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人材と技術という『資源』~競争と模倣の行方~

「侵略」文明の格差の上に発生する
  そこに「資源」がある限り
「淘汰」文明の格差の上に発生する
  そこに「資源」が少ないからだ


組織を活性化するのは「資源」である。その資源をいかに生み出し、活用するかで組織の存続が左右される。待ったなしの競争が繰り広げられるなか、技術の革新で大きく時代が変わろうとしている。今回は時代を変える「資源」について深掘りしてみたい。


まずは、資源にはどのような種類があるのか、一般的な分類から確認する。

潜在資源 
気候的条件(降水・光・温度・風・潮流)
地理的条件(地質・地勢・位置・陸水・海水)
人間的条件(人口分布や構成、活力、再生産力)

顕在資源
天然資源(生物資源と無生物資源)
文化的資源(資本・技術・技能・制度・組織)
人的資源(労働力・士気)

日本大百科全書(ニッポニカ)より


経済のグローバル化が進む割に、国民国家の枠組みは守られる。そして豊かな不動産は動かせない。侵略か、物流か、生産かという選択を促すことになる。「破壊」「創造」は、対局にありつつも密接な関係にある。

①資源を生み出す

資源を資源たらしめるのは「技術」。資源に価値を生むのは人の「利用」
海水は、真水化の技術が完成しないと飲料水にはならないが、波を使った発電技術が進歩しているので資源にはなり得る。この波力発電機が極限まで進化すればウランは必要ない。潜在資源も利用がなければただの「自然」でしかない。


②人材という資源

技術を創るという点においても、技術でつくられた資源を利用するという点においても、技術を技術たらしめるのは「人」だ。だだ、昨今の日本においては、「人材を育てる技術」の革新が模索されている。背景には、戦後教育の中心的な「技術」であった「正解の再現性」に限界がきているからだ。

「高度な技術を創る人材」というのは限られている。その育成についても、リソースを集中する方法や、オープンでの底上げを図る方法など模索が続いているが確固たる答えは出ていない。そんな人材教育の現在地とは。


「ギフテッド」が先天的ならば教育の価値は低下する。リソースの集中など後天的な要因が大きいならば、教育の価値は残る。私見としては、ある程度の水準までは後天的な教育で何とかなると思う。

中学入試をやっている小学6年生の最上位クラスであれば、大学入試のレベル感で「貨幣本位制」や「需要供給曲線」を教えても、平然と理解するし、質疑応答にもしっかりと応える。およそ2割の人材だが。

「芽が出た」人材を資本で囲い込み、自発的な取り組みを促すモデルは多い。今でいうなら孫正義育英財団などの動きがそれにあたる。

「不特定な」人材に新たなモデルを提供する動きも進んでいる。社会で必要とされるスキルに焦点を当て、講師陣のテコ入れをするN高。カリキュラムの前倒しが進む塾業界。大学によるオープン講座のデジタル配信など。

・「パレートの法則」か「オープン」か
・「公的機関」か「私的機関」か
・「クリエイティビティ」を育てる方法


③コアコンピタンスと陳腐化

コアコンピタンスに必要な要素は「新規性」「経済性」。それを生み出すのは「クリエイティビティ」であり、常に「コスト」や「模倣」との戦いとなる。

【拡散と模倣は淘汰を早める】

さほど高度ではない技術のメディアでの「拡散」は、横展開でマージンを取る時に行うべきこと。「興味を引く」と「たねあかし」は別モノと考えるべき。これが徹底されると、自身によるベンチマークにも制限が生まれるが。

鏡で無限増殖するアート。3Dプリンタでコピー。自然を見る観光資源。視点を変える技術。創るのではなく集める。実に「模倣」しやすいと言える。

模倣自体を否定するわけではない。創造性を育てるためには、模倣の訓練は不可欠だ。ピカソも、圧倒的なデッサン力を持ちながらゲルニカを描いている。知的財産権の侵害と、淘汰を早めることが問題になる。


【歴史的転換期】

最近、”Stable Diffusion”の「拡散」が衝撃的な話題として飛び交っている。AI技術による「アートの陳腐化」が避けられないことを直感的に受け入れているからだろう。この世界では、もはや「好き」に選ばれる手法すら通用しなくなる。AIに「好き」を学習させれば瞬時に解決するからだ。

これをもって、人は「大衆」から「個人」に向かい、「競争」という文化に終止符を打つのかもしれない。隠遁するのも、活動的に生きるのも自由だ。食い物と寝床さえ確保できれば。そこに「夢」「ロマン」が存在すれば、この話題にも少しは光明が見えてくるのだろうが。それは、楽しさを見出すメンタリティの問題のような気がする。


とんでもない時代に生まれてしまったものだ。


(2022/8/31) 


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