ゆえに想う、愛
安易に繋がれる時代になった、だからこそ安易に繋がった縁が切れるようにもなった。そしてその縁が大切だったかどうかも分からないまま過ぎていくようになった。
時の経過と共にその縁を思い出してあの頃は幸せだったんだ、苦悩に満ちた日々に思えていたけれど贅沢なものであったんだと振り返ったりする。
人と繋がらなくてもいい時代に繋ぎ続けていきたい縁があるということ、これほど大切な気持ちはもしかしたらないのかもしれない。
人や感情が近すぎて離れたくて遠ざけたい環境が身近にありすぎるが故に私達はそのようなものをとても嫌う。
踏み入られたくない領域への侵入を許したくない自分がいる。本当は救ってほしいと思っているのにそれすらを遠ざけてまた自分の殻に閉じ篭もる。そして後悔している自分がいながらも心のどこかで助けに来てくれないかと祈っていたりする。
大切が故に手放さなきゃいけない縁だってこの世にある。今、この瞬間でさえ大切なものは変わっていく。死ぬほど愛したものでさえどうしようもなく手放しなくたい縁でさえも自ら切らなければいけない。明日になれば大切ではなくなっているかもしれない。姿形がないものは目に見えないからこそ変化していき守りたいものも命をかけたいものも変わる。
人の気持ちは移ろいやすいというのもきっとそこにあるのだろう。
今、この毎日を生きていく中で出会うべくして出会った人達へ私は全ての人にではないけれどとても愛しく想う。
人に揉まれ荒波に飲まれ削られ擦り減りながらも磨かれた好きな物を大切にしたいと思うこの感性や感覚は決して一人では育つことはなかったから
後ろめて隠して生きていきたかった心が弱いが故に零れてばかりの涙も泣き虫な自分も悪いとは思わなくなった。そんな自分が許せる出会いを多くしたから、そんな自分を受け入れ温かく寄り添ってくれる人が沢山いたから
こんな簡単に繋がり切れる時代に人を愛しく人を大切にしたいと思えることは特別なことだということを私はずっと忘れない
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