アイデンティティ。

夜の路地裏。中年男の口を硝子の破片で裂いている最中、能面を付けた男が話しかけてきた。
「何でそんなことしてるの?」
「人を笑顔にしたいから」
「笑顔っていうか……痛いでしょ。彼も泣いちゃってるし」
能面の男はボクの裂けた口を見た。
「と言うか、君のアイディンティティなくならない?」

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