【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から⑬ 「ホイミ」企画「ホイミングvol.19」 ~ロックの躍動するリズムは抑圧された日常から感情を解放する

11月19日(日)ホイミング vol.19 会場「阿佐ヶ谷天」
▼ホイミ みほ(key) えこ(tp) りか(b) 千草(ds) 吉本裕美子(g)
▼青い蝶 よしえ(vo) しゃあみん(g) イケベ(ds) アキラ(b)
▼miho & the overalls miho(vo,g) モリゲン(b) あっちゃん(ds)

じつに楽しい一夜でした。まず先鋒のホイミの演奏が良く、自分としては今まで10回ぐらい見た中でベスト。CANみたいなジャーマン・プログレッシヴ・ロックと、ダブの中間あたりのノリで、エレクトリック期のマイルス・デヴィスからファンクネスを抜いたような面もあり、まったりとした展開が持ち味になりがちなバンドだが、ドラマーが突如アップテンポで攻め立て、各プレイヤーがどう対応するかというスリリングさと、長く続けてきたバンドゆえのある種の信頼感・連帯感が相まって、ところどころパンキッシュに暴れつつもまとまりがあるサイケデリックなサウンドは飽きさせなかった。要所を締めるベースのカッコよさ、表で切り込んだり裏で支えたりと融通無碍のギターの練達ぶり、ドラムのフィジカルながんばり、普段地味に徹しているキーボードの意外な奇襲、トランペットも踏ん張って音を伸ばしムードを出してきた。この五人がそれぞれ独自の活動から新しい要素を持ち寄ってのアンサンブルは、他ではないものがある。ロックの歴史的進展を短期間に拝めるような演奏でもあり、個人技よりグループ・エキスプレッションに重きを置いた音楽性は安心して聴ける。

他の2バンドはストレートなロックンロールで、miho & the overallsは歌謡とパンクを調合したJポップ的なロック、こういうのは「ジュディ・アンド・マリー」などを無意識に聞いてきた世代である自分には懐かしく、歌詞は青春を感じさせ、若い女性ボーカルのステージングも魅惑的でした。バックはめちゃくちゃうまく、特にドラムはバカテク。青い蝶は何と越路吹雪のシャンソンをパンク仕立てにしたり、カバーを斬新なアイデアでパンク化したり、最後は頭脳警察のカバーで締めた。躍動的でコクのある演奏だし、女声ボーカルも激しくてよかったです。客席は(狭いけど)大入り満員だし、意表を突く組み合わせだが、たまには踊れるロックもいいなあと感じさせ、内容には大満足だった。毎回充実度が増している好企画。

https://www.youtube.com/live/jDpdMeGRjQA?si=kVQfC46sr-Ma-ZlE

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