いい夢は最後まで。

「なぁ……笑えよ」
夜の路地裏。彼の冷たい三白眼が私を見下ろす。無表情な私に少し戸惑った彼の表情が可愛い。彼が硝子の破片で私の口を裂く。痛みが幸せだった。「お揃いだね」と微笑もうとした時、
「ここで寝てたら風邪ひくよ」
能面を付けた男に起こされた。いい夢は最後まで見られないらしい。

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