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私がここ10年以上、使うのをやめている言葉達


私はメンタルヘルスに興味があるので、色々その手の本を読んでいます。
(本業は医者です。でも精神科医ではありません。)

本を読んで学ぶうちに(なるほど。こんな言葉は使わない方が、自分のためにも、自分の話し相手のためにも良いなあ)と思った言葉があります。

そういう言葉を使わないように、毎日意識していると
だんだん、それが容易にできるようになってきます。

今回は、そんな言葉を4つを紹介します。
(英語圏に住んでいるので、英語の表現も入っています。)


1. 頑張って! Do your best!

ほとんどの人は、あまり深く考えずにこの言葉を使ってませんか。

でも、よく考えれば、そんな事言われなくても、みなさん頑張ってますよね。
ベストを尽くしていますよね。

「頑張って!』と言われて、「よし、今以上に頑張るぞ!」なんて思う人はいないでしょう。
反対に「これ以上、どれだけ頑張れっていうの?」って思う人はいると思います。


ただ『頑張って』と言わないようにすると、今まで『頑張って』を使っていた状況で、代わりにどんな言葉を使うか、ちょっと考えさせられます。

どんな言い方が最適かは、状況とか声を掛ける相手との関係などによると思います。


私なら、

受験生とか、コンペティションの前とかなら
「自分を信じて。実力が出せるように願って(祈って)いるね。」「応援しているね」

運動会みたいな、もうちょっとリラックスした状況なら
「楽しんでね」「Enjoy!」とかかな。

2. 努力してみます やってみます I will try …..

「やる」なら「やる」、「やらない」なら「やらない」のどちらかですよね。

やれなかった時の為に、保険をかけておきたい気持ちはわかります。
「やります!」なんて言っちゃうと、
自分の言葉に責任を持って目標を達成できるのか、ちょっと不安になるのも理解できます。

でも、本気なら「やる努力をしてみる」ではなく、「やる」と言えば良いのです。
その自分の言葉への責任感が、良い意味でのプレッシャーになります。

本気で「やる」と思っていないのに「やる努力をしてみます」と言って結局やらないよりは、最初から「やらない」と言った方が正直です。


長年の自分の経験から、「やる努力をしてみます」と誰かが言った時点で、(この人はやらないだろうなあ)と私は思います。

うちの子供も、よく “I am trying …”と言うんですよ(英語が母国語です)。
もうそれを聞いた時点で、彼女にやる気がない、目標を達成しないだろう事が確実に予測できます。笑


注:目標は、例えば『ピアノの全国大会で1番になる』というような、
自分のコントロールが及ばない要因があるものは、避けた方がいいですね。

他の人がどれだけ上手か、審査員がどんな演奏スタイルが好きかなどによって、1番になるかどうかが左右されますからね。

そうでなくて、目標は自分のコントロールが及ぶもの、
例えば『毎日ピアノの練習をする』というものにすると良いです。
どちらかと言えば、最終到着点を決めるのでなく、プロセス重視です。

これなら「努力する」か「しないか」でなく「毎日練習する」か「毎日練習しない」のどちらかになりますよね。

この「やってみる」とは言わない、って言うのはどの本で読んだのかなと思っていた矢先に、この映画の一場面にそれが出てくるのに気がつきました。

スターウォーズのヨーダが言っています。笑

3. できなかった I couldn’t

何かをしようとしていたけれど、自分のコントロールの及ばない要因に影響されて
最終的にそれを成し遂げなかった、という事はよくあると思います。

そんな時に、私は「できなかった」と言わず「しなかった」といういうように気をつけています。

「でも、原因は自分のコントロールが及ばない事だったんでしょう?」

その通り。

それでも、最終的に私達がする事は、全て自分の選択した事なのです。

例えば、私が友達と出かける予定にしていたのに、家族が急病になって医者に診てもらう必要があり、自分しか家にいなかったため、友達と出かける予定はキャンセルしたとします。

こんな時も「友達と出かけられなかった」ではなく「友達と出かけなかった」と言うわけです。

この2つの言い方には、ニュアンスの違いがあります。

「友達と出かけられなかった」と言うと、『病気になった家族のせいで』と言う気持ちが言葉の裏に感じられます。
自分の行動が他の人(=病気になった家族)のせいだという、
つまり、自分の行動の責任を他の人に転嫁している感じがします。

「友達と出かけなかった」と言えば、『病気の家族を置いて友達と出かける、と言う選択肢はあったけれど、自分で選択して家族の世話をし、友達と出かけない事を選んだ』という意味。
つまり、「自分で自分の行動を選択し、自分でその責任を取る」と言う感覚です。

現在形の「できない」も同じです。
私は意識して「しない」と言うようにしています。

4. 〜するべき・〜であるべき I should ~、 You should ~、It should ~

『〜べき』と言うのは、ある既定概念や規則を参照している、と言う事ですよね。

「道徳概念に従って〜するべき」とか「法律に従って〜するべき」とか「一般常識に従って〜するべき」とか。

もちろんそれが、全ての状況で悪い訳ではありません。

例えば「車を運転する時は、規則に従って左側通行を守るべき」というのは、これ自体は問題ではありません。

ただ、自分で納得できないのに『そうするべき』だから
自分や他人に何かを強要する、というのは、私は腑に落ちません。


例えば「妻は夫の世話をするべき」とか
「部下は部長の仕事が終わるまで、会社に残って仕事をするべき」とかですね。


また、『〜するべき・〜であるべき』『should』という言葉の後には、
よく『だけど、そうじゃない』『But ….』という言葉が続きます。

『理想はこうだけれど、現実が伴っていない』という感じです。

その『理想』というのは、本当に私やみんなが幸せになれるような、納得がいくような理想なのでしょうか。それとも理不尽な慣習や伝統でしょうか。

最後に

私が上にあげた4つの言葉達を使わなくなって、もう10年以上は経ちます。
(今でもたまに口から出て、他の言葉に言い換えることはあります。)

大げさかもしれませんが、言葉を変えただけで、自分の考え方がちょっと変わりました。

以前より、自分の言葉に注意して、言った事の責任を取るようになりました。

他の人とのコミュニケーションの仕方にも、少し変化が起こりました。

自分また他の人がどれだけ言い訳を使っているか、また、固定概念に固まった不自由な考え方をしているか、なんてことも見えてきました。


他の人と会話をするときに、上の言葉を使わないで1−2週間過ごしてみたら、あなたも何か気づく事があるかもしれません。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。

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