結果は・・・

多くの子どもたちは最後まで待つことができませんでした。
最後まで待てたのは、被験者の30%で、その子たちは、マシュマロを見ないようにしたり、「雲みたい」と考えたり、マシュマロから気をそらすことで、遅延することに成功しました。

この実験の目的は、「自己制御」を試すものでした。
そして、この実験に参加した4歳児を10年後、さらに40年後に、提示されるテスト(顔写真が笑顔か恐怖の顔かでボタンを押すか押さないかが指示される)単純な反応を抑止することが求められる課題に取り組んだのです。

この課題に取り組んでいる最中に彼らの脳活動をみてみると、
4歳時の満足遅延時間が長かった人(当時我慢できた幼児)は、短かった人(当時がまんできなかった幼児)と比べて、衝動制御に関わる脳の働きが、活発であることが確認されました。

幼少期の満足遅延の能力が、その後の人生に影響を及ぼすことを示しております。

「自己制御」とは

そもそも「自己制御」は、主に「目標の達成」に大きく関わっています。
また、「他者との協働」や「感情のコントロール」にも関わってくる部分があるといわれています。

たとえば、個人の目標(外国語習得、ダイエットなど)や社会的な目標(取引先との友好な関係維持など)に向けて実践していったとき、自らの認知や感情、行動を制御していくプロセスをいいます。

学究研究の世界では、実は「自己制御」が優れている人ほど、学業成績がよく、精神疾患や過食、アルコール依存症になりにくく、幸せで、対人関係も良好であることが示されているそうです。

また「自己制御」に優れていることは、「人類最大の強み」という研究者もいるほどです。

成人になってしまった私たちにはもう改善できないのか?

「自己制御」は、成人になってから必ずしも改善できないことでは、なさそうです。

その後のさまざまな実験で、年齢に応じて「自己制御」が強くなった人もいるそうです。
中年期(45歳頃)以降でも改善の余地はあります。
もちろん幼年期や青年期のようには、いかないでしょうが、
私のような中年期を少し超えた年齢層でも、意識しだいで「自己制御」を改善できる余地はあります。

ちなみに、マシュマロの実験以降、この実験に疑問が投げかけられ、
別の実験では、家庭内の子育て環境や経済状態、言語や算数の能力なども「自己制御」に影響を及ぼすこともあるようです。


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