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『エゴイスト』誰かと一緒に生きること

こんにちは。

今日は『エゴイスト』観てきました。

鈴木亮平さんと宮沢氷魚さんが主演です。

一言で言うと「重…深…」なのですが、
少し感想を書かせて頂きたいと思います。
※ネタバレありです

①あらすじ

鈴木亮平さん演じる浩輔と宮沢氷魚さん演じる龍太はパーソナルトレーニングで知り合い愛し合うようになります。
そして龍太が身体を売って母親を養っていることを知った浩輔は、自分が生活費などサポートする、一緒に頑張ろうと声を掛けます。
夜の仕事を辞め、収入が足りなくなった龍太は仕事を掛け持ちし身体を壊し亡くなってしまいます。
それを浩輔は自分のせいだと責任を感じ、また喪失感を埋めるように龍太の母親に生活を支えさせて欲しいと申し出ます。
友人たちは「どういうこと?」と困惑する。

浩輔の龍太と龍太の母親に対する「愛」は
2人を追い詰めた身勝手なエゴなのか。


②ストーリーの感想

私はこの作品で印象に残ったセリフがあります。
浩輔の母親が病気をして、家族に苦労をかけたくないから別れてくれと言ったとき浩輔の父親が言った

「出会っちゃったんだからしょうがない」

きっと世の中の「愛」の中には

出会わない方がお互い苦労をしなくて済んだ

ということがあると思います。
それでも出会ってしまったんだから一緒に頑張って行くしかない。結果苦しむことになっても離れることなんてできない。と浩輔の父親は言ったのだと思います。

浩輔と龍太の2人も育った環境も違えば
職業も収入も生活習慣も違う。
きっと一緒に生きていくことはすごく大変で。
それでも2人で頑張る決断をした結果、
龍太は亡くなってしまった。

上手く言葉にできませんが、
体の弱い母親を高校中退の龍太が養っていくには
夜の仕事をするしかなかった。
そして愛する人に嘘をつかずに生きていくためには浩輔が龍太をサポートするという選択も間違っていたとは言い切れない。
でもそんなのきっとお互いしんどいし長続きしない。

観終わった今、2人が幸せにずっと一緒にいるためにはどうすれば良かったのだろうと考えますが、わからないですね〜

でも唯一救いがあるとしたらラストの
「まだ帰らないで」
という龍太母のセリフですね。
ここで浩輔の愛が一方的なエゴではなかったと浩輔自身が感じてくれていればいいなと思うのですが…どうでしょう…

鑑賞後に色々考えさせられますね。
しんどくて心と頭フル回転のとてもいい作品でした。


③オススメポイント

私はストーリー以外にもこの映画好きだなと思ったポイントが2つあります。

・リアルな生活音

全体を通して音楽で誤魔化したりゴリ押ししたりせず、登場人物のリアルな生活や感情が伝わる作品です。
足音、ビニール袋が擦れる音、息遣い、ソファが軋む音、ハンドクリームを指に塗る音などなど
2人の生活音が全部聞こえてきて没入感がありドキドキしました。

・わざとらしくないカメラワーク

私がこの作品で1番好きだったシーンが
龍太が初めて浩輔の家に行った帰りにマンションを出た龍太が振り返ってベランダから顔を出す浩輔に手を振るシーンです。

そしてこのシーンのカメラワーク、構成ほんっと天才でした…
振り返って手を振る龍太の奥に最上階から手を振る浩輔が小さく見えて、そこですぐに浩輔のアップに画面を切り替えないんです。
下にいる龍太からぐわんとアングルがベランダに見える小さな浩輔に代わって、また下にいる龍太に戻る。なんかほんと日常をただ切り取ってるみたいで素敵でした。
このぐわんっていうワンカットで回してる画がいくつかあってほんとに好きです…(伝わって欲しい…笑)


長くなってしまいましたが、
苦しいけどたくさん頭使って面白い作品でした。

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