同人誌の装丁覚書⑪STARBOOKS、ありがとうございました
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同人誌の装丁覚書(マガジン)
はじめに
前回の記事からあまり間を空けずに更新できてよかった!!! 今回は予告通り、2020年2月~10月にSTARBOOKSで印刷した同人誌2冊を紹介します。
STARBOOKSについてはこの記事で既に触れていますが、「ぼうけんのしょ」という会員ランクサービスが優秀です。2020年は10月に参加するプチオンリーあわせでちょっと贅沢な本を作りたいな、と思っていたので、手始めにその前に出す同人誌のどれかをスタブで刷り、ランクアップしておくことにしました(その方がお得に刷れるので)。
それで依頼したのが以下の本(少女☆歌劇レヴュースタァライトの同人誌)です。
本の仕様①
タイトルが「虹色のヒラエス」だったもので、とにかくパステル/カラフル/きらきらな表紙にしたいなと思い、テンプレートをお借りして色々と加工させていただきました。
表紙用紙にはキュリアスIRパールを使用しました。この紙は以前も使ったことがあったのですが、紙自体に少し赤みがあるのでカラーモードを少し青~緑寄りに調整して入稿しています。
実物写真①
表紙画像と実物写真を改めて比べてみると、入稿データを青み寄りにし過ぎじゃない!?と思わないでもないのですが……でも実物の方が好きな仕上がりになった気がします。全体的にトーンが明るめなので、光に当たると紙の地の赤みもよく見えてきます。そうなるとこれくらい青み寄りに印刷されている方がちょうどいい……気がする!!
遊び紙は前と後で違う種類の紙を使用しました。前はい織りスノーホワイトという織布っぽい質感の紙(撮影すると全く質感が伝わらなかったので写真は割愛)、後は彩雲の虹という紙を選んでいます。物語の始まりが雪の降り積もる冬、物語の終わりがカラフルな春のイメージなので、その景色の違いを表現したかったのですが……いかがでしょうか。
体裁は前回から変わりありません。今回は普通の小説パートとは別に台本パートがあったのですが、普段あまり戯曲を読まないため台本風の組み方ってこれで合ってる……? と首をかしげながら編集したのを覚えています。何かもっといいやり方とかあったら教えてほしい。
『虹色のヒラエス』を印刷することでさらに会員レベルがランクアップしたわたしは、満を持して10月の同人誌制作に取りかかりました。
以前から同人誌のオプションで使ってみたいな、と思っていた小口染め。それなりにページ数がある本で使わないと見栄えしないオプションなのですが今回の同人誌なら100ページは超えるだろうと見込んでいたので、思い切って使ってみることにしました。
本の仕様②
イラスト、デザインはアイドルの本でもお世話になったのそさん、りんこさんにそれぞれ依頼しています。海を本の形にして取り出したような表紙、何回見ても最高……!!! ちなみに裏表紙のバーコードはISDN (国際標準同人誌番号)というサービスを利用して作成したものなので、リンク先のサイトで検索するとちゃんと情報が検索結果に出てきます。
本当はカバーのタイトル部分に箔を押す予定だったのですが、ウェイトが細く箔押しできないと言われ諦めました。B6で出してたら押せたかな……!?
実物写真②
写真が下手くそなので伝わり辛いですが、本当にカラーが綺麗……カバーはマットPP加工しているので控えめな印象なのですが、だからこそグロスPP(クリアPP)加工した鮮やかな表紙との対比が際立ちます。
普段カバー付きの本を刷るときはカバーだけPP加工して表紙は加工しないのですが、小口染めをする場合は表紙PPが必須だったため、こうして印象が違って見えるよう工夫してみました。
表紙用紙はファンタスウグイスを使用したので、表2・3はつるつるとした浅葱色になります。遊び紙に使用したキュリアスメタルの藍色との組み合わせがすごく綺麗!! キュリアスメタルは写真だとわかりづらいですが(二枚目の方ならギリギリ伝わるかな)かなり細かいラメが鏤められていて綺麗な遊び紙です。同じ紙のシリーズでイメージにドンピシャな藍色と真紅があってよかった。色違いながら統一感のある見返しになったと思います。
今回はノドとソデの余白の設定に差をつけたので、読みやすく仕上がったのではないかなと思います。一行あたりの字数も少し増やしました。
章の扉には、のそさんに描いていただいたその章を象徴するようなイラストが挿入されています。読み終わった後にもう一度イラストを見返すと、ああ……とため息が漏れるようなイメージで(?)描いていただきました。
わたしの指示が間違っていたせいで、イラストデータを解像度350dpiで入稿しなければならなくなったのも今となってはいい思い出…………ではないが………………スタブが全部何とかしてくれたので何とかなりました。素人目ですが全然モアレしてない!! スタブはカラーだけでなくモノクロ本文も印刷がとても綺麗だなと感じます。
あとは今回、珍しく扉のデザインもりんこさんにお願いしています(普段は自分でやってる)。しかしギリギリまで原稿をやっていたぶん、ページ数がなかなか確定せず制作時に迷惑をかけてしまったので、やっぱり扉絵は自分でやるしかないな……と反省しました……。でも本来は表紙から扉絵まで、トータルでデザインをお願いした方が統一感出ていいよな~と思います。もっと余裕がある時にまた依頼させていただけたらいいな……。
ちなみに、本文中に出てくる挿絵?のようなもの(3枚目の写真)だけはわたしが作っています。
感想まとめ
以上、2020年STARBOOKSで印刷した本の紹介でした。こうして思い出すと(小説の中身は関係なしに)どちらの本も完成度が高い……。スタブは部数をある程度刷らないとお値段が張る印刷所ですが、その分サービスが本当に丁寧だなと感じます。データの解像度が間違っていると判明した時もメールや電話で何度も確認いただいて、ありがたいやら申し訳ないやら感情が追いつかなかったぜ(その節は本当にごめんなさい!!)製本も印刷も綺麗で、手に取った時大切にしようと心から思える本を作ってくださいます。箔の種類が豊富なことで有名なスタブですが、箔関係なく宝物になるような一冊を作りたい! という方におすすめしたい印刷所です。
次回の記事では、この『今夜一時間会いたい』の再版で利用したおたクラブの印刷について紹介できたらと思います。年内に更新……したい!!!
サポートが何なのかわかってないですが、していただいたらメチャメチャ感謝します。