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地方創生・道中日記②~南相馬市小高区の探訪報告~

小高ワーカーズベース」主催の『ツアー』をテコに、「Huber.」の『遊ぶ広報』を活用したアテンドで南相馬市を中心に周辺環境を見て回り、「小高パイオニアヴィレッジ」に宿泊した。土・日・祝日の3連休に訪れたため平日の日常を見ることはできなかったが、状況はある程度把握できたように思う。

福島第一原発からの距離や、洪水の浸水をどの程度受けたかによって、同じ市の中にあっても状況は全然異なる

初日、常磐道を北上して南相馬ICを下りると、まずは「道の駅・南相馬」へ向かった。地元の方の利用も多く活気にあふれ、外にものんびりした空間が広がっていて悲壮感は微塵もなかった。「よつわりパン」という地元のソウルフードらしきものを購入したが、味に強烈なインパクトは感じなかった。

原町名産「よつわりパン」

この道の駅のある「原町区」は南相馬市の真ん中に位置し、洪水の浸水被害が少なく、郊外型都市の普通の街並みが広がる。チェーン店も多く、賃貸物件の価格も千葉県の自宅周辺と大差ない。復興事業の人員向けに住宅補助が出たことで賃貸価格が底上げされ、復興にめどが立ったあとも価格が下がってこない現状のようだ。

道の駅 南相馬 中庭の風景

公的機関と、補助金を循環させるビジネスモデルで何とか経済圏が維持されている

続いて「小高区」に移動すべく国道6号線を南下していると「浸水区域」を知らせる標識が目に飛び込む。気にしないつもりでも何となく緊張感が高まる瞬間だ。「小高区」は2016年まで帰還困難区域であったため、ようやく生活のインフラが整いつつある状況だ。

今回私が小高区に来たのも「起業型の地域おこし協力隊」の説明会をWebで受けて、先人と懇親会を催してくださるという話があったからだ。インフラ整備以降の第二フェースの施策に興味津々で来たのだが、独立起業した人材がそれぞれに悩みながら模索している最中、という印象であった。

補助金を循環させるだけではなく、自前で事業を拡大し地域の外から富をもたらすというのは並み大抵のことではない。特にこの地域では。必要なインフラが公的に整えられるとそこに民営の入る余地はかなり少なくなる。

ただ、頻繁に学生や施設の視察に訪れる人がいたことは「渦」が形になってきていることを表していて、そこに頼もしさを感じた。

地方の高校ではフィールドワークが標準的な教育コンテンツとなりつつある

これは、近くの原町高校の学生が地域の企業や人材などに取材を行って、それを冊子化したものの見開きだ。こういった活動が東北の高校では盛んに行われ、地域への関心や問題意識を高めている。何とか若い人材の流出を止めたいという意図もあるだろうが、こうした活動が地元愛を育てるし、高校で良い体験をした人のほうがUターン率が高いという調査結果もある。

挨拶は、世代や地域を突破する最強のホスピタリティとなり得る

3日目の昼食を小高駅前にある「ダイナーボンズ」で頂いた。まあ、普通においしいホッケ定食だったのだが、それ以上に衝撃的だったのは、接客担当のおじいさんのホスピタリティである。とにかく挨拶が心地よく、丁寧な対応をされる。少なくとも私はとても気持ちよく食事ができたし、次に来たら絶対この人に会いに来ようと思った。営業時間11:30~21:00で日曜定休。問題はこれを「真似していない」ことである。

最後に、おっさんの長話に付き合ってくれた「Huber.南相馬」のアテンド担当の大川翔さんに感謝して報告を終えたいと思う。


(2022/9/20)



#遊ぶ広報 #南相馬 #小高 #ワーケーション #おだかぐらし

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